2015年に過大評価されすぎた科学的発見

2015年12月27日 17:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
             
                 
    

151222overhyped001.jpg


今年も多くの科学的な発見がありました。でも、その中には必要以上に大騒ぎをした割には微妙なものも。


宇宙人による巨大建造物と思いきや…


151222overhyped002.jpg


ケプラー宇宙望遠鏡の観測によると、連星KIC8462852の光が20%も巨大な何かに吸い込まれているらしい…。そんな報告を受けて「すわっ、異星人の作った構造物か?」という騒ぎになったのは今年の10月上旬のこと。あれはダイソン球だという説について検証する人もいましたっけ。

その後でNASAが「あれは、彗星群が惑星を横切っただけって可能性が高い」と発表。いつの間にか収束していたようです。ちなみに米GizmodoのMaddie Stone記者は、「誰かが言ってたように、光を遮っていたのは巨大な宇宙セイウチだったってオチなら面白いのに」とコメントしています。なにそれ、かわいい。


ベーコン食べるとガンになります説


151222overhyped003.jpg


特に毎朝のようにベーコンを食べるアメリカ人にはショッキングな発表だったに違いありません。しかも、マスコミがこぞって「ベーコン、ガン」って部分だけを抜き出し、まるで加工肉が核廃棄物であるかのように報道しましたから。でも、これも言い過ぎだったようです。

確かに加工肉はIARC(国際がん研究機関)が作った発がん性リスク一覧の中で、アスベストやプルトニウムと同じ「グループ1」に分類されています。でも、この分類はガンになる可能性の高さとは関係がありません。

確かに年間のガン死亡者のうち、約3万4000人は加工肉の摂取制限を医師から指示されていました。ですが、ガンで死亡した喫煙者は100万人に上ります。

なので、加工肉に限らず、特定の食品の摂取が直接ガンにつながるという類の話があったら、疑ってかかるぐらいがちょうど良さそうです。あまり神経質になると、それこそストレスでガンになりますからね。


え!? ワープドライブ?

151222overhyped005.jpg


半永久的に動くEmDriveというエンジンの原理は、密閉された容器の内側にマイクロ波を反射させて推進力を得るというもの。マイクロ波は太陽光発電からも得られるので、宇宙空間で半永久的な動力として活用できるとされています。

つまりEmDriveの実現は、ワープドライブで自在に銀河を飛び回るスタートレックのエンタープライズ号が現実になるってことなんです。これをNASAが本気で研究していて「NASAによる銀河輸送システムが発表間近」だなんてニュースが一部で流れたものだから大騒ぎ。ですが、残念なことに今の段階では与太話に近い話だったようです。

まず、実際にNASAの研究チームによる論文の発表はありました。ジョンソン宇宙センターのチームが真空中でEmDriveと同じ原理の実験をして「何かしらの」成果を得たという事実はあります。

でも、この実験結果をNASAが公式に認めているわけではありませんし、論文が査読を通っているわけでもありません。つまり、ワープドライブが実現できるという根拠は研究室内で短期的に行われた実験結果だけなんです。


2030年に来る氷河期で地球温暖化は解決?


151222overhyped006.jpg


2030年にミニ氷河期が来る。じゃあ、地球温暖化は解決だね! なんて説もありました。その根拠は、2030年頃に太陽黒点の縮小によって太陽の活動が60%減少するという天文学者の発表です。「凍ったテムズ川」の絵画で知られる17世紀のマウンダー極小期が再来するとも言われていました。

ですが、これに対して気象学の専門家たちから猛反発がありました。彼らに言わせれば「太陽の活動と地球の気候は全く無関係ではないが、決定的に大きな影響を与えたりはしない」とのこと。彼らはこうとも主張しています。「仮に太陽黒点が多少なりとも地球を冷やす原因になったとしても、それは二酸化炭素による温室効果の数年分を相殺するにすぎない」と。

そもそも17世紀のマウンダー極小期にしたって、太陽黒点が縮小したことが、前後数世紀にわたるミニ氷河期を引き起こした原因だという明確な証拠は、まだ見つかっていません。同じタイミングに起きたことが、必ずしも因果関係があるとは限らないんです。


クマムシの奇妙なDNA


151222overhyped007.jpg


クマムシのDNAは植物、細菌、ウィルスといった外来遺伝子が多くふくまれています。さらに親から子へ伝搬するだけではなく、生きているうちに他の生物から遺伝子を取り込む水平伝搬という不思議な性質も持っています。これはどういうことなんでしょうか?

クマムシは水分が少ない環境にいる時は、自分も乾燥して休眠してしまいます。DNAまでもが細分化されてしまいます。そして、周囲に水分が戻ると、ふたたび自分も水分を吸収して活動を再開するんです。その時は一時的に他の成分を透過しやすくなるので、他の生物のDNAを取り込むことができるという説が濃厚です。不思議ですね。

また、クマムシは真空状態だろうと沸騰したお湯の中だろうと、あらゆる過酷な環境でも生存できるという説もありました。これまたセンセーショナルな話題なので、メディアで随分と取り上げられましたが、こちらは根拠が少々乏しいようです。

***


科学的な発見はロマンがあります。信じたいという気持ちが、真偽を見誤らせることも多々ありますし、逆にトンデモだとされていた説が、実は後から真実だったと証明されることもあります。驚きや想像の楽しみを享受しながらも、ひとつの可能性として少し俯瞰して見る視点も大切かもしれません。


Maddie Stone - Gizmodo US[原文
(高橋ミレイ)

このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事が気に入ったら「いいね!」してね

お知らせ