映画『ブレードランナー 2049』新予告編を徹底解説。デッカードは誰に追われていたのか?

映画『ブレードランナー 2049』新予告編を徹底解説。デッカードは誰に追われていたのか? 1
Image: © 2017 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

公開されたばかりの『ブレードランナー 2049』新予告編には、謎がたっぷり詰まっていました。レプリカント、ブレードランナー、デッカード、エージェントKなどなど……io9の徹底解説で驚愕の未来を垣間見ましょう!

Video: SonyPicturesJapan/YouTube

動画はSonyPicturesJapanより。

以下はio9のKatharine Trendacostaによる解説です。

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映画『ブレードランナー 2049』の新たな予告編が公開されました。前の予告編ではジャレッド・レト演じるキャラクターのウォレスが悪役に見えたかもしれませんが、今回の予告編ではもっとゾッとする感じになってますよ。他にも新たなキャラクター、新たなロケーションが見られますし、そして多くの台詞が最初の予告編とは微妙に変えられているんです。

以下は公式による映画のあらすじです。映画中で主に何が起きるのかがわかります。

オリジナル版『ブレードランナー』から30年後、新人ブレードランナーであるロサンゼルス市警察のK(演:ライアン・ゴズリング)は、僅かに残された社会を危機に陥れるほどの長年埋められていた秘密を掘り起こす。Kのこの発見は、元ロサンゼルス市警察のブレードランナーで30年もの間、行方不明となっているリック・デッカード(演:ハリソン・フォード)を探す旅へと彼を赴かせる。

この予告編で一番興味深いのは、まずウォレスが横柄で明らかに悪役的に写っていること、そしてロサンゼルスの外に生きる人々もより多く写っているということです。

公式の映画内容の「僅かに残された社会」(what's left of society)が暗示するのは、黙示録的な出来事の後、それでもなお残った文明にすがるロサンゼルスの姿です。予告編10秒あたり、放射状の人工物で埋め尽くされたカリフォルニアの姿は、まるで太陽発電所か何か、街に電力を供給する場所のよう。

14秒の霧の中に木がある光景の重要性は、これがリドリースコットが2015年に明らかにした『ブレードランナー 2』の最初のシーンの構想に合致する点です。「振り返ると見えるのは巨大な木。木自体は死んでいるが、ワイヤーによって倒れないようにサポートされ、生かされていた」という部分、木にはちゃんとワイヤーも見えますよね(訳注:このスコットの語るオープニングシーンでは、この場所にスピナーが降りてきて、中からはデッカードが現れる)。どうやら、本作の時代設定が初代『ブレードランナー』から30年後ではなく、もっと前の話であったなら本作でのオフィサーKの役回りはデッカードがしていたのではないかと十分に考えられます。

このシーンでは他にも、元々デッカードがするはずだったことがKに置き換えられた箇所が見て取れます。スコットは『怒りの葡萄』的な白いコテージと農場について語っていましたが、続くシーンに合致するような描写が見受けられます。そしてデッカードがそこで「巨大な男」に会うというのもデイヴ・バウティスタ演じるキャラクターとマッチしていますね。

15秒、白い建物に書かれたキリル文字は、国の言語により意味が違うようです。ロシアの地名か、ブルガリアの地名かもしれません。ロシア語での意味は「virgin lands」、もしくはロシアの監視衛星となります。またGoogle Translateによれば、これがマケドニア語では「全体」という意味とのこと。

(訳注:ここに書いてあるのが「Целина」か「Цепина」のどちらかが書かれているのかという違いで、前者はロシア語、後者はブルガリアの城と街の名前となる。「Целина」と見た場合、「人の手に触れられていない大自然」といった意味を持ち人工衛星ツェリーナもこの表記であるが、この場所が農場であるという文脈からすれば、ソ連の食糧危機対策として行なわれた「Освоение целины」(Virgin Lands Campaign)であると考えた方が妥当かもしれません。この計画は、これまで開拓されていなかった土地を農地にするというものであり、言葉の意味的にも、スコットが話した農場という設定にも合致します。なお、蛇足ですがキリル文字をラテン文字で表記すると「Tsepina」もしくは「Zepina」となり、後者だとハイチ語で「ほうれん草」という意味になります。)

デイヴ・バウティスタは前回の予告編では、Kを投げて壁を突き破るという人間らしからぬ力を発揮するシーンにしか写っていませんでした。しかし今回は台詞も出てきます。

K「彼の居場所は?」

バウティスタ「警察だろ。連行する気か?」

K「いや、ここで解決する」(英語の直訳だと「俺はその手段のほうがずっと好きだが、別の方法もある」)

