個人的にも興味津津です。
先月発売になったCanon PowerShot SD4000(日本では IXY 30S)はキヤノンではじめて背面照射型CMOSを採用したモデル。コンデジといえば暗いところが苦手で日没後撮影しようものなら手ブレになるか、ザラザラな絵になるかのどちら。キヤノンS90などハイエンドコンデジではより大きなサイズのイメージセンサーを採用したことで暗いところも強くなってます。とはいえその分高価。
この IXY 30Sはより一般向けになり実売価格は3万5000円前後。安くもないですが、めちゃくちゃ高くもなく暗いところに強いカメラとしてはお手頃価格じゃないでしょうか。
詳しいレビューは続きを読むからどうぞ。
スキニーなデザインまず一目みて分かるのは、デザインがすっきりしていること。特に細身で角をとったボディはジーンズのポケットにも入れやすそう。
画素数がアップしていますが、操作系はシンプル。本体上部にはシャッターボタンとズームリング、液晶画面側には中央にホイールが配置され、2つの大きなボタンでメニューや再生モードの切替を行います。この手のデジカメでは高機能化にともなってボタンがたくさんありますが、30Sは片手で操作可能。ただボタンを何度も押さないといけなかったりします。
マクロモード、スマイルシャッター、チルトシフトなどのたくさんの効果もあり、モード選択が可能。もちろん通常のP、A、Sモードも装備。
IXY 30Sの本当にいいところは、そんな機能を考えることなくただシャッターを切ればものすごくキレイな写真がとれるところ。特に夜景がスゴイんです。
夜景IXY 30Sは最新のデジタル映像エンジンに加え、背面照射型CMOSイメージセンサー、f/2.0ワイドレンズを装備しています。F値については解説が複雑なのでおいときますが、2.0というのはいわゆる「明るいレンズ」で、たくさん光が入ってくると考えて下さい。背面照射型CMOSは配線が裏面になったため光が多く入り、明るくなっています。このダブルの効果で、暗いところでもノイズの少ないキレイな写真がとれますよ。
わかりやすくS90との比較をしてみます。どちらもISO1600での撮影で左がIXY 30S(SD4000)、右がS90です。
この写真は鏡にうつしたものですが、F2.0の浅い被写界深度だとピントが合う領域が狭く、背景がボケています。とはいえそういったボケ味をうまく使えるというのもメリットのひとつ。レンズシフト式手ぶれ補正機構(IS)も装備。シャッタースピードは最大16秒まであげられるので、長時間露光写真もとれます。
ここにいくつか暗所撮影の作例を載せておきますね。
さらにビデオもいけてますよ。こちらは1280 x 720、30fpsのHD動画です。
夜間撮影だと一目瞭然ですが、昼間の撮影では進化したイメージセンサーの威力は分かりにくいです。とはいえ、なかなかいいんではないでしょうか。
ハイスピードIXY 30Sは暗所撮影の他、ハイスピード撮影もサポート。8.4fpsのハイスピード連写、240fpsのハイスピード動画(解像度320x240ピクセル)撮影が可能。動画の画質はいまいちですが、ゴルフのスイングをチェックしたり、ヨーヨーの華麗な技の謎にせまるにはとてもいい機能ですね。
S90との比較でかくて重いカメラを持ち歩きたくない普通のカジュアルフォトグラファーや、夜景を簡単にキレイにとりたい人にとってIXY 30Sはとてもいいカメラです。しかし上位機種のS90の値段がかなり接近していることを考えると諸手を挙げてオススメするわけにいかず。というのもS90はハイエンドコンデジでありとあらゆる機能が入っているし、高画質だからです。
S90がいい人は...
- 上級者になりたい人、よりキレイな写真をとりたい人
- フルマニュアルを使いこなせないけど、使ってみたい人
- HDビデオは必須ではない人(S90はSDビデオのみです)
- カメラを常に持ち歩きたいけど、ジーンズの後ろポケットに入れなくても構わない人
IXY 30Sがいい人は...
- キレイな写真を簡単に撮りたい人
- サークルの写真係、夜間撮影が多い人
- HDビデオが撮りたい人
+ IXY 30Sは明るいレンズと明るいイメージセンサーで暗いところに強い
+ スリムで角のとれたデザインでポケットに入れやすく持ち運びに便利
= ボタンの数を減らしてシンプルにしたのはいいけど、逆に操作が面倒な面もあり
ー ハイエンドコンデジに迫る3万5000円という価格が微妙
これは悩みどころですね。
Kyle VanHemert(原文/野間恒毅)