米誌フォーチュンのアダム・ラシンスキーが、アップルCOOティム・クック(Tim Cook/写真左)の知られざる素顔に迫る良記事書いてましたね。
ティム・クックは物静かな人で、あまり世間的にはよく知られてないですけど、アップルの暗黒時代にスティーブ・ジョブズのターンアラウンド戦略を支えたドリームチームの鍵を握る一員です。
それにしても何故この時期に? やっぱり引退準備? CEO交代は僕の考え過ぎとしても、ラシンスキー記者が知りたがってるのは僕と同じでずばり、「クックはアップルCEOになる器なの?」というところ。記事で紹介されてる出来事とか第三者の意見読んでると、なんだかクックしか考えられないような気がしちゃうんですよね、これが。
クック自身は最近も「(スティーブの)代わりになる人なんか見つかりっこない」、「僕が引退してからもずっとスティーブは白髪頭の70代になるまで会社にいますよ」と言ってますが、近ごろアップルのイベントでも見かける機会が随分増えました。
カリスマ性とビジョンで右に出る人がいないのは氏の仰る通りですけど、クックにはジョブズに負けない別の資質があるんです。ドリームチームの残りメンバー(アイブ、シラー、Serlet、ジョンソンほか)と力を合わせたら、ジョブズが一線から退く間のiCEO(暫定CEO)としては、クックが一番の適任かもしれません。

• ジョブズ同様にクックも要求は高く、仕事、正しいことをやることに情熱を持っています。アップルに来た年の1998年、クックは中国の製造の問題を話し合う会議を開きました。現地に誰かこれを動かす人を張り付けなきゃダメだな、と自分の意見を述べて、そのまま会議が進んで30分後。部下の一人を見て、感情ひとつ交えずこう尋ねたんだそうです。「君、なんでまだここにいるの?」
• クックはものすごい働き者でアップルに尽くす人。誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで残業します。報道によると、根っからこの会社が好きなんだとか。
• アップルの経営には何年も前から大きく関わっており、全て時間通り進むよう管理する責任者です。先述の働きぶりと、この職務内容で、アップル社員では一番の高給取り。しかも経営陣で他社(ナイキ)の取締役を兼務しているのはジョブズを除きクックだけ。
• 開発・デザイン・製造・流通で働いた実績があるため社内外の事情に精通しています。
• 物静かで口数は少ないんですが、スティーブ・ジョブズ同様、社員を限界までプッシュできます。元幹部によると、彼はとても難しいこと、人が答えられないと分かってるようなことを質問してきて、自分が満足できるところに行くまでプッシュし続けるんだそうでございます。
• ジョブズ同様、クックも一度、死に直面したことがあります。アップルにくる2年前の1996年に多発性硬化症と診断されたんですね。幸い誤診でしたが、この経験で世界を見る目が変わった、といいます。
• クックはミニマリスト(必要最小限のものしか持たない人)。永遠の独身です。過去数年で1億ドル相当のアップル株を売却したにも関わらず、パロアルトの借家住まいで、余暇はスポーツや自然が趣味。
あと、なんと言ってもクックの人柄が一番良くわかるエピソードは、ボビー・ケネディ(JFKの実弟ロバート)に心酔していることでしょう。
記事によるとクックは、「彼(ボビー)はあらゆる階層の人々の心に触れ、関われる人だった」、「国民を本当に愛し元気付ける大統領になれた人だ」と最近近しい人に話していたそうです。
兄に隠れて影が薄かったけど、「それでも自分が正しいと思うことをやって、それで満足な人だった」と、その有り様に敬服しているあたりは、ずっとカリスマの影で働き盛りを送ってきた実務派の言葉だけに深いものがありますね。
残りのストーリー(英文)は以下リンク先で。
[Fortune]
Jesus Diaz(原文/訳:satomi)
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