シンセサイザーってなに? 仕組みから楽しみ方までを解説

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波形をイジるって、おもしろい!

シンセサイザーって、なんなんでしょう? キーボードなの? ガジェットなの? 意味や概要はWikipediaを読めばわかるけれど、何がどう面白いの

昨今のアナログシンセブームの勢いもあって、ギズモード・ジャパンでもシンセ記事を取り扱う機会が増えてきました。ここで今一度、改めてシンセサイザーの仕組みというものを解説してみようと思います。

とはいえ、電子楽器の歴史やコンピューター技術の進化などから掘り起こしていては10スクロールじゃきかなくなるので、もうちょっとポイントを絞るとしましょう。すなわち、アナログシンセの音が鳴る仕組みと、その楽しみ方についてです。

それではまず、音が鳴る仕組みから。リコーダーは息、ピアノは打弦によって音が生まれますが、シンセサイザーは何によって音を生みだすのでしょうか?

オシレーター(VCO)

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全てのアナログシンセはVCO(Voltage-Controlled Oscillator)、通称オシレーターと呼ばれる電圧制御発振器が内臓されており、このオシレーターで音色の元となるサイン波、ノコギリ波、三角波、矩形波、ノイズなどの基本的な波形を作り出します。いわば、シンセの音の源泉となるセクションです。電話の受話器を取った時に聞こえる「ツーツー」という音は、身近なサイン波の一つでもあります。

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オシレーターを複数持つシンセなら、異なる波形を足し合わせてより複雑な波形を作ることも。さらにFrequency(周波数)ツマミがあるシンセは、これを動かすことでオシレーターの音程をなだらかに変化させることもできます。KORGショールームに展示してある「Minimoog Model D」も、3つのオシレーターとFrequencyツマミを備えていますね。Frequencyを応用すれば、弾いている音に対して五度や三度、あるいはわずかにピッチをズラしてコーラスのような音を作ったりということが可能です。

多くのシンセサイザーはピアノほど多くの鍵盤を備えていません。その代わり、各オシレーターにはオクターブを切り替えるスイッチが大抵ついています。オクターブを切り替えれば1台のシンセで低いベース音や高いリードサウンドも演奏できるし、演奏中にオクターブを上下させることで不思議なフレーズを奏でることも可能です。

また、機種によってはオシレーターを電圧ではなくデジタル回路によって制御するDCO(Digital Controlled Oscillator)を内蔵しているものもあります。従来のVCOは不安定でピッチも安定しなかったため、デジタル過渡期の際にはオシレーターが最初にデジタル化されました。今では「オシレーターはデジタルでそれ以外はアナログ」というハイブリッドなシンセも多数存在しています。もちろん「あのVCOの不安定さが良いんだぜ」という一周回った意見もあるため、VCOだって現役です。

フィルター(VCF)

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オシレーターから出た音はVCF(Voltage-Controlled Filter)、通称フィルターへと送られます。フィルターの仕組みに関しては「Minimoog Model D」の記事でも軽く説明しているので、ここではArturiaのアナログシンセ「Micro Brute」を使って、フィルター(Low-pass filter)とレゾナンス(Resonance、エンファシス)の効果を聞いて確かめてみましょう。

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この、バリっとした音をまろやかに変えているのがフィルターの効果で、バリバリの原因である高周波成分(倍音)を削っています。高域を削る、つまりはローを通すという意味でローパスです。キュンキュン鳴ってるのはレゾナンスを上げたことによる発振音ですね。脳髄を揺らすアシッドベースのブチビチしたサウンドも、このレゾナンスがキモとなっています。

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高音をカットするローパスフィルターの他にも、逆に低音をカットするハイパスや、高低を同時に削るバンドパス、ノッチフィルターなどの種類があります。フィルター回路はメーカーの特徴が色濃く出る部分で、「Moogのキレがタマらない!」や、「KORGのMS-20のレゾナンスが最高!」といった好事家も少なくありません。フィルターをブリブリいわせるだけでシンセしてるって気になれますね。

寄り道その1…しかし、シンセ=フィルターありきというワケではないのです。シンセサイザーのスタイルにはイーストコーストスタイル(東海岸)とウエストコーストスタイル(西海岸)と呼ばれる派閥があり、それぞれ音色作りに対する姿勢が異なります。イーストコーストスタイルはフィルターを使ったいわゆるポピュラーな音作りで、フィルター搭載のシンセを開発していたMoogがアシュビルを拠点としていることに起因します。

対してウエストコーストスタイルではフィルターはほとんど使いません。これは西海岸のサンフランシスコを拠点にしていたDon Buchlaという偉大なエンジニアの影響です。BuchlaとMoogはシンセカルチャーを紐解く際によく比肩して語られます。波形を何度も折り畳んだ濃厚な音やウェーブシェイパーによる過激なサウンドは、伝統や制度よりも自由を愛する西海岸(ヒッピー文化も相まって)においては歓迎され、それは研究室から生まれた東海岸のアカデミックな音とは正反対でした。

最終的に音楽界は、よりミュージシャンの意向を汲んだMoogを選びましたが、このあたりのことを詳しく知りたい人は『I dream of wires』というAmazonプライムビデオにあるモジュラーシンセ・ドキュメンタリーを見ると幸せになれますよ。

アンプ(VCA)とエンベロープジェネレーター(Envelope Generator)

