CrunchPadが「JooJoo」という名前になって、製造元Fusion Garageから500ドルにて金曜より先行予約受付け開始になります。
記者発表のライブブログで見た時は薄っぺらで使いものにならない印象でしたが、手にとって使ってみるとインターネット専用タブレットとして、かなり良く出来てることが分かります。
スペック取材で仕入れた新情報から。
中に入ってるのは内蔵メモリ1GBの1.6GHzのAtomプロセッサです。まだスペックは公表できないとJooJoo担当氏は話してましたが、起動シークエンスが見えて(標準BIOSの設定のところで何を起動中か表示された)、それでスペックも分かってしまったんです。Fusion Garageのチャンドラ(Chandra)CEOは今回デモ用に使ったハードが基本的に最終版だと言ってたので、たぶん僕が見たまんまかと...。
グラフィックカードとCPUの組み合わせは、おそらくNVIDIA IONチップセットでしょう。1080pのYouTube動画再生も良好に処理できると言ってますし、ネット接続が不安定でYouTubeの720pと1080pのHD動画が数秒見れただけなので、たぶんION。でも僕らがテストしたHD動画は12インチの1366x768ピクセルのスクリーンでも綺麗に見れましたよ。単に論理的に推測してそうだろうってだけで、本当にIonかどうかは分かりませんけど、1080p動画を滑らかに処理できるチップセットは他にまずなさそうだし、Atom CPU(これは見えました)単体ではこれ、処理できませんからね。

本体にはヘッドフォン専用ジャック、マイクロフォン専用ジャック、1.3MPの内蔵ウェブカム、充電専用ポート、USBスロットがついてます。外付けカード専用スロットは試作機にはあったけど、最終版まで残れなかったみたいですね。でも、3Gカードを差し込めるよう将来用意することも検討中です。TV出力/HDMI出力端子はまだ(これも導入検討中)。ヘッドフォン抜きで音声再生できる内蔵スピーカーは、ちゃんと聴こえますけど、長く動画視聴する際にはスピーカーに繋ぎたくなりますね。
ハンズオンの動画もどうぞ。
ウェブページの閲覧、タブ(ウィンドウ)切り替え、新ウェブページを開く部分の処理はかなり良好です。加速度計も入ってるので持ち方によって縦・横どちらか検出してくれますよ。
頑丈でがっしりしたボディ、明るい12インチスクリーン。背面はプラスティック製で、縁に向かってカーブがかかってます。手に持った感触もナイス。全体的にベッドやトイレで何かに立てかけても邪魔にならない軽さですね。
ひとことでまとめると、実際使ってみても、文句のつけようがない完璧なウェブ閲覧用タブレットです。
ソフトウェア
基本、システム全体がブラウザに通じるゲートウェイなんですね。システムはWebKit(SafariやGoogleのChromeを駆動しているのと同じコード)で開発しました。高速で、ジェスジャー(ピンチして元のレベルに戻ったり、スワイプして上下移動するなど)認識の処理も良くできてます。最終ビルドには他のジェスチャー(2指スワイピングで履歴を戻ったり進んだり、スワイプでブックマークしたりなど)も入る予定と言ってましたが、そちらは見れませんでした。
テキストは拡大できません。ピンチングの動作はウィンドウからHOMEスクリーンに出入りするのに既に使われてますし、ノートと同じ12インチの画面なので文字は拡大しなくても見れますから。この12インチを最小モデルとして、もっと大きなサイズのタブレットも作る予定だと、同社は話してました。JooJooのキーボードはこんな感じ。場所をとるのはスクリーンの一部だけですね。使用は問題なし。これだけでブログ書きたいとは思わないですけどね。まあ、ウェブを読んで見て聞く「メディア消費端末」ですからね。
Fusion Garageの製品コンセプトは「インターネットはアプリケーションである」というものです。-つまり写真・ファイルはローカルに保存できないし、4GBのストレージにアクセスしてユーザー側で作業したいと思ってもできません。各ネットアプリ(GmailやGoogle Waveのこと)のローカルのキャッシュ保存がどれだけかによって命令できる範囲は決まるということですね。
Flashはサポートあり。HD Flashを再生するときは強制的にフルスクリーンモードになって、より上質かつ高速なレンダリングをしてくれますよ。 PDFファイルを読もうとすると、これまた強制的にGoogleのウェブベースのPDF文書読み取りに誘導されます。要はPDFファイルは読めるけど「ネイティブに」読めるってわけじゃないですね。
HOMEスクリーンにあるのは、ほぼアイコン(ウェブアプリへのショートカット)だけ。スクリーンはカスタマイズ可能です。戻るたびに背景カラーが変わるという、妙な機能もついてます。これはFusion Garage側でも取り外すか、他の機能に変えることを検討中だそうです。
マルチタスキングに関しては、ウェブアプリ向けの通知専用のAPIを出すと話してました。例えばYouTube見てる時に別窓にTwitterに更新が入るとポップアップで通知してくれる、というようなものですね。このAPIは発売時に出る予定ですが、サポートはサイト側の裁量に任されています。

一緒に発売する予定だったTechCrunchのマイク・アーリントンと先週トラブってますが、JooJooは驚くぐらい手堅い製品です。12インチで可視角度も悪くないし、1080p HD動画再生もできるものが作れた、ということひとつとっても努力の跡が伺えます。
現状、唯一の問題はソフトですね。これはまだ75%しか終わってません。Fusion Garageは今週金曜の先行予約開始から約8~10週間で出荷する予定とのこと。ソフトをそれまでに完成できれば、500ドルでも高くないですかね...ネットブックも良いものは大体その辺りの価格帯ですし、アップルのタブレットもたぶんそれぐらいになるものと思われます(←1000ドルになるという情報もあるけど)。 300ドルか400ドルまで下がってくれたら、ユーザーとしてはそれに越したことないですけど、これは新市場の新端末ですからアーリーアダプターなりに多少余分な出費は覚悟しなきゃならないかもですね。
というわけで、今は待機&様子眺めですね。使ってみた感じでは、JooJooは良い製品に思えますけど、ちゃんと評価するには他のウェブアプリも入れて、HD動画もたくさん観て、楽曲もストリーミングしてみないと。少なくとも、5時間というバッテリー寿命が連続使用にどれだけ耐えうるかは長く使ってみないと何とも言えません。プレ注文は金曜(米時間)からできますが、訴訟も控えているようですので、まずはそちらのいざこざがすべて解決するまで、お金を出すのは控えた方がいいかも(UPDATE: 訴えられました)。
[JooJoo]
Jason Chen(原文/satomi)