銃からできた金属「ヒューマニウム」がカンヌでイノベーションライオンズ受賞

銃をリサイクルした金属「ヒューマニウム」、カンヌでイノベーションライオンズ受賞
Image: Humanium Metal Initiative

まだ世界に1トンしかない、レアメタル。

6月17日から24日まで、世界の広告やPR活動の中から優れたものを表彰するカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルが開催されています。その中で、ある金属が「ライオンズイノベーション」という賞に輝きました。

広告の賞の中で「金属」とは意外な展開ですが、ライオンズイノベーションでは「クリエイティビティの触媒、実現者となるデータや技術」を毎年取り上げています。今回そのイノベーション部門で受賞したのが、「ヒューマニウム」という新種の金属なんです。

ヒューマニウムと聞いてつい、「そういえば日本人が発見した元素…」と思ってしまったんですが、それはニホニウムでした、すみません。

ヒューマニウムはニホニウムと違って、物質自体が新しいわけじゃありません。Humanium Metal Initiativeが作り出すその金属は、違法な銃を回収し、リサイクルしてできるものなんです。

Video: Humanium/Vimeo

Humanium Metal Initiativeによれば、世界中に違法な銃は数億丁もあり、毎日1,500人もの人が銃によって命を落としています。銃を使った犯罪によって世界で毎年4000億ドル(約44兆円)の経済損失があるとされ、その影響は特に途上国で深刻です。ヒューマニウムはアーティストやデザイナー、ブランドなどに素材として提供され、違法な銃の問題に光を当てると同時に、収益は銃の犠牲者救済などのために使われます。Humanium Metal Initiativeを立ち上げたのは貧困などの社会問題に取り組むスウェーデンのNPO「IM」で、このプロジェクトはスウェーデン政府からの支援も受けています。

ヒューマニウムが初めて生まれたのは2016年11月、中米エルサルバドルでした。Humanium Metal Initiativeはエルサルバドル当局と協力し、銃排除プログラムで回収された銃を元に1トンのヒューマニウムを作り出しました。すでにスウェーデンの時計メーカー・Triwaや不動産デベロッパーのOscar Properties、自転車メーカーのBIKEID、小物・雑貨ブランドのSKULTUNA、さらにスウェーデンの有名デザイナーたちが、ヒューマニウムを使った商品を打ち出すべくコラボレーションを開始しているそうです。

ちなみにヒューマニウムは市販はされていませんが、コラボレーションしたい人はメールで直接問い合わせが可能です。またインゴット型に固めたもの(上の画像)を個人として買うこともできるそうですが、これはこれで何か「鈍器」っぽいし、ひとつ2万5000スウェーデンクローナ(約32万円)もするので、実際買う人は…いるんでしょうか?

ともあれ、考えてみれば金属に罪はなし、世間のつまはじきものの銃だって、誰かにとってうれしいモノに生まれ変われるってことですね。しかもこのリサイクルが生み出すお金で、銃の被害に遭った人を助けられるんです。いろんなブランドとのコラボレーションから実際どんなものが生まれていくのか、楽しみです。

Image: Humanium Metal Initiative
Source: Humanium Metal Initiative, Cannes Lions via Fast Company, Vimeo

(福田ミホ)

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