良くも悪くも、今年のMacworldで最大の見せ物は「iLife」だったのかもね…
一体全体どこから何が飛び出すのか? そんな期待にワクドキして迎えた、今回で正真正銘ラストとなるMacworldのアップル基調講演でしたけど、要はマルチメディアソフト戦略を前面に出した、「iLife '09」スイートこそが、トップの位置づけ的にも、割かれた時間的にも、ある意味で最も気合いの入ったアピールポイントだったんでしょう。
そんなにスゴイ発表だったのか~? なんとなしにスルーしてしまっていた人のために、ではでは、iLifeの最新版が誇る新機能の数々を、続きにて一挙おさらいして紹介することにいたしましょう。
今回のアップルの発表内容を速攻おさらいしてみますに、iLife '09の中でも、特筆すべきキラーアプリは、3本立てという感じですね。
● 「iPhoto '09」画像管理ソフトまずトップバッターを飾ったのは、なかなか使えそうな新機能がそろった「iPhoto」最新版でした。

特に最大の売りは、顔認識機能だったのではないでしょうか。写真に写る人物の顔を、iPhotoが自動認識して名前を尋ねてきます。一度、人物の顔と名前を覚えさせれば、その後は同一人物の写った写真を自動的にタグ付けし、グループ化して整理してくれますよ。なかなかこの顔認識および類似画像判別エンジンの精度が、よくできてるみたいで、これは重宝しそうです。

続いて、これまた写真の整理に大いに役立ちそうなのが、撮影地インデックス機能ですね。iPhotoに表示される地図上にはピンが立てられ、取り込まれた写真を、その撮影地ごとに選び出せるようになっています。自分で撮影地をマークしていくことも可能ですが、iPhoneやGPSケータイなどでジオタグ(地図情報)が記録されていると、自動的に撮影地認識によるグループ化が行われますよ。

iPhoto単体でも、「Facebook」および「Flickr」との、よりスムーズな連携が整いましたよ。好みの写真を自動アップロードできるだけでなく、Facebook上のタグを取り込んで、あの顔認識機能と連動させたり、Flickr上のジオタグを、iPhotoでダイレクトに活用できるのも便利ですね。

インデックスでグループ化された全写真をフル活用して、簡単にテーマを付けたスライドショーの作成が行えますよ。作成したスライドショーは、iPhoneでもiPod touchでも、一発お手軽再生可能で、ここでも顔認識機能が大活躍し、ちょうどスライドの中央に顔が写るように、美しく調整してくれるのがスゴイですね。撮影地インデックス機能を活躍させて、ランドマークごとに旅行アルバムを自動作成し、これまた美しくアルバムのように再生してくれるなど、なかなかiPhotoの新機能はよくできてます。
● 「iMovie '09」動画編集ソフトお次は、これまたなかなかのパワーアップを遂げた「iMovie」最新版をご紹介しましょう。

まずは、オーディオ・ビデオの継ぎ目の微調整などに威力を発揮するPrecision Editor(詳細編集)機能です。これまでになく非常に細かいポイントで、修正や編集が可能ですよ。

動画クリップの上に、別の動画クリップをドラッグ&ドロップすると、ポンと便利なお役立ちメニューが現れますよ。元の動画クリップと新しい動画クリップを入れ替えるのか、挿入するのか、オーディオデータのみ活用するのかなどなど、自由自在に編集可能ですね。テーマを選べば、自動で渋いエフェクトをかけてくれたり、意外と手軽にプロフェッショナル仕様のビデオに仕上げられそうです。

旅行記のムービーを作成したい時には、この「Animated Travel Maps」機能が活躍しそうです。旅行のスタート地点とゴール地点を指定すると、3D映像で地図アニメーションを追加してくれます。これがカッコいいんですね~

ちょっぴり解析には時間がかかりますけど、動画撮影中に起きてしまった手ぶれを自動補正してくれる機能も、重宝するでしょうね。

他にも、サムネイルを駆使したインデックスライブラリーが用意されていたり、動画クリップの中から、音声データのみを抽出して活用したり、リアルタイムに編集効果を確認できたりと、便利な機能満載で、iMovieも、iPhotoと同様に、価値あるアップデートとの好評価ですね。
● 「GarageBand '09」音楽作成ソフト今度は、新たな可能性も感じさせてくれる「GarageBand」最新版です。もしや音楽業界に、新需要を掘り起こしてくるかもしれませんね。まだまだ発展途上にあるサービスという位置づけ感は拭えませんけど…

やっぱりねぇ、ピアノとかギターとか、サラッと弾けたりすればカッコいいじゃないっすか…。今年こそは楽器に挑戦なんて人に、心優しく楽しいレッスンを提供してくれますよ。

なんのなんの、そんな初心者じゃなくって、俺様の演奏は、もうプロ級だぜ! な~んて人にも、本物のプロが演奏テクを教えてくれる、アーティストレッスンコーナーまで用意されてますよ。ノラ・ジョーンズ、スティングを始め、レッスンに登場するアーティストは、なかなかの超一流が顔をそろえてたりしますから、驚きですよね。各アーティストのレッスンは、個別に4.99ドルで購入していけるようです。ただし、いつから日本でサービス提供が開始されるのかは、現時点では定かでないそうですが…
いかがでしたか? アップルが、ラスト出演のMacworldに満を持して投入してきた、iLife '09の3本立てキラーアプリ。うまく落とし込んできたかなって感じですよね。ちなみに、他にも「iWeb '09」ウェブ作成ソフトだとか、「iDVD '09」DVD作成ソフトだとかもバンドルされてますけど、どうもビッグなアピールポイントはないのか、基調講演では完全にスルーされてましたんで、ここでの紹介も割愛とさせていただきますね。
気になるiLife '09のお値段ですけど、これからMacを購入するユーザーなら、送料980円を負担するだけでゲットできますよ。それ以外のユーザーも、8800円で購入可能。あっ、ただし対応OSはMac OS X 10.5.6以降となっており、Leopardでしか使えませんから、ご注意あれ。
Wilson Rothman(原文/湯木進悟)
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