全米一悪名高きサンクエンティン刑務所の中のテクノロジー(動画)
囚人はネットサーフィンできるの? ガジェットは持ってる? 武器は作ったりするの? ポルノと酒はどこで調達する? 壁の外は便利なものに囲まれたモダンな暮らしだけど、壁の中の人たちはどんな暮らしなんだろう...?
ギズ編集部では21世紀の技術がどれぐらい壁の中に浸透しているか実態を知るために、世界で最も有名なテクノロジーのメッカ・シリコンバレーから北に小1時間のサンクエンティン(San Quentin、サンクアンタン)州立刑務所を訪ねてみました。
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サンクエンティンは伝説の刑務所です。20世紀を代表するミュージシャンのひとり、ジョニー・キャッシュが初の刑務所ライブを演ったのも、ここ。
マン・イン・ブラック(黒服ジョニーのあだ名。歌もある)が来た日からサンクエンティンもだいぶ様変わりしましたが、もっと心を打つのは昔と少しも変わってないところです。壁の内側を今回特別に見させていただいたわけですが、「勉強になりました」という言葉ではとても収まり切れない体験でした。まず壁の中に入るためには、守るべき規則が沢山あります。青、グレイ、オレンジの服は厳禁です。縫い目もだめ。このカラーは服役者専用なのです。青とグレイはフルタイムの服役者、オレンジはさらに警備が厳重な刑務所に移送するかどうか審査中の服役者です(オレンジ色の男には絶対近寄らないよう言われた)。携帯電話も持ち込み禁止です。武器として使えそうなものは当然アウトです。中に武器がないわけじゃないですけどね、後でわかることですが...。
沿革を少々。サンクエンティンは1852年にできたカリフォルニア州内最古の刑務所です。州内で死刑設備を持ってる刑務所はここだけ。昔は絞首刑にかけていたのが、後にガス室となり、今は致死注射で処刑しています。こんな全室オーシャンビュー(地元の人)の一等地で死刑を待つなんて...考えるだけで泣けますよね。
サンクエンティンのある一帯は、サンフランシスコからアルカトラズ島を挟んで北岸に広がる高級住宅地マリンカウンティ。紺碧のサンフランシスコ湾にせり出し、北にタマルパイス山を臨む絶好のロケーションなのです。「太陽は安いが、眺めは買わないと見れない」とはサンフランシスコの不動産屋に昔から伝わる諺ですが、「こんな一等地にどうして死刑囚が...」とデベロッパーは前々から分譲したがっているのですね。確かに刑務所潰して家建てたら1軒数億円は下らないでしょう。
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サンクエンティンは収容最大3082名のところ、現在5000名が服役中です。死刑囚監房に住んでいる死刑囚は600名―フロリダやテキサスより遥かに多い数です。これを見張る看守はピークのシフトでもたったの300名です。
ギズ取材班が視察したのは主にノース・ブロックで、ここには約850名が収容されています。うち約650名は終身刑、約80%は凶悪犯罪で収監された人たちです。服役者は小部屋に男2人ずつの割合で収容されています。元々独房として造られた部屋なので、見るからに詰め過ぎ。彼らは相部屋の同居人のことを「cellies」と呼んでいます。
サンクエンティンは地上の「離れ小島」で、そうなるよう意図的にデザインされています。受刑者をモダンなテクノロジーの世界に関わらせたくない、という意向は一目瞭然です。 インターネット接続は一切禁止です。テレビは見れますが、ケーブルTVはありません。電話はかけられますが、携帯電話は持てません。酒は、もってのほか。
まあ、没収されるのわかっていても、テクノロジーはどこからか潜り込むものらしく、携帯電話を入手する違法経路は無数にあるようで、刑務所内をぐるぐる回して使ってるんだそうですよ。酒は独房の中でヤミ酒造り。持ち込み許可されてる端末を改造して本来の目的と違うことに使う器用な人もいるようです。
意志あるところ、道は開ける―その原則は刑務所も同じということですね。それに、時間だけは無限にあるんですから...。
ノース・ブロックの狭い廊下を、文字通り殺人犯に囲まれながら歩いていると、閉所恐怖症のような感覚に襲われてどうしようもありませんでした。武装した警備員が付き添ってくれたわけでもなかったので...というかノース・ブロック全体でも警備はたった3人しかいなかったんですね。中には一生仮釈放のチャンスもない男もいる...失うものなんて何もない...歯ブラシとんがらせてつくったナイフで腎臓ひと突きされるんじゃ...と半ば覚悟して周りましたが、1日何事もなく済みました。
受刑者のみなさんにも取材させていただいたのですが、みんな気さくで受け答えもハキハキしていました。別の場所で会ってたらたぶん「いい人だな」って思ってしまうかも。それなのに大体の人は殺人で収監されてる...それが心の中でうまく咀嚼できなかったです。そんなことする人にはどうしても思えなくて、よっぽどそうしなきゃならない事情があったんじゃ...と思ってしまいました。
取材対象のほとんどは'70年代から刑務所にいるんだそうです。若いころ大きな過ちを犯し、多くの人が「絶対許せない」と主張し、今尚その過ちの償いをし続けているんですね。僕が生きてきた時間より長く刑務所にいる人も沢山いました。
午後刑務所を後にした時には、こうして刑務所を出ることができる自分がどれだけラッキーなのか、ひしひしと感じました。車に戻ったらバッテリー上がってたんですけど、「だから何? 刑務所の中にいるわけじゃあるまいし、こんな細かいことでクヨクヨするな」と思ってしまった...。
我慢してたスマフォも再び手にしてみると信じられないぐらい便利で魔法みたいだし...。晩ご飯食べてビール啜ったり時折メールチェックしながら、 みんなで普段当たり前に思ってることがどれだけ大事かって話をしました。僕はいつも自由を満喫してるけど、自由がない暮らしがどういうものかは自分の目で見るまであんまりはっきりとは分かってなかったように思います。自由がないと人は、人生で味わえるものをありったけ享受したい気持ちに駆られるんです。そして、家に帰れることに感謝するものなんですね。
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今週はサンクエンティン内部のテクノロジーのレポートを写真・動画をまじえて日替わりでお届けします。初回テーマは「Prison Hacks」(翻訳は後ほど!)。
取材にご協力いただいたカリフォルニア州更生社会復帰局のTerry Thorntonさん、Dana Toyamaさん、Sam Robinsonさん、守衛官Don McGrawさん、オフィサーのEric Pataoさん、Gino Whitehallさん、人生の断面を共有してくれた服役者のSam Johnson Sr.さん、Richard Lawrence Alleyさん、Shahidさん、Marvin Caldwellさんに感謝します。
動画制作:Bill Bowles、Woody Allen Jang、Brent Rose
BRENT ROSE(原文/satomi)
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