映画『カーズ』の世界は現実に起こりうる恐ろしい未来の姿?

映画『カーズ』の世界は現実に起こりうる恐ろしい未来の姿? 1

擬人化された車たちが涙あり笑いありのストーリーを繰り広げる、ピクサーの人気レーシング映画『カーズ』。主要キャラクターだけでなく、にいたるまで全てのキャラが車という徹底した世界観に驚かされ、また心を掴まれたファンも多いでしょう。

でもちょっと待って。すんなりと受け入れている『カーズ』の世界観ですが、あれってどうなっているの? ファンタジーの世界なんだから考えるだけ野暮というものかもしれませんが、自動運転システムやAIが発達し始めている昨今、もしかしたら私たちは『カーズ』を掘り下げる必要があるかもしれません。

というわけで、今日は米Gizmodoのキャサリン・トレンダコスタさんによる『カーズ』に関する考察をピックアップ。もしかしたら、私たちが考えているより恐ろしい結果が見えてくるかもしれませんよ。

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最も気になっているのは「あの車たちはどこから来たのだろう? 」ということです。 『カーズ』のクリエイティブ・ディレクターであるジェイ・ワードがヒントをくれましたが、余計に混乱させるものだったのです。

Screencrushのマット・シンガー記者が、以前ワードに「車たち」がどこからやってきたのか質問して返ってきた答えが以下の通り。

今の時代、自動運転技術がありますよね。人間が後部座席に座って、運転自体は車が自動でしてくれるわけです。想像して見てください。近い将来、車がもっと賢くなって「人間なんて必要ないだろう。重しにしかならない、排除するか…」と考えることを。そして最後に自分を運転していた人の性格を引き継ぐことになる。

えぇっと…つまり『カーズ』はAIを搭載した車が将来的に生態ピラミッドのトップとなることを予期した作品ということでしょうか。

あの笑顔の裏にこんなに恐ろしい設定が潜んでいたとは! しかも続編の『カーズ2』を見ればわかる通り、車たちはどんどん過激な考えを持つようになっています。

ワードの定説では、『カーズ2』に登場した車版ローマ法王は、かつての持ち主であったローマ法王を殺してその人格を得たということになります。そして、カソリック信者だった持ち主の人格を得た車たちから崇拝されていると…。

しかし、ここで新たな疑問が発生しました。ワードの説が本当なら、新しい車はどこからやってくるのでしょうか。

『カーズ』や『カーズ2』では新しい車らしきものは登場していませんが、新作『カーズ/クロスロード』にはジャクソン・ストームという最新機能搭載の新しいレースカーが登場します。ブライアン・フィー監督曰く、ストームは「年寄りは引退しろ」という考えを持っているそうなので、年齢はマックイーンより確実に下ということになります。

では、この人間が絶滅した世界で、新しい車はどこから人格を得るのでしょうか? 

トレイラーにはマックイーンが改良によりジャクソンに並ぶハイテクカーとなるシーンがあるので、新しい車もなんらかの形で生産されていると解釈できます。では、若い世代は改良と脱着可能のテックを搭載しているだけ? 本体はどうなっているのでしょうか……。

『カーズ2』にはフランチェスコ・ベルヌーイの母親が登場しています。彼女がシリーズに登場する唯一の母親キャラクターなわけですが、どうやらそれは意図的なものだそうです。以下は米GizmodoのGermain LussierさんとエンタメジャーナリストのTodd GilchristさんのTwitter上でのやりとり。

Germain Lussier「赤ちゃん車は一体どこからやってくるんだ? 」

Todd Gilchrist「先日開かれたプレス・カンファレンスで、『カーズ2』のママ・ベルヌーイをのぞいて、あえて直接的な家族関係を描くことは避けたと言っていたよ」

となると、車は工場で作られたあと、相応の家族もしくはカップルの元に届けられる……と考えるべきでしょうか。『カーズ』は綿密に計算された社会ということになります。

彼らが有機体という説を除いた場合に限りますが。実は、ワードはかつてシンガー記者にこんなことも語っているのです。

ドアが空いているところを見ることはないでしょう。だって、あそこには脳みそや目が入っているんですから。それがこぼれ落ちたら困っちゃいますよ。

ちょっと待って!

これが本当なら、車たちは自分で子供を作ることも可能ということになります。そして、あの車たちは人間を殺したあと、脳を盗んで人格を得ている…と! 

だって考えても見てください。元が通常の車であれば、そこには人間が座るための座席があったはずです。そこに脳や目があるというのであれば、それは人間からの…。こ、怖い!

不可解なのはこれだけではありません。『カーズ』の印象的なシーンのひとつであるトラクター・ティッピングにでてきたトラクターは一体どこから来たのでしょうか?

動画はSergei Arendesより。

トラクターが他の車同様にAI搭載でないのは、家畜のような存在だからと考えられるかもしれません。もしくは、トラクターを最後に運転(?)したのが牛だったために、牛の特性を得た、という可能性もあります。

では、はどうでしょうか。

ドクター・モローの島』改『ドクター・カローの島』みたいなことが『カーズ』の世界でも起こっているのかもしれません。マッドサイエンティストが車を縮めて羽をつけていたり成長抑制剤を投与したりーー。だとしたら一体誰が? 

それにしても謎は深まるばかりです。『カーズ』の世界がパラレルワールドだったと仮定しても、辻褄が合わない箇所がたくさんあります。『カーズ』の世界を解き明かすよりも先に、タイムトラベルを発明するほうが簡単そうに思えてくるほどです。

最後に、ワードがScreencrushに語ったもうひとつの可能性を紹介しましょう。

(『カーズ/クロスロード』のプロダクション・デザイナーである)ジェイ・シャスターがその昔、ある絵を描いてね。隕石が地球を直撃するんだ。それで人類は全滅してしまうんだが、突然車が動き出すというものなんだよ。

えぇ、この方が断然納得できる説ではないでしょうか。

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クリスティン記者は隕石説で落ち着いたようですが、筆者もAI車が人間を殺して人格を奪うという設定よりも隕石のほうが圧倒的にすんなり耳に入って来ます。つまり、『カーズ』は明るく楽しい家族向け『地獄のデビルトラック』というわけですね。

スッキリしたところで『カーズ/クロスロード』の最新トレイラーをどうぞ。

動画はDisney•Pixarより

ミドルエイジクライシスに悩むマックイーンは引退を考え始めていた。そんな彼の前に現れたのは若手女性レーサーのクルズ・ラミレス。最新ハイテク機能搭載の若手レーサーたちに打ち勝つためのテクニックを教えるというクルズに、ベテランレーサーのマックイーンは素直になれない。しかしファンの期待を裏切れないマックイーンはクルズと共に勝利を目指すことを決意するーー。

そこはかとない居心地の悪さを感じ始める中年を元気付けてくれる『カーズ クロスロード』の日本公開は7月15日です。鑑賞の際にはハンカチの用意をどうぞ。

3分弱でわかる、すべてのピクサー映画同士のつながり

image: (C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved. via 映画『カーズ/クロスロード』公式サイト
source: Screencrush, YouTube(12), Twitter

Katharine Trendacosta - Gizmodo io9[原文
中川真知子