サンフランシスコにほど近い「ローレンス・リバモア国立研究所」。
ここには米政府が総額30億ドル投じたレーザー核融合施設「National Ignition Facility(NIF)」があります。水素原子を融合させ、小さな星、引いては理論上は無限のパワー源にさえ近づける…そんなちょっとキワどいものを目指している知る人ぞ知る国家プロジェクトです。
その謎多きNIFにPBS取材班が潜入し、このほど内部の撮影を決行しました。これがもう「すごい」のなんの。本当に素晴らしいプロセスなんです~、はい~。
ややヘドロモドロ気味ですが、ギャラリーの後に簡単に解説を試みてみましょう。
すべては1筋のレーザーから始まります。
レーザーを48筋のビームに分断し、その上で鏡でビームの進路を曲げ増幅機に向かうようにします(この増幅機には前もって合計7680ものキセノンのフラッシュランプを浴びせかけておきやす)。
で、4回反射を繰り返すと、ビームはさらに192筋の光線となって設備全体(フットボール場3個分!)に広がってくのです。終わりの無いチューブを通過するごとに光はぐんぐん急激な勢いで増幅していきます。
結局たった1ジュールのレーザーの10億分の1という小さなものから、NIFの科学者たちが手にするのは「計180万ジュールの紫外線エネルギー」。つまり米国内の発電所を全部合わせた発電量の実に1000倍相当、5兆ワットのエネルギーなんです。
上の写真にあるような冷凍水素燃料電池をこのレーザーで圧縮し、金メッキのシリンダー「hohlraum」に囲い込むんですね。このHohlraumは直径32.8フィートの点火チェンバー(炉容器)にあって、レーザーを極めて密度の高いX線に変え、ものの100万分の1秒で1000億もの水素の気体を圧縮するという優れものでございます。
ここでコントロールされた核融合反応を引き起こし、ちっちゃな星を作る、というわけです。せめてレーザーを燃やすのにかかったエネルギーの元が取れるぐらいはエネルギー生成できると良いんですが。「この通りにいくかな?」という、米Gizmodo読者投票の結果はここ。
小さな星、無尽蔵のエネルギーという表現が存在感ありますよね。
[National Ignition Facility, NIF at Wikipedia, FusEdWeb, and Lasers at Wikipedia via Quest]「レーザー核融合」Wikipediaの解説
Jesus Diaz(原文/訳:satomi)
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