連続飛び降り自殺で労働環境が取り沙汰されたFoxconnも真っ青。電化製品のサプライチェーンをアフリカの原料産出国まで遡ると、そこはまさに地獄絵です。
ニューヨーク・タイムズに27日、ニコラス・D.・クリストフ記者が「Death By Gadget(ガジェットによる死)」と題する論説記事を書き、コンゴ大量虐殺に電子産業がどう関わっているか、伝えました。
コンゴの戦いほど野蛮な戦いは私も報じたことがなく、悪夢のように頭を離れない。コンゴで私が目にしたのは手足を切断された女性たち、 親の肉を食べるよう強制された子どもたち、レイプされ体内まで破壊された女の子たち。軍閥の長は、タンタル、タングステン、スズ、金を含有する鉱石を売って、略奪の資金の一部に充てている。例えばコンゴのタンタルは、携帯電話やコンピュータ、ゲーム機器のコンデンサ(蓄電器)の製造に使われるものだ。
東コンゴは「世界のレイプの首都」とも言われ、1998年からの長引く内紛で2007年4月現在までに死者は累計540万人(大半は病死・餓死)に達し、今も死者は毎月4万5000人という勢いで増えてるそうです(国際救援委員会調べ)。
そこで、企業に「なんとかしてくれ」と働きかけているのが、アメリカの反虐殺運動団体「Enough Project」です。ここの推計でも世界のタンタル総量のうちコンゴ産出量はたったの5分の1らしいんですが、電子産業も「紛争を駆動する要因のひとつ」だとして、圧力をかけてるんですね。
ワシントンのアップル新ストアのグランドオープニングに押しかけてクリーンな鉱物使用を訴えたり、インテルのFacebook公式ページに「紛争鉱物貿易削減法を支援せよ」という書き込みを大量にしたり(あまりの量にコメントは閉め切られた)。先週土曜には「「Macを買おう」CMのパロディー版を公開して、紛争鉱物を使うMacとPCの両方を非難してます。
あまりの圧力に、インテル、モトローラ主導で企業団体は現在、サプライチェーンでタンタルの起源を監視する手順の策定を急いでいるところ。
ですが、企業も結局はサプライヤーに削減努力を委ねてしまってるのが実情のようで、同団体代表は「アップルは自社製品に紛争鉱物は含まれていないと言ってるが、サプライヤーがそう言ってるからという理由だけでは弱い」と、さらに突っ込んだアクションを求めてます。
Foxconnの問題も解決に取り組む姿勢を示したジョブズCEOは、この問題については、なんと?
NYタイムズの記事を読んだWired読者さんが「紛争フリーな鉱物を使う努力はしてるのか」と問い合わせてみたところ、1時間後ジョブズからこんな返事がきました。
YES。我々はサプライヤー全社に紛争フリー(←fewはfreeと思われ)鉱物の使用を書面で保証するよう求めている。が、正直言って彼らにも確認の術はない。産地の鉱山から鉱物を化学的に追跡する手法を誰か発明するまでは、これは非常に難しい問題だ。
Sent from my iPhone
う~ん、日本企業と同じ回答ですね...。確かに原料って途中で混じっちゃうし。アメリカ1国が輸入禁止してもタンタル相場が高騰して武装勢力が余計に儲かるんじゃないかと思ってみたり。難しいですね。
因みに、コンゴ産タンタルに関して言えば、日本の携帯には使われてないようですが。これもサプライヤーからの自己申告なんだろか...。
コンゴから買うのやめてオーストラリアなんかの紛争フリーのタンタルに乗り換えたからって、今すぐコンゴの災厄が終わるほど世の中単純じゃないでしょうけど、まずはサプライチェーンの最上流の現実を知らずして浄化もなにもないですよね。
...と、頭で分かっちゃいるんだけど酷いですね、コンゴ。最初読んだNYタイムズの記事、もっと長文だった気がするんですが、あまりの内容に夜中うなされてしまいました。隣のルワンダ大量虐殺の残党も混じってるんですが、大量強姦で鉱物の山から市民を遠ざけるというところが...想像を絶します。
関連:Translators United for Peace - 速報820号 コンゴの危機――紛争鉱物の犠牲者、コンゴ民主共和国から手を引く欧州企業 - 日経BP、NPO法人テラ・ルネッサンス「コンゴ事業」
Kyle VanHemert(原文1、原文2/satomi)
※御指摘ありがとうございます、記事修正しました。