怒るゲイツは僕? それとも俺?
今週引退のビル・ゲイツ。今週はウェブに秘蔵インタビューが溢れかえってるんですが、分けても注目はこちらのお宝。2003年リークしたゲイツの社内メールです。デザインとプログラミングの社員たちに、Windows Moviemakerをインストールしようとした時のイライラを延々数ページにわたり説明してます。MS製品でイライラした経験のある人には一服の清涼剤? すごいです、やはり。
[以下メール訳]
From: Bill Gates
Sent: Wednesday, January 15, 2003 10:05 AM
To: Jim Allchin
Cc: Chris Jones (WINDOWS); Bharat Shah (NT); Joe Peterson; Will Poole; Brian Valentine; Anoop Gupta (RESEARCH)
Subject: Windows Usability Systematic degradation flame
このWindowsのユーザビリティの退化ぶり、プログラム管理グループのユーザビリティ問題の取り組み不足にはガッカリだ。
昨日私が経験したことが何か、教えてやろう。
その日はMoviemakerをダウンロードして Digital Plusパックを買うことに決めた。 ... そこでMicrosoft.comに行った。ダウンロードの場所があったのでそこに行った。
サイト使って最初の5回は、ダウンロードのページを呼び出しながらタイムアウトになった。その後は8秒遅れで呼び出せた。
こんなサイトじゃ遅過ぎて使いものにならないよ。
トップ5になかったので、トップ45に範囲を広げてみた。
この45の名前がまた全く意味不明なんだ。こんな名前に比べたら「: C:\Documents 」とか 「Settings\billg\My Documents\My Pictures」の方がまだ意味明瞭だよ。
システム別にフィルターもかかってない。 ... おかしなことが多過ぎる。
[中略: 一足早かったshiroさん訳でどうぞ]
メインページの検索ボタンに行ってmovie makerと入力しろって言う(moviemakerじゃないのか!)
その通りにしてみた。サイトは憐れなほど遅い。が、6秒待ったら出てきた。
[中略: 同上]
しょうがないんでWindows Updateのページに行った。 するとこのWindows Updateが、コントロールを沢山ダウンロードしなきゃ駄目だって言うんだ。ここで変なダイアログボックスが出てくる出てくる、1度ならず何度も。
Windows Updateは、Windowsに話しかけるキー持ってんじゃないのか?
で、スキャンしてみた。時間がやったらかかる。17MBのなんかをダウンロードしろだと。
この前にはデルタのパッチをやってるところだと言われたのに、今度は最高に恐ろしいラベルのついた物事6個並べて17MBダウンロードしろだって。
で、ダウンロードしてみた。この部分は速かったな。次はインストールしたがってるが、これは6分かかった。マシンは無茶苦茶遅くなって、その間なんにも他のことができなかった。
この6分は一体なにやってんだよ? クレージーだな。これ、ダウンロード終了後の話だぜ。
[中略: 同上]
で、バックアップを動かして、Windows Updale(←ミススペル)にまた戻ってみた。もうその頃には自分がなんでWindows Updateいるのかも忘れてたさ。だってそうだろう、俺はただMoviemaker欲しかっただけなんだぜ? (←怒ったゲイツは俺ですか?)
で、Microsoft.comに戻って、インストラクション読んでみた。WindowsXPという名前のフォルダーをクリックしなくてはならない。なんでそんなことしなきゃならんわけ? Windows Updateなんだから俺がWindows XP使ってることぐらい知ってるはずだろ。
あのフォルダーをクリックしなきゃならない、その意味は何よ? (クリックしたら)意味不明なものが山と出てきた。当たり前だが、その一つがMoviemakerだった。
今度はダウンロードだ。ダウンロードは速かったな。が、インストールが何分もかかる。この遅さには恐れ入った。
ある時点で、どこそこに行ってWindows Media Series 9をダウンロードしろと言ってきた。
で、そこに行ってそれをやとうと思った。するとダイアログが複数出てきて、「Open」だの「Save」だの言ってくる。 どれやるかインストラクションには何の指示もない。 どれやっていいものやら、なんの手がかりもないんだ。
ダウンロードは速かったな。これのインストールは7分かかった。
で、今度はMoviemakerが手に入るだろう、と思って、プログラムの追加/削除のところに行って、そこにあるのを確かめてみた。
ない。何があったかって? 以下のごみだ。Microsoft Autoupdate Exclusiveテストパッケージ、Microsoft Autoupdate Rebootテストパッケージ、Microsoft Autoupdateテストパッケージ1、Microsoft AUtoupdateテストパッケージ2、Microsoft Autoupdateテストパッケージ3。
Windowsの使える部分、誰かひとつ捨てたのか? ファイルシステムはもはや使えない。レジストリも使えない。このプログラムの一覧リストだけが唯一健康な場所だったのに、それも全部ごみじゃん。
が、それはごみの始まりに過ぎない。後で「Windows XP Hotfix、詳細はQ329048をご参照ください」なんてのを拾ってリストにしてみた。 Q329048って何だ? なんでこんなパッチの連なりがここにある? Q810655ではなく、Q329048で詳細は見ろってか?
完璧に滅茶苦茶だな。
Moviemakerは、全然そこにないんだ。
で、Moviemakerはあきらめて、Digital Plus Packageをダウンロードしてみることにした。
個人情報を山と入力しなきゃ駄目だと言われた。
全部入力したら、なんか入力ミスがあったらしく、やり直しだと言われた。もちろん入力した情報はほとんど消えてる。
正しいものを入力(しようと)してみた。5回。なのにこっちが入力し直せるよう、せっかく入力したものを消去し続けてくれるんだよ、これが。
で、狂ったようにやって、プログラムリストをゴミにして、ビクビク怖がって1時間。Microsoft.comがひどいサイトだということは分かったが、依然Moviemakerは動かせないし、プラスのパッケージも入手できてない。
この経験を見ると分かるように、ユーザビリティに対する目配りのなさには、本当に心底驚いたね。[...]
実際に手にとって使ってみたら、きっともっとフィードバックが出せると思う。
---
このメールをこの週にぶつけた「Seattle PI」が最近ゲイツ氏にこのメールのことを聞いたら、氏はこう答えたそうです。「メール1本送らない日はないよ。…あのメールみたいなのね。あれが僕の仕事なんだ」
Mark Wilson (原文/訳:satomi)
【関連記事】