史上最高のレゴセットはもちろん、かつて製造されたレゴすべてを安置した保管庫です。
凹むこと続きだったせいか思いがけず感動してしまって、レゴ工場見学が終わりもしないうちから興奮エンドレスに。これはレゴセット4720点が箱に収まってる以上のものがありますよ。もっと単純だった古き良き時代に連れ戻してくれるチケットのような、そんな場所です。
1950年代の古いレゴ見てるときは自覚がなかったんですけど、オーナーKjeld Kirk Kristiansen(創業者の孫)の旧邸宅を改造した博物館「Idea House」の学芸員Jette Orduna女史も僕の興奮ぶりを見て面白がってました。
「こちらの木の箱はデンマークあたりのお店にあったものです。ふつうは床屋さんか雑貨屋さんが置いてたものですね」と、開けて見せてくれた箱の中には、赤と白のシンプルな積み木が。チューブはまだついてなくて、窓のついたブリックもあります。
「ここにはレゴブロックが別々に入ってます。昔は親御さんが、子どものレゴシステムが少しずつ大きくなるよう、子どもに定期的に買い与えていたんです」
「そうです、これは“エレクトロニック”と呼ばれていたものです。口笛で起動するからなんですよ」…と話しながら、口笛を吹いてくれたり。

僕のコメントで当たりをつけたJetteさんが、ある棚に真っ直ぐ進んでいきました。通路奥の突き当たりにある棚です。上見て、下見て、口を真っ直ぐ引き結んであるものを真剣に探してるんです。その辺りを撮影して回りながら待ってたんですけど、「ええ? もしかしてあれ?」「…なわけないか、まさかね。…え? そのまさか?」―1秒1秒期待が高まっていきます。
ようやく大きな長方形の、横が黄色の箱を引っ張り出して、
「ほーら! ここにあったわ」
振り返ると、彼女が抱えていたのは…
「Lego Space Galaxy Explorer」(写真下)です。

まだ小さくてレゴを組み立てられなかったとき、レゴの大っきな観覧車とBlue Train代わりに作ってくれた母と父の姿、毎年新しいセット諦めずに買ってくれた父と母、兄弟2人と妹(姉)が絨毯の上で遊びながら、最高に変な生き物で溢れ返ってる新しいレゴ、最高のレゴ組み立ててるシーン。そしてあの匂い。レゴブリックの完璧な、匂い。
みなさんにもきっと僕の言ってること、分かると思います。
those were the daysの世界ですよ、まさにまさに。何から何まで純粋無垢だったあの頃。自転車のこと、大きな絨毯に広がるレゴのこと、シリアルのココアの分量ぐらいしか頭になかった時代のフィーリングと瞬間が押し寄せてきて、無我夢中でLego SpaceからLego TechnicからLego TownからLego Castleへ、そっからLego PiratesとLego Star Warsまで飛びついてしまいました。せっかくのシャッターチャンスもしょっちゅう涙で霞んでしまって、ちっとも仕事になりません。
あっという間に、本当にあっという間にそれもおしまいに。
階段を上って現実に戻りながら、僕の過去もゆっくり宝箱の中に消えていきました。「これだ。これがあるからレゴは地球上のほとんど全ての人たちにこんなにも愛されているんだ…」って思いましたね。
楽しさ、ディテール、信じられないデザイン、実際に触ってみた感触、両手・創造力・ロジックを駆使させるところなど、その全てがあわさって普遍的な魅力を醸している。それはそうなんだけど、もっと根本的なもの、その全部を足してもあまりあるものが、このブロックにはあるんです。これを見た途端、昔に戻れる、そのコネクションなんですよね。
と納得してニッコリ元通りの毎日に戻りました。カラーのブロックひとつで笑顔が戻るんだから、人生も悪くないです。
この記事のバックグラウンドにはアルバム『Unchained』収録ソング『Memories Are Made of This』(Johnny Cashバージョン)』がぴったり。喜びと悲しみ半分で思い出が蘇る曲です。Amazonか iTMSで購入可。好みの方にはアルバムごと購入をおすすめします(他のAmerican Recordingsシリーズも)jesusdiaz (原文←写真集あり/訳:satomi)
【関連記事】