「Chrome」と「Opera」の、いいとこ取りって感じですかい…
アップルの最新ブラウザ「Safari 4」パブリックベータ版が公開されましたけど、これはかなりビッグなアップデートですよ! 正直言いまして、ここまでビジュアル的に優れた進化を遂げてくるとは思ってませんでしたね。あと、えっへん、俺さまはマックから誕生したブラウザのSafariであるぅ…みたいな口調が、これまではそこかしこに目立ってて、ちょっとウィンドウズ硬派にはなじまない雰囲気も醸し出していたSafariだったのですが、このSafari 4に至っては、わりとウィンドウズフレンドリーなインターフェースも随所に目立つようになってきて、これまた大歓迎ですよね。
ではでは、早速ですが、米GIZMODO編集チームが、総力を挙げて、速攻でテストしまくったSafari 4の最新ベータ版のファーストインプレッションを、イイとこもイマイチなとこも、すべて洗いざらいで披露いたしますね。
今回は、Windows編とMac編の2部に分けまして、写真集とともにお届けいたしますよ。どうぞ続きをごらんください。
● Windows編今回、かなりアップルが力を入れてきたなぁと感じるのは、Windowsユーザーへのアピール度。これまでの、まるでWindowsに対抗するかのごとく、Mac OSのユーザーインターフェースに慣れることを強いるようなアプローチは捨てて、Windowsでなじみがある「最小化」「最大化」「閉じる」ボタンの採用、よりWindowsでスタンダードなフォントやキーボードショートカットへの対応などなど、Windowsにも、しっくりとくるブラウザに仕上がっている印象が強いですね。今までSafariを使ったことのないWindowsユーザーが、初めてSafari 4に触れるならば、あっ、まるでChromeとOperaが合体したようなブラウザだな…という感想を持つ方も多いのではないでしょうか。
まず、グーグルのChromeと言えば、独特のタブ機能が特徴的ですけど、Safari 4でも、このユニークな機能が実装されていますよ。新たにブラウザのトップに配置されるようになったタブは、表示位置の入れ替えが自由自在であることに加え、枠外へドラッグ&ドロップすれば、かわいいアニメーション表示から独立したブラウザウィンドウとして切り替わってくれます。これはクセになりそうですね。ただ、ブルーが基調となるバックグラウンドカラーのChromeに対して、Safari 4は、ダークなブラックカラーが基調となっているため、この辺はChromeのカラーリングのほうが、ちょっと使いやすいかなと感じる人も多いかもしれません。
Operaにはスピードダイヤルがありますし、Chromeでも、新しいタブを開くと、これまで頻繁に訪れたサイトがサムネイル表示されたりしますけど、Safari 4にも、これとよく似た新機能「Top Sites」が加わっていますよ。最初はTop Sitesの起動がもたつくようにも感じるでしょうけど、徐々に快適に開くようになりますね。ただし、Operaのスピードダイヤルのように、自分でマニュアル操作でURLなどを打ち込んで、Top Sitesに表示されるサイトを指定していくことができないのは、ちょっと残念なところでしょうか。Top Sites上の表示サイト中に、以前に閲覧してから更新が行われたものがあれば、星印がポップアップされて、一目瞭然になっているのは便利ですね。
ビジュアル的に、Safari 4が大きくアップデートしたのは、まるでiTunesでアルバムアートをめくるかのごとく、これまでに訪問したサイトの履歴情報や、お気に入りに登録されたページをチェックしていける「Cover Flow」でしょう。なんかこれを使ってるだけでも、かっこいいインターフェースのブラウザだなって、ちょっぴりうれしくなってきそうですよ。ただ、あまりにも多くのサイトを次々ペラペラとチェックしていこうなんて欲張っちゃうと、動作が重くなってしまいますね。