この台詞でデイヴ・バウティスタがレプリカントだということはほぼ確定でしょうか。Kはブレードランナーとしてバウティスタを「解任」させると言うわけです。予告編を見る限りうまくはいっていないようですが。

この部分まではまだオープニングシーンであり、レプリカントを狩るものでありながらも「先に撃って後で訊く」やり方をとらないという、Kのキャラクターを確立させる瞬間にも感じられます。彼の質問であるどこに「彼」が居るのか、というのは多分、前作の終わりからずっと行方知れずとなっていたデッカードに関するものでしょう。ここで暗示されているのは、デッカードは何かを知っており、それが原因で隠れたということです。

ここからは前の予告編にも写っていた未来のロサンゼルス、ウォレスの家、ウォレスの顔が写ります。

43秒に写っているのは新しいレプリカントのネクサス8。オリジナル版『ブレードランナー』に登場したレプリカントはネクサス6でした。

また、ここでのウォレスのスピーチは最初のトレーラーと少し内容が変わっています。最初のトレーラーでは「あらゆる文明は使い捨ての労働者で成り立つ」(Every civilization was built off the back of a disposable workforce)と話していましたが、今回は「文明の飛躍には使い捨ての労働力が必要だ」(Every leap of civilization was built off the backs of slaves)となっています。これが一つのスピーチの別の部分なのか、同じスピーチの別バージョンなのかはわかりません。

「レプリカントがそれを担う、だが多くは創り出せない」とウォレスは続けます。

このスピーチが、レプリカントが奴隷であると認めている一方で、ウォレスはこれを文明存続のための必要悪とみているようでもあります。もしくは、それとも彼が悪役の考えるような「未来」の見方をしており、現在をそれに置き換えようとしているのでしょうか。

どちらにせよ、彼の目的を達するために必要なだけのレプリカントを作ることができないことで、ウォレスは残念がっているようであります。

50秒の部分ではシルヴィア・フークス演じるキャラクターの目から一筋の涙が。彼女がもしレプリカントで無いとしたら……。

そこからは、また前回の予告編とは少し違うウォレスの台詞が。前回のものでは「未来を知る鍵がついに明かされる」(The key to the future is finally unearthed)でしたが、今回は「鍵を握るのは彼だ」(I have the lock and he has the key)となっています。(訳注:ただしこの前回の予告編に対応する部分は後にも出てきます。この部分では「鍵」に着目しているようです)

どちらの予告編でも「鍵」の部分は、「16-10-21」と彫られた石が地面からあらわになる(unearthing)タイミングに合わせられています。そして今回、この石が例の木の下にあることが判明しました。これは日付に違いありませんよね? それとも錠を開けるための番号なのでしょうか。

本作で色合いは場所を表す要素になっているようです。オレンジと埃はベガスのデッカードの隠れ家。色あせた白と灰色はバウティスタの農場。そしてもちろん、黒とネオンはロサンゼルス。58秒では蜂が手にとまりますが、なんだか映画/ドラマ『ウエストワールド』に登場するハエのようです。

Redditでは、『ブレードランナー』の原作となったフィリップ・K・ディックによるSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では、物語は「世界最終戦争」(World War Terminus)後の世界が舞台になっており、大気は放射能を帯びた埃に満ちている状況であると指摘されています。前作『ブレードランナー』ではこれについてはほとんど触れられていませんが、本作ではこの設定が活用されるのかもしれません。

「彼を見つけた」と言うKに対し、「あり得ないわ」と返すロビン・ライト演じるキャラクター。どうやらLAPDでのKの上司役のようです。そして「"これ"が表に出ると、戦争が起きるわ」と語ります。

この台詞は前の予告編でのライトの「この世界は分断されている。一つにしようとすると、争いが起こる」という台詞にエコーするかのよう。この台詞の違いは、世界を分断している「壁」に関して秘密があることを示唆しています。もしその秘密が、レプリカントが実はアンドロイドでは無く、遺伝子組み換えされた人であるということであれば……。

もしかしたら、ここに見える社会は全てレプリカントたちで、彼らによる反乱で、逃げる側にいるのは全て人間かもしれません。公式情報が少ない現状ではどんな案もあり得そうです。

1分13秒から写るのは、「僅かに残された社会」の外のよう。この部分には今回のトレーラーで始めて目にする場所と人々が写っています。

見た感じバウティスタの農場からそう遠く無さそうにも見えますが、Kの受けている仕打ちからすると、逃げて自分たちだけで暮らしているレプリカントたちの隠れ家のようにも思えます。

