最近、元会社の上司が『Mad Science―炎と煙と轟音の科学実験54』(原題:Theo Gray's Mad Science: Experiments You Can Do At Home - But Probably Shouldn't)という本を翻訳されたので、読んでみました。そしたらこれが、大人は決してやらないような、危険かつ必要性のない実験事例満載で、まさにギズモードな内容だったので、この場でご紹介したいと思います。
『Mad Science』では、液状ナトリウムに塩素を吹きかけて食塩を合成し、炎上するのも顧みずポップコーンに塩味をつける実験とか、コインの大きさを半分にしてしまう実験(日本だと違法)とか、iPodを銅メッキする実験、とかが、美しい写真とともに掲載されています。きれいなので、ただパラパラめくるだけでも楽しいですが、それだけじゃなく、ちゃんと実験に必要な材料や手順や、現象の背景にある原理も書かれています。
さらに、著者のセオドア・グレイ氏のサイトには、実験の動画や、より詳しい解説が公開されていて、たとえば食塩を合成してポップコーンにつける実験の模様はこんな感じです。
掲載されている実験には実際に真似できるものもある、というか、安全性や費用を無視すれば、どれも真似できなくはないです。グレイ氏自身、特殊な研究所に属してこうした実験をしているわけではなく、実験の材料や道具は、「普通の台所用品や、ホームセンターか園芸用品店で買った薬品」だそうです。
ただしもちろん、真似するなら注意が必要です。どんな風に要注意かというと、
この本には、すべての実験を安全に行うために必要なことが、書いてあるわけではない!
...ということです。「よい子はやらないで」なんて形式的に注意書きを付けるのではなく、「やるなら、経験者に助けてもらうとか、自分で情報を集めたり経験を積んでいって、慎重にね」ということなんですね。
ちなみにグレイ氏は「元素図鑑」の作者でもあり、周期表の元素を集めた木製の「周期表テーブル(periodic table table)」でイグノーベル賞ももらってしまった、マッドなサイエンティストです。
グレイ氏は「自分が安全にできるとわかっていること」しかしないと書いてるんですが、タイムマシンとかも、こっそり作ってみてほしいですね。
[復氷]
(miho)