廃墟のショッピングモール映像集「Dead Mall Series」に80年代の幽霊をみた

廃墟のショッピングモール映像集「Dead Mall Series」に80年代の幽霊をみた

(image: Dan Bell / Film It)

先日ご紹介した「Dead Mall Series」ですが、制作者のダン・ベルさん本人にコンタクトをとりましたので、より詳しい情報と魅力をお伝えします。

アメリカの映像作家、ダン・ベルさんは、2015年からアメリカじゅうを旅して経営が立ち行かなくなったショッピングモールを撮り続けてきました。YouTubeで公開されている「Dead Mall Series」の初期の映像作品は、廃墟に挑むベルさんの冒険心に満ちあふれ、人の手を離れて朽ちていく建造物の「おもしろさ」と「こわさ」が気味の悪いエレベーターやゴミだらけの映画館を通して映し出されています。落ちぶれて哀愁漂うモール、シャッター街さながらのモール、完全に廃墟と化したモール…。

数々の「Dead Malls」を訪ね歩くうち、次第にベルさんの死にゆくモールの美学が焦点を結び、多くのファンに支持されるようになりました。ベルさんは死期が近いモール看取るかのように、ときにユーモラスに、ときに切なく、はかない高度成長期の夢の残骸を撮り続けて最近37作目を発表したばかり。ふだん目にすることのない消費社会の闇を浮き彫りにしています。

「Dead Mall Series」の多くは、80年代のテレビコマーシャルやニュース番組を合わせた、やけに騒がしいモンタージュから始まります。かつてアメリカのショッピングモールが栄華を極めた時代のけばけばしいファッションフリーダムさを、やや皮肉を込めて回顧しています。打って変わって本編は、ベルさんが淡々とした口調で案内しながら人影まばらなモールをうろつくという内容。その際、バックに流れる「幽霊, TOGETHER!」の音楽が絶妙すぎてツボりました(アメリカのバンドですが、このネーミング)。ゆるいエレベーターミュージックに巨大なモールの反響音が重なって、臨場感を醸し出しています。

だいたいアメリカのショッピングモールがどのくらい巨大かというと…

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(image: Dan Bell / Film It)

こんなかんじ。4,000台を収容できる広大な駐車場は空っぽ。ドリフト走行の跡とコンクリのひび割れが複雑に絡み合い、廃れた雰囲気です。

こちらは封鎖される直前に撮られたノースカロライナ州ハイポイントのオークホローモール2017年3月10日に廃業し、封鎖されました。

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(image: Dan Bell / Film It)

ショッピングモールの中に入ると、あまりのキレイさに驚きます。お客さんは誰もいないのに、ピカピカに磨かれた床やツヤツヤした植物が整然と並ぶ様は不気味でもあり、哀しくもあります。床に敷き詰められたタイルはサーモンピンク、ターコイズ、白と、90年代を象徴する配色。

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(image: Dan Bell / Film It)

このまっすぐに伸びたタイルの路線上を、かつて大勢の「モールウォーカー」たちが陸上トラックを回るように回遊していたそうです。いまは誰も歩いていません。ほんとに誰もいません。

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(image: Dan Bell / Film It)

この日、とりわけ熱心な清掃員がベルさんの目を奪ったそうです。その方はただ一生懸命にエスカレーターの手すりを磨いていたそうで…もう誰も使わないのに。モールが廃業したら仕事がなくなってしまう人はどれだけいるんでしょう。

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(image: Dan Bell / Film It)

スポーツ用品店の前で「アディダスの葬式」が執り行われていました。たしかに、横たわるマネキンの上に墓標があるように見えます。

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(image: Dan Bell / Film It)

この数日後、オークホローモールはその扉を永遠に閉ざしました。

モールデートの甘酸っぱい思い出。フードコートの最強ジャンクフード。すべてをひっくるめて、あまりにも巨大で無敵に思えたショッピングモールの多くが今、タイタニック号のように傾きつつあるそうです。

今後、日本にも点在する廃墟を撮影しに来る予定があるかベルさん本人に聞いてみましたが、ノーコメントでした。来てほしいような、ほしくないような…。

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all images: Dan Bell / Film It
source: Dead Mall Series / YouTube, SoundCloud
reference: Wikipedia 1, 2, 3, The New York Times

Bryan Menegus - Gizmodo US[原文
(山田ちとら)