デッカードとKの会話では、「知りたいことがある」、「何があった?」とK。デッカードは「痕跡も記録も消した、追われておたんだ!」と応えます。

この台詞に皆の注目が集まりますよね。「Kはブレードランナーであり、レプリカントたちを狩り、彼らを作る男(ウォレス)について何かを探ろうとしている」という文脈から考えると、これはデッカードがレプリカントであるという確証だと考えるのはたやすいことです。

とは言え、この映画がそれを明らかにするかもまだわかりませんし、デッカードがレプリカントかどうかについては矛盾する発言もありました。この台詞は例えば、デッカードがオリジナル版『ブレードランナー』の後にレプリカントたちを助けることに決めたとしてもまだ意味が通りますし、レプリカントたちが逆にブレードランナーたちを狩り始めたと考えても意味を成します。

デッカードが「痕跡も記録も消した」と言う1分25秒のシーンでは、どうやらKとJoi(演:アナ・デ・アルマス)が何かを調べているようでもありますが、そもそも記録とはなんなのでしょうか? レプリカントの記録?

このシーンに登場するJoiはビルボードにも写っていた女性です。彼女はただのモデル以上の存在だと思われます。彼女のレインコートは一瞬未来的な実験着を着ているかのようにも見えました。(訳注:オリジナル版『ブレードランナー』ではレプリカントのゾーラも透明なレインコートを着ていましたね)

デッカードの「追われていたんだ!」に対して「誰に?」と尋ねるK。1分36秒では良い感じにレトロな接近センサーが。予告編では答えは得られぬまま「バレたぞ」とデッカード。

その後に写る爆発は、最初の予告編に写っていたものよりも長いバージョンです。デッカードとKが向かっていたポリススピナーが爆発します。

「お前は本当の痛みをまだ知らない」とウォレス。まさに悪役です。

ウォレスは「彼を連れて来い」(Bring it to me)と言っていますが、英語では「it」と呼ばれています。これは彼が「あれ」と呼ぶレプリカントのことなのでしょうか? ここで別のナイフが画面に映ります。これはもしかしたらフークスが持つナイフで、鼻血を出しているKを探しているのかも。

1分56秒から写る人々は、先ほどのゴミの山でKが戦っていた人たちに似ているようです。

ここで判明するのは、どうやらレニー・ジェームズ演じるキャラクターは、(もしかしたらレプリカントかもしれない)人々のリーダーと思われます。彼らはどうやらガラクタの中からなにかを見つけ出そうとしているように見えますね。もしかしたらレプリカントを助命するためのパーツでしょうか。それとも彼らが優勢になるために必要なテクノロジーでしょうか?

次のシーンではライトが「"これ"が世界を滅ぼす」と語っています。

そしてフークスが「彼はどこ!」と、グラスを持つライトの手を握りつけ、超人的な力でグラスごと拳を砕きながら叫んでいます。ライトの語る、全ての終わりの話からすると、彼女はある意味ではKとデッカードの側に居るのかもしれません。

短いカットからなるフッテージがたくさん流れてから、ウォレスが「我々の未来が暴かれようとしている」(The future of the species is finally unearthed)と語ります。(訳注:この部分が前の予告編での「未来への鍵がついに明らかになる」(The key to the future is finally unearthed)に対応している)

この予告編ではデッカードがとても早い段階で登場しますが、私の予想では本編ではそうはならないと感じます。私が考える本作の流れは以下の通り。

Kはバウティスタの農場に何かあると言われそこへ行き、鍵を見つけ、それを使うことで長年埋められていた秘密を見つけ、デッカードと会うことでこの秘密を確かめ、ウォレスの一味に追われて・・・そしてクライマックス。

この秘密はレプリカントの性質や、まだ私たちが目にしていない人々、ヒアム・アッバスとバーカッド・アブディ(特に後者は科学者役であると判明していますし)が演じるキャラクターに関連するものであるはずです。

今回の予告編は、前回の予告編と併せて本作のテーマや映画のカタチについて多くを語ってくれています。それでも、細かいところはまだまだ私たちの手の届かないところにあるようです。

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以上、io9のKatharine Trendacostaによる解説でした! うーん、Kと戦うゴミの山の人々、レニー・ジェームズ率いる人々の謎、そしてシルヴィア・フークス演じるキャラクターの見せる涙。一体どんな謎が隠されていて、そしてデッカードを追っていたのは何者なのか。ブレードランナーがレプリカントを狩るのか、レプリカントが人を狩るのか……。

10月27日(金)の日本公開が待ちきれませんね。

映画『ブレードランナー』と『ブレードランナー 2049』の映像を並べて比較。ビジュアルや空気感は共通しているものの……

Image: © 2017 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.
Source: YouTube, io9(12), Wikipedia(123),Reddit

Katharine Trendacosta - Gizmodo io9[原文
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