「精子ロボット」が薬をはこんで、生殖器官のがん細胞を治療しにいきます

「精子ロボット」が薬をはこんで、生殖器官のがん細胞を治療しにいきます

「精子ロボット」=モーターなどで強化した精子。

ドイツの科学者は、あることで頭を悩ませていました。それは、女性の生殖系器官に、薬を的確に投与するいい方法はないかということ。…あ、ある! すでに開発されているテクノロジーで、目的地を同じとするモノが! というわけで、精子ロボットに新たな可能性がでてきました。

病気、特に癌の治療においては、多くの壁があります。ある特定の場所に薬を投与するというのは、その壁の1つです。必要な薬を必要な細胞だけへ、必要なタイミングで、必要な量だけ、とさまざまなことをコントロールする必要がありますからね。その薬のデリバリー方法としては、今まで白血球や赤血球が考えられてきました。が、先月arXivにて発表された研究は、そこに新たな方法を提案しています。精子ロボ、特に女性の生殖系器官へのデリバリーには最適です。

精子ロボット がん 1

実験のために作られたのは、精子にモーターなどをつけ強化した、大きさ5マイクロメートルほどの精子ロボ。その特徴は、頭にかぶった帽子です。オタマジャクシのようなあのしっぽで泳いで進み、癌細胞まで到達すると帽子をパカっと4つに開き、中から薬をだします。精子ロボは鉄製で、磁石でコントロールできるというのも利点の1つ。研究チームが行なった実験では、ロボの動きのコントロールに成功。

そして、癌に有効とされるも、その強力さがマイナスでもある抗がん剤の「ドキソルビシン」を実際に帽子内に搭載し、テストを実施しました。結果、精子ロボが癌細胞に到達した2日後には、薬の効果が見え始めました。

精子ロボット がん 2

いい結果だ、成功だ、と思いますが、あくまでも、このテストは実験環境下でのこと。人間の体内で起きたことではありません。またポイントである帽子の影響で、精子ロボの動きが43%遅くなったこと、実験では数cmの移動だったことなど、まだまだ実際に利用できるレベルにはありません。薬の投与量のコントロールや、精子ロボによって患者が妊娠しないための措置、精子の入手方法といった倫理的問題など、考えるべきところはまだ山積み。

ただ、治療の可能性の1つとして、今、精子に光が当たっているのは間違いありません。どんな可能性でも将来的花開くならば、医学会にとってはありがたい話なのです。

Go 精子!

不妊治療に新たな光。動かない精子にモーターを取り付けて運ぶことに成功

image: Xu et. al, Medina Sanchez et al(via Gizmodo US
source: arXiv via MIT Tech Review

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(そうこ)