むかしむかし世界がモノクロでロシア人に角と尻尾がついていた頃、あるスーパー百貨店が「サンタクロースに電話しよう!」という特別企画を考え、ビラを刷りました。ところが、電話番号を大胆に誤植してしまったのが、事の始まりです。
時は1955年、場所はコロラド・スプリングス、広告主はシアーズ、電話番号は…北極にあるサンタの自宅でもなければ、ベガスの別宅のキラキラグリッターの電話の番号でもない。子どもの願いごとを聞くスタッフをはりつけた特設ダイヤルのつもりが、中央防衛航空軍基地(コーナッド:CONAD)司令長官ハリー・シャウプ大佐のホットラインの番号だったのです!
1本目の電話が入った時にはボスもさすがに怒ったようです。まあ、ウィチタにミサイル落下したとか、ソ連の潜水艦がサンフランシスコ湾に浮上したという通報ならともかく、相手は6歳の男の子で、クリスマスに欲しいものをサンタに言付けるよう言ってきたんですからね。―「ボクも核ミサイルと核潜水艦が欲しいよ」とかなんとか。
また別の男の子から電話がかかってきて、ようやく事情が呑み込めた大佐ですが、「大陸間弾道核ミサイルの弾頭に括り付けたトナカイにでもお願いしやがれ!」と怒鳴る代わりに、心やさしい大佐は今度子どもからかかってきたら全員にサンタの居場所を極座標で教えてやれ、と部下に指示を出したのです。
これが毎年イブの晩になるとサンタを衛星、レーダー、戦闘機で追うサンタ追跡のはじまり。1958年、CONADは「北アメリカ航空宇宙防衛司令部(ノーラッド:NORAD)」という米・カナダ共同事業になりましたが、もうその頃までにはマスコミで随分騒がれて毎年子どもたちから電話が殺到するようになっていたようです。
今も毎年この時期になると何百人というボランティアがコロラドスプリングスのCheyenne Mountainやピーターソン空軍基地に詰めて電話やサイトでサンタの居場所を教えています。
以下は去年のサンタさんの映像。
詳しくは以下「Norad Santa Tracking」(日本語版あり)へ。
[Norad Santa Tracking, Wikipedia, Wikipedia日本語版]
Jesus Diaz(原文/訳:satomi)
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