iPadは動画や音楽などのメディアを見たり聞いたりすることに適したデバイスです。でも、そうしたメディアが入っているのは、もともと使っているMacやWindows PCでしょう。ダウンロードしたものでも自作でも、iPadに全部入れておくには容量が足りないくらいです。また、仕事関係の文書でも、個人的なものでも、データのありかは基本的にはiPadの中でなく、やはり既存のコンピューターの方が圧倒的に多いです。
iPadでは、簡単なアプリを使って他のマシンにアクセスし、中を見ることができます。さらには、iPadから他のマシンを操作することだって可能です。
その方法を続きで解説します!
iPadで音楽や動画をストリーミング再生するには、Air VideoやStreamToMeが必要です。どちらも機能はかなり似ていて、価格も同じ3ドル(350円)、iPhone互換、動画変換ライブラリも同じです。ただ、いくつか違う点があるので、それによってどちらを選ぶかを決めればOKです。
もし、
・Windows PCを持っていて
・音楽のストリーミングは不要で
・h.264やmp4ファイルを多く持っているなら...
Air Videoがおすすめです。これなら、iPadでネイティブにはサポートされていないフォーマットでの動画再生が、ローカルでもリモートでも可能です。このアプリは、MacでもWindows PCでも使えます。再生する動画の画質も柔軟に設定でき、動画をリアルタイムに変換するか、ストリーム前に変換するかを選ぶこともできます。
Air Videoではh.264フォーマットの再生がHDでも可能で、StreamToMeよりも画質が良いようです。なので、もしh.264フォーマットの動画をよくダウンロードしているなら、Air Videoの方が良いでしょう。.aviファイルもちゃんと変換してくれます。
現在、DLNAでのストリーミングアプリは良いものがありませんが、バグさえ修正されれば、PlugPlayerが有望です。ただし当面は、WindowsユーザーはAir Videoを使うしかないようです。
一方もし、
・Macを持っていて
・音楽ファイルもストリームしたいなら
StreamToMeがおすすめです。動画をリアルタイムで変換することもできるので、手持ちのファイルを変換しておく必要はありません。Air Videoに比べて良い点は、オーディオファイルを再生できることです。このアプリにiTunes的なアーティストビューがあればさらに良いと思いますが、iTunesのミュージックフォルダがアーティスト名とアルバム名で整理されていれば(これはiTunesが自動でやってくれているはず)、このアプリもスムーズに使えます。
それぞれのアプリの構成はほとんど同じです。既存のMacまたはWindows PC側でサーバーアプリを動かし、動画ライブラリを指定します。すると、それぞれのコンピューターがローカルネットワーク内でお互いのコンピューターを認識します。リモートでストリーミングするには、アプリがどのポートをルーターに転送するかを指示してくれます。(ルーターごとの設定の仕方はこちら:英語)これによって、自宅のマシンにあるビデオに、外出先からでもWi-Fi経由でアクセスできるようになります。
iPadのデフォルトでもファイル共有はありますが、ちょっと面倒です。というのは、デフォルトのファイル共有機能はiTunesのファイル共有システムに依存していて、ファイルにアクセスできるのはあらかじめフラグ付けされているアプリのみになっているためです。この問題を解決するにはGoodReaderを使うといいです。価格は1ドル(115円)です。
GoodReaderでは、あらゆる種類のファイルサーバーにアクセスできます。クラウドベース(Google Docs、Dropbox、MobileMeなど)でも、ローカル(FTPとかWebDAVサーバー)でもOKです。サーバーにつなぐと、GoodReaderがそのサーバー上にある閲覧可能なファイルのリストを表示してくれます。WordでもExcelでもPowerPointでも、テキストファイルや画像、オーディオファイルもこのアプリで開くことができます。
GoodReaderの優れた点は、iPadをローカルファイルサーバーにできることです。そうすると、他のMacやWindows PCからiPadがNASになったような感覚でつなぐことができ、ドラッグ&ドロップでファイルを置くことができます。GoodReaderではiTunesのUSB経由のファイル転送もできますが、Wi-Fiのほうが、設定さえできれば早くて簡単です。サーバーの設定について詳しくはこちら(英語)にあります。
また、GoodReaderの「Manage Files」ペインでは、文書をソートしたりメールしたりできます。感覚で言うと、どんなメディアでも扱えるディスクとファイルブラウザがiPad上にあるような感じです。
コンピューターへのフルアクセスをしたい場合、ファイルサーバーだけでは足りません。VNCが必要です。
以前VNCについて解説した記事ですが、
VNC(virtual network computing)は何年経っても古びない技のひとつ。仕事で必要な情報を家のコンピュータに置いてきちゃった時(その逆も)、BitTorrentの長い長い列を見ながら今晩の楽しみを考えたい時とか、実家の親にWordでクリップアートを使う方法を画面動かしながら教えたげたい時なんて、遠隔アクセスの方法は知っとくとホンットに便利!
なのです。Windows、OS Xでの設定方法については、こちらの記事(日本語)をご覧ください。
設定完了したら、iPadのVNCクライアントが必要です。iPadのApp StoreにはすでにVNCアプリがいくつもありますが、今回は無料で、機能は制限されているMocha VNC Liteを使います。もしVNCをよく使うようなら、12ドル(1400円)ですがDesktop Connectが良いでしょう。
マウスベースのコンピューターをタッチスクリーンで操作するのはおかしな感覚ですが、Desktop Connectのオプションを使うとこれは解消されます。Desktop Connectの設定で、Touchscreen Modeをオフにするのです。そうすると、タッチスクリーン全体をトラックパッドのような感じで扱えるようになるのです。数分もすると慣れてきて、ぐっと使いやすくなるでしょう。
John Herrman(原文/miho)