ガンダムの富野監督が東大でスペースコロニーをぶった切る

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    ガンダムの富野監督が東大でスペースコロニーをぶった切る

    まことに富野監督宇宙視点です。

    東京大学駒場キャンパスで行われた「テクノドリームI:工学~それは夢を実現する体系~」では、富野由悠季監督が東大工学部教授東大出身の実業界の方を相手にビームサーベルで斬りまくるような、切れ味鋭いディスカッションが楽しめました。もともとは最近理系志望者が少ないなあ、もっと工学部志望者を増やすために広くPRしなきゃ! という主旨だったようですが、集まったのは学生だけではなく私を含めて大きな子供たち。富野監督によると平均寿命が延びた現代では35歳まではまだ青少年だっ! ということですから、ほとんどは青少年に入るからいいですよね。

    この後にて富野監督の名セリフをご紹介します。まさに富野節炸裂といったところです。

    「最初自己紹介しなかったけど、それは東大にきてビビッて緊張したからだなんて、巨大掲示板に書くなよ!」

    「スペースコロニーなんて作れるはずがない。1000年から2000年住める構造物にならない。作れるもんなら作ってみてよ」

    「ロボット工学なんて、人間としての性能劣化を促進するような工学だよ」

    「ロボットに乗る子供をずっと描いてきたけど、あんなの誰だって乗りたくないよ、乗り物酔いするし。だから止めましょう」

    「(戦中は)15歳で陸軍学校に入って、17歳で入隊して、20歳まで生きられるかどうかって人が真剣に生きていた。君たちは生きていることの切迫感を持っているかっ!!

    「東大に入るのにどんなに努力したとしても、それは生き死にの切迫感まで持ってない。だからこれからでもまだ遅くない」

    「東大の学生が目指しているのはノーベル賞のような研究だっていうが、それは中世的だ」

    右肩上がりの幻想にとらわれている。地球は有限なんだ。人間の存在自体が悪だとなぜ考えない?

    「文明はシステム、だからシステム工学で考えるべき。永久機関、循環工学といった方がいいかも知れない。このままではみんな死ぬぞ!

    「あとは新世代、new typeに任せた!」

    「日本はね西洋文化圏を咀嚼して取り入れた稀有な人々。宗教だって、倫理だって飲み込んだ。この調子でイスラム文化も受容してほしい」

    「だいたいパスポートをほとんどの人が持ってないアメリカ人が、地球をつかいこなすセンスをもっているなんて思えないでしょ」

    「地球温暖化でいえば、人間は生体だから熱をそれ自体で出している。それが100億人もいるんだから、強暴な種だよ。地球からみたら、なくしちまえ!

    「だから渋谷なんてたくさん人がいる街を見ると、『立てよ国民!!』って思っちゃう」

    「次の世代、みんなには未来を見せて欲しい。そうしたら死んでもいいなって思える」

    「地球って凄い基盤なんだよ、シンプルなのに凄い惑星。他にこんな星ないからね」

    「よく戦争史で戦争がこれだけのエネルギーを消費しましたっていっているけど、今のネットの使用エネルギーの総量と比べてごらんよ。どっちが大きいの?」

    「ネットはね、誰でも発言ができるためにみんなの心を侵しているよ。道徳や規範を改めて考える時期がきている。これも人類が増えすぎたからかも」

    「人口が減ることへの危機感を持っているようだけど、人口が少ない江戸、明治時代だって文化はあったし、新しく作れる」

    「日本は文化を列島の上にのせてきた人々だから、これからも新しいグローバルスタンダードやアートを作って、世界に発信していける」

    「世界に発信するために英語を使え。new typeには語学力が必要なんだ

    まあギレン的でもあり、シャア・アズナブル的でもあり。逆襲のシャアのようなストーリー展開にハラハラドキドキしましたけど、年を召されて丸くなったらしく、隕石を落とそうというお話にはなりませんでした。それにしてもこんな放談を笑って受け止めていた東大工学部教授に実業界の方々の懐の深さも素敵でしたね。

    さてnew typeになるためには英語が必要ってことなので、まずは英語版Gizmodoを読むところからはじめるのはいかがでしょうか。適当な訳のギズモード・ジャパンもよろしくです。

    『ガンダム』富野監督と東大工学部教授のディスカッション「テクノドリームI」開催

    (野間恒毅)

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