基調講演でジョブズ氏はソニーTZを俎上に載せ、キーボも液晶も小さいし厚過ぎるし、そんな良くない、「Airは一番厚いところでもTZの一番薄いとこよりまだ薄い」と話してましたけど、ソニーはMacBook Airのこと、どう見てるんでしょ? その辺をズバリ、VAIO製品マーケティング部門シニアVPのマイク・アバリー(Mike Abary)氏に尋ねてみました。
「あれだけ薄型のラップトップを作ってしまう技術力は感銘極まりない」―氏はそう思ったそうです。でもソニーにもかつて似たようなウルトラポータブルのビジョンがあった。2004年のカーボンファイバー積層板のノート「X505」です(写真上、日本は03年発売かな?)。
光学ドライブ取っちゃうところはAirと一緒。一番薄いところで厚さ0.3インチです(Airは0.16インチ)。ところが、それほどお客様のウケは良くなかった。何故か?
後の調査で分かったのは、「薄さは聖杯ではない」ということ。つまりここまで薄くセクシーに作るとユーザビリティの面で犠牲が余りにも大き過ぎる…(これはギズモ読者のコメントでも同意見の方が多かった)。
2004年当時は光学式ドライブ外すなんて無謀なことでした。でも、2008年の今は「それもありかな」という空気です。特に今はネット接続がよりブロードになってストレージ容量も増えサムドライブもBitTorrentも揃ってるし、あとアップルにはwireless Nで使えるRemoteの光学ドライブ技術もあります。Airの方が受け入れ土壌はある。
でもソニーがTZに進化させた先祖のウルトラポータブル「X505」はLEDバックライト付きで、小型だけど使えるキーボードとポートもたくさんついていて、3Gデータ通信内蔵だったそうですから、ことによるとソニーは消費者の欲しがるものを汲むことにかけては「アップルの4年先を行っているぜい」と思っているのかも。
ところでストレージが限られている点をNYタイムズ記者に突かれたジョブズ氏は、こう答えてます。
おそらくこれは君のような人が使うコンピュータではないね
"Maybe this isn't the computer for you."*
ソニーのマイクさんに先のコンピュータは誰を念頭に置いて作られたものなのか尋ねてみると、返ってきた最初の答えは「知るもんか!(Beats me)」。そのあとちゃんと、「極めてデザインに敏感な人ですね」とそれらしい回答をくれました。
Airに復活させたい(X505の)機能があるとしたらそれは何ですか? という質問には迷わず「3G」と即答しました。
これねー、「ライバル企業の言うことなんて…」と全部テキトーに受け流せたらいいんですけど、そう軽く受け流すには、自分のマシンのコレクションのどこにAirがフィットするかで割り切れない気持ち抱えている人が大勢い過ぎるような気も。多少実用性に欠けてもAir買いたい気持ちがまだあるギズモとしては悩ましいところ。
* 今週の流行語。Airのターゲット顧客って誰なんでしょうね?BRIAN LAM(原文/訳:satomi)
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