「Smart Address Field」というSafari 4のアドレスバーには、入力途中でも、予測変換でURL候補が表示されていきます。Firefoxの同じような機能を使っている時よりも、高速な印象を受けましたよ。残念なところとしましては、.comとか.netといったURLよりも先頭の部分の、メインとなるサイトの予測候補リストは賢く表示されますけど、それ以外は、あんまり対応してくれないみたいですね。例えば、「giz」と打ち込んだ時点で、米GIZMODOのトップページへと速攻で移動できますが、「Safari」なんて打ち込もうものなら、safari.comというURLでない以上は、あまり候補リストは役に立たなそうですね。一方、まるでOperaに実装されているような全文履歴検索機能は、かなり重宝することになりそうですよ。わりと履歴対象のページ数があったとしても、これまでに訪れたサイトに掲載されていたテキストのキーワードから、一発で目的の情報を見つけられそうですし、意外に高速表示されるのも驚きですね。履歴検索には、かっこよくCover Flowを用いるべきか、ドカッとくまなく探し当てる全文検索を用いるべきか、ちょっとシーンに応じて悩みそうですよね。
さて、気になるSafari 4のブラウザスピードですけど、まぁ体感速度から評価するならば、例えば、ニュースサイトの閲覧なんかには、Firefox 3.0.6であれ、Chrome 1.0.154であれ、Safari 4であれ、そんなに違いを意識することはないんじゃないかなと思いますね。どれでもサクッと、一般的なホームページくらいなら高速表示してくれます。ただし、JavaScriptの実行速度となると、ChromeとSafari 4は、明らかにFirefoxを抜き去って、その高速性能で大きく評価されることになりそうですよ。
最後になりましたが、ものすごく課題と感じている点を1つ。それは、Safari 4のメモリ消費量が、ちょっと半端じゃないかもしれないことですね。14個のタブを開きまくってチェックしてみたところ、なんとSafari 4のみで、400MBを超えるメモリを食ってしまっていることが判明…。まぁ、そんなにタブを開かなかったらいいのかもしれませんけど、やや非力なマシンでSafari 4を堪能しようと思うと、厳しいなんてことを意味しているかもしれません。この辺は、軽めに抑えられるChromeに軍配が上がるような気がしますね。あとは、Firefoxのようなエクステンションがないのも残念なところかな…
● Mac編もちろん、今回のSafari 4へのアップデートでは、よりWindowsユーザーにも親しみやすいユーザーインターフェースへと、かなり大幅な改良も図られてはいるのですが、やっぱりSafariには、Mac OS Xが似合いますよね。ブラウザトップに表示されるようになったタブデザインや、Cover Flowなどは、Mac OS Xとのマッチングがいいように感じます。あと、マルチタッチでズーム表示に対応したのは圧巻ですよ。まるでいつも使っているiPhoneのブラウジング環境が、そのままデスクトップ環境へもやってきたような心地よさを覚えますね。もうピンチアウトから逃れられなくなるかも…
また、さすがはMac OSでこそのSafari 4かなぁなんて思い知らされる場面というのは、ブラウザスピードおよび軽快さでしょうか。Windows上ですと、Safari 4でも、Firefoxでも、JavaScriptの実行環境以外でならば、そんなに高速性能の違いを肌で感じられるほどではなかったんですけど、Mac OS X上でなら、明らかにFirefoxよりも、Safari 4は高速になったなと実感するケースが多々ありそうですよ。Cover Flowでもたつくことも、Windowsの時ほどは多くないですしね。
何よりもメモリ消費量に関しましては、WindowsとMacでは格段の差がありますよ。先ほどの14個のタブを開きまくったテストですけど、Mac OS Xでのメモリ消費量は約230MBと、これなら十分にサクサクッと使いまくれるレベルなのではないかなと思っています。
いかがでしたか? あくまでもベータ公開直後の、米GIZMODO編集チームによるファーストインプレッションでしかありませんが、かなりSafari 4は、グッとくるブラウザなんじゃないでしょうか。まだベータ版なので、安定性という点では多くを求められませんが、この最新のユーザーインターフェースを体感する上でも、まずは試用してみられるのをお勧めしたいと思います。ギズ読者の皆さまからのファーストインプレッション、ぜひドシドシとコメントしてくださいね。
matt buchanan(原文/湯木進悟)
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