『Monsters, Inc.』のブルーレイ入手しました。
ブルーレイだけじゃなく、PS3で再生できるBD(ブルーレイディスク)、ベッドルームで観れるDVD、ラップトップで観れるデジタルコピーも入ってるバージョンです。
ディズニーはエンターテイメント業界の中でも、たぶん一番IP(知的所有権)保護にうるさい会社だと思うんですけど、多少高くても僕みたいな人間はこういう全フォーマット入ったバージョンを買うと見越して、そういうのもこうして作ってるんですね。
なんでこれと同じことがゲーム業界でできないんでしょ?
つまりマルチプラットフォーム対応のタイトルを買う選択肢がどうしてないのか?っていうことです。例えばXBox 360対応の『Call of Duty』買っちゃうと、DSやiPhoneなんかのポータブルで遊べないし...。
いや、だからその...馬鹿な質問だってのは僕も分かってますって! Xbox 360からPS3に『Call of Duty』をポートするのは、そりゃ大事業です。開発チームも沢山巻き込んで何百万ドル(何億円)も投入しなきゃならない。DSやWiiはハードも独自のものだし、プロセッサのスペックも低いので、それに合わせてゲームを一からデザインし直さなきゃならない可能性もありますよね。で、それだけの労力かけてXboxとDSの2つ持ってる人に、DS対応版まで無料・安値で提供するってわけにはいかないでしょう..。
でも、もし仮にそれが可能だとしたら? どうなるんでしょ?
物は試し。ここでは『Call of Duty: Modern Warfare 2(MW2)』の統計を例にとって考えてみましょう。
VGChartz調べによると、このゲームは発売初週、Xbox 360版だけで489万348枚売り上げたそうです。
仮に、5ドル余分に払うと、Xbox 360にDS対応のボーナス版がついてくるとします...
買い手の10%がそっちを選ぶとすると...
DS版は初週で48万9000枚売れて、製造元ActivisionにはDS関連の余剰収入が244万5170ドル転がり込む計算になりますよね!
「そんなことしたらDSの売上げをカニバるだけでしょ」―とみんな言いますけど、「どの売上げのことよ?」と逆に聞きたいですよ。だって、これと同時期のDS対応版MW2の販売数はたった1万2000本なんですから!(詳しいデータはKotakuへ)。
それに、既存のPSN、Xbox Live、Nintendoの利用アカウントに連動してるデジタルダウンロードを使えば、ソフトウェア会社も、こうしたエキストラ版の共有・再販に大幅に制限を加えることができると思うんですよね...。
この概数がそんな的外れじゃないとすると(むしろコンサバな見積もりだと自分では思ってます)、ゲーム業界が映画業界の動きに追随しないのは一体どうしてなんだろうって考えちゃいます。あるプラットフォームに対応するゲームを買うと他のプラッフォームで遊べない理由とは?
まあ、実は開発コストが足かせじゃないんですよね。ビデオゲーム業界では競合するフォーマットを無視して、そういうモデルを不具にするライセンス料をデベロッパーに課金する基本構造になっています。ゲーマーはWiiのモーションコントロールを使ったり、Xbox 360のネットワーキングを使ったり、出先ではiPhoneを使ったりして『Call of Duty』をプレイしてみたいな~とか思うわけですが、任天堂はそうしたゲーマーの欲求には気付こうとしない。ゲーマーはデジタルバブルの中で生きててくれればそれでいいと思ってるんです。ソニーとマイクロソフトにしても同じことが言えます。
ゲームが遊べるシステムは1個だけ。それ以上望んではならないんですよね。けど知ってます? NPDの調査によると、Xbox 360とPS3を持ってる人たちのなんと42%はWiiも持ってるんだって。これ、携帯なんかのモバイル端末も合わせたらマルチにプラットフォーム持ってる人の比率はほぼ100%近くになるんじゃ?
任天堂はWiiとDSを抱えてますし、ソニーはPS3とPSPを抱えてますから、両社ともこのモデルを実際に運用する面では有利なポジションに立ってると思います。ソフトウェア会社と小売業者も、この動きをクロスプラットフォーム、クロスカンパニーなものに推進する面で力になれるだろうし...。
かく言う自分も、「次世代ゲームがみんな統一規格のプラットフォームになる」と思うほど、お目出度い人間じゃないですよ。むしろこの市場は多様性と競争がイノベーションの鍵を握るとさえ思ってます。ただ、その差異をテコにもっと消費者中心のモデルにもっていけたら、買い手の選択の幅も広がって、結局それで関連企業みんなの懐にお金がもっと入るんじゃないかなぁ、と思うんですよね。
Mark Wilson(原文/satomi)