使ってみると、うーん。
4月にアメリカで発売されたソニーのDashは、「パーソナルインターネットビューア」と位置付けられてます。でも実際は、199ドル(約1万8400円)の、アプリストアつき目覚まし時計と言った方がいいかもしれません。悪い意味ではありませんが。
Dashは、Chumbyのソニー版といったようなものです。でも、Chumbyは気安くハックできるおもちゃ感覚でしたが、Dashはソニーらしくブラックボックスです。
続きで、詳細レビューをどうぞ!
Chumby同様、Dashではウィジェット、または小さなインターネットアプリが動きます。約1000本のアプリがあり、多くはぱっと見てわかるような、スライドショーのループ系アプリです。Facebook、ニューヨークタイムズ、Gizmodo、Flickr、Twitter、天気、などなどが、簡略化した形で表示されます。PandoraやNetflix などのストリーミングメディアも視聴可能です。
ソニーでは、DashをiPadの競合端末として位置づけているわけではないようです。iPadはDashより300ドルも高いし、スクリーンは大きいし、アプリ数は膨大です。iPadでできることはとても多く、たとえばデスクトップからテザリングして、Twitterをチェックしたり、ニューヨークタイムズやNetflixを見たりもできます。
または、iPadなら持ち運びも可能です。Dashは、ChumbyやiPadと違って内蔵バッテリーがなく、つねに電源につながっていなくてはいけません。コンセプト的には、まあそれもありでしょう。Dashというのは、よりシンプルな時間のための、シンプルな機械なのです。
ただ、問題はその使いづらさです。Chumbyのソニー版、ということは、ソニーがChumbyを普通の人でも使えるようにしてくれたのかと思いました。自分の父親でも使えるんじゃないかと思ったのですが、それは無理そうです。
というのは、とても動作が遅いのです。ものすごく、何もかもが。まずインターフェースの設計が、めちゃめちゃとは言わないまでもイマイチで、何かすると「あ、また次のスクリーンに移動? ま、いいけど」の連続です。
さらにアプリを探してインストールするとなると一大事で、それだけでグッタリしてしまいます。アプリをきちんと使えてこそDashの存在意義があるのだし、せっかく既存のChumbyの生態系を使えるのに、これは大問題です。ヘッドライン系アプリの一部では、Dashでなくパソコンからログイン情報を入れたり、カスタマイズする必要があり、わかりにくいです(ソニーではこうした問題に対処するとしています)。
また、これも小さなことですが、電源が一度切れると再起動するのにものすごい時間がかかるうえに、再度セットアップし直し、コンポーネントをダウンロードし直し、端末をオーソライズし直す必要があります。テーマを変更するときでも、再ダウンロードが必要です。
さらに、物としての作りも、これ、199ドルですよね...と思ってしまうような出来栄えです。ディスプレイのオーバーレイとスピーカーの間のすき間から、光がもれてきています。
また、アプリのユーザビリティも微妙です。たとえばPandoraのようなアプリを目覚まし代わりにしたいとき、アプリによって、アプリ自体の中から設定変更が必要な場合と、そうでない場合があり、わかりにくいです。
とはいえ、Dash独自の機能ですごく良いものも、いくつかはあります。たとえばNetflixやAmazon Videoです。ブラウジングはやはり遅いですが、映画やTV番組をコンピューターのわきで流せるのは素晴らしいです。Dashの7インチ、800x480のスクリーンは、明るく、色がきれいで、視野角も広いです。PandoraやSlackerのようなインターネットラジオの端末としても優れています。ただ、スピーカーの音質は、普通です。
個人的には、Dashのファンになりたかったんです。ひとつの端末が何でもこなせる時代にありながら、あえて機能をシンプルに絞り、デスクとかキッチンカウンターの上で、小さな情報を表示することだけをすごく良くできる端末。とても有意義な挑戦だと思っていました。ガジェット好きにはたまらないコンセプトです。Dashが、そのコンセプトを全うしてくれればよかったのですが...。
以下、まとめです。
(+) スクリーンは素晴らしい
(+) Chumbyアプリ生態系がフルに使える
(+) Netflixがちゃんと使える
(=) Chumbyの約100ドルなのに、199ドルは高い
(-) インターフェースがイマイチ
(- -) 動作が(すごく)遅い
[Sony]
matt buchanan(原文/miho)