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フィルターを通った音は音量をコントロールするVCA(Voltage-Controlled Amplifier)、通称アンプへ送られますが、アンプには大抵の場合エンベロープジェネレーター、通称EGと呼ばれるモジュールが備え付けられてあります。EGには、アタック(Attack)、ディケイ(Decay)、サスティン(Sustain)、リリース(Release)という4つのパラメータ(ADSR)があり、これらを用いて音量や音高の時間変化を操作します。

実際にMicro Bruteを使ってADSRの機能を聞いてみましょう。

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ADSRは図で表されることも多く、各パラメーターと音量変化の関係はこのようになっています。

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アタックを下げて音の立ち上がりを遅くすれば、ストリングスのような「ふわぁぁ〜〜」っとした丸い音に。逆にアタックを上げてディケイを下げるとトランペットや打楽器のような「ッパァアン」という硬めの音を作ることができる、という感じです。上のADSRの図を上下反転して複製すれば、まんまボイスメモのような波形そのものとして見ることもできます。

EGはアンプに作用すると音の鳴り方を変化させますが、他のセクションに作用させられるシンセも多数存在します。フィルターに作用させるとフィルターのかかり具合に時間的な変化を与えることが可能で、例えばアタックを下げるとフィルターが効くまでに時間がかかる、といった感じです。これを利用することで音が鳴りだしてから音色を変化させることができ、いわゆる「ブワ↑ーン」みたいな、「ワ」のタイミングでフィルターが最大になるような音作りも可能です。

LFO(Low Frequency Oscillator)

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先に紹介したVCO、VCF、EGだけでも音作りは可能です。が、LFOを使うともっと面白くシンセ的なことができてしまいます。LFOは人の可聴域よりも低い波を発振する装置で、シンセサイザーにおいては音を変調(モジュレーション)させる装置としてはたらきます。LFOでオシレーターを変調させればピッチを上下させたり、フィルターを変調させればかかり具合を自動で動かしたり、といったで具合です。

これも言葉だけ見るとめんどっちい感じですが、音を聞けば一発です。LFOを使って「三角波で音程を変調」→「ノコギリ波でフィルターを変調」と、続けて弾いてみましょう。

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はじめは三角波の動きで音程が自動で上下し、次はフィルターが上から下にかかり続けていますね。このように、LFOを使うとツマミを自分でいじらなくても自動的に音が変調するんです。UFOのような「ウニョーン」とした音や、某岩男が死ぬ時の「ティウンティウン」とした音も簡単に作れますし、LFOの速度を上げて超高速で変調させれば、変調した音そのものを新しい音として聞くこともできます。

寄り道その2…YAMAHAのDX7をはじめとするFM音源は、スタンフォード大学のジョン・チャウニング博士が、誤ってLFOの変調周波数を100倍に早めてしまったことから生まれた偶然の産物だともいわれています。FMとはFrequency Modulationのことで、ある音を特定の周波数で変調させるという仕組みはLFOのそれと同様です。FM音源では変調させる側をモジュレーター、される側をキャリアと呼び、いわば「LFOをLFOで変調させる」的な強烈な変調でもって音を作ります。

モジュレーターとキャリアには組み合わせのパターン「アルゴリズム」があり、アルゴリズムの数はオシレーター(オペレーターともいう)によって異なります。DX7は6オペレーター全32アルゴリズムです。じゃあ32通りもパターンを覚えないといけないのかというと、DX7の筐体にはちゃんと配置図が書いてあるので安心。でも、どのオペレーターがどのオペレーターにどんな波形で作用して、それが最終的にどんな音として聞こえてくるかをイメージしづらいのが、FM音源の欠点でした。

近年発売されたKORGのVolca FMはDX7とも互換性がある32アルゴリズムのエディットがあのサイズで楽しめますし、YAMAHAから出ているreface DXは4オペレーター12アルゴリズムですが、DX7では1つのオペレーターにしかかけれなかったフィードバックを4オペすべてにかけることもできます。なおかつ液晶画面で波形とアルゴリズムが見やすい。何かと良い時代になったものです。

まとめ

VCOで波形を決める→VCFで加工する→VCAで音量を調整する、というのが、アナログシンセのおおまかな仕組みです。その過程で、LFOでうなりを加えたり、EGで音に時間的な変化を加えたりしていきます。

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この流れはどのシンセも同じなので、各セクションの仕組みがわかっていれば初めて見るシンセでもそれなりに触れるはずです。オシレーターがココだからコレがFrequencyで、こっち行ってコレがフィルターでこっちがアンプのEGで……という具合。実際僕も、Minimoogと初対面の時はこんな手探り全開の心理でした。

シンセサイザーの面白さは、自分の意思で劇的に音を変えられること。荒々しい音や神秘的な音、キテレツな音や泥臭い音など、気持ちの昂ぶりの赴くままに音色を変えて楽しみ、演奏することができます。それはとても創作的で、音と向き合える行為ではないか、と。

気になるけどどう操作すればいいかがわからないという方は、第一歩としてとりあえず触ってみて、何かツマミを動かしてみて下さい。その手探り感や操作自体の面白さもまた、シンセのもつ魔性の魅力なのです。

指先に感じる、レジェンダリー・サウンド。KORGショールームで「Minimoog Model D」に触ってきた

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Source: Wikipedia

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