iPhone 4アンテナ問題でアップルは初代iPhoneから電波強度を実際より強く表示する不具合があった、ソフトウェアのアップデートで直すと発表しましたが、アンテナの問題解決にはなりませんよね...。
強度表示だけじゃなく、アンテナ問題に対処してくれると思ってたので、悲しいです(こんなに手放したくない携帯なのに毎度使うのもひと苦労なもんで)。
無線エンジニアもそう言ってます。
モトローラのアメリカ連邦通信委員会(FCC)実証試験ラボのMichael Andersonさんは、「これは根本的欠陥であって、デザインをやり直す以外に解消の術はない。リデザインとなると、FCC承認申請も全部やり直しになるので、解決までには時間がかかるかもしれない」と指摘。
英カーディフ大学でワイヤレスネットワークデザインの博士号を取ったRichard Gaywoodさんは、表示を直せばユーザーの認知は直るが、アンテナ障害問題は直らない、と正式発表に対する感想を書いてます。
デザインに問題ないのなら、なぜAnandtechも僕も、iPhone 4を素手で持つと、ケースで持つ時より目立って減るのだろう? Appleもなぜ問題解決策として「ケースを使え」と奨めたのか?
アンテナ障害の問題
Gizmodoが意見を聞いてみた無線の専門家たちは、iPhone 4のアンテナ干渉の問題は全員に起こるし、それは携帯に表示されるバーの問題じゃないと言ってます。でも全く問題に気づかない人もいますよね。どうして?
Anandtechブログが行った実証テストでは、iPhoneを手で自然に握って死のグリップ(左下の黒い溝)を皮膚で触ると必ず最大19.8dB分の電波ロスが起きました。これは100倍近い電波ロスに相当します。
これを裏付けるように、世界各地でネットワークに関係なくネット接続と通話の両方に影響が出ています。
例えば、以下の動画のように(メタルバンドの左下の切れ込みに指を置くと、こちらの声が相手に聞こえないiPhone 4のトランスミッションの不具合の実演)。
でもこうしたトランスミッションや受信の不具合は、シグナルが強い場所では再現できないんですね。
• SNR(Signal to Noise Ratio:信号対ノイズ比)が完璧な場所(電波塔が真っ直ぐ見えるエリアなど)では、19.8dB減ったぐらいでは問題なし。通話も正常、ウェブ閲覧も正常です。
• 電波が中程度の場所では、手をアンテナに置くとデータが落ちたり、通話のクォリティーが落ちる場合もあります。みんな常時、電波が最強の場所にいるわけではないので、遅かれ早かれ気付く、というわけ。
• 最悪、電波が中~低レベルの場所では、電話もかけられなくなったり、データも全く受信できなくなります。
下の動画では左下の「死のグリップ」に指を置くとWebページの読み出しが止まり、離すと再開してます。
電波強度バーの表示の問題
Appleが言うように、無線エンジニアや先のRichard Gaywoodさんも、実際のシグナルとiPhone 4に表示されるシグナルの間には確かに落差があると言ってます。
5本表示されていても、5本分の強度があることもあるし、2本低い3本程度のこともある。だから問題のスポットを触って5本からゼロになる人もいれば、5本のまま減らない人もいるんですね、うむ...。
5本バーで最高の状態から19.8dB減ってもiPhoneバー表示はそのままだし、性能もそのままだけど、5本バーで最悪の状態からスタートするとシグナルバーもシグナルの感度も落ちるというわけです(一番上の図参照)。
認識と現実
Gaywoodさんがアップルの声明に対する記事で言ってるように、「バー表示を現実に近づけるのは一歩前進だけども、このミス・カリブレーションで問題の規模の認識は誇張されていると思う」というのは、ありそうですね。
ソフトウェアのアップデート後はバー5本からゼロになっていたものが、バー3本からゼロになる、というわけですね。まあ、アンテナの問題は同じなんだけども。
アンテナ設計の問題だとしたら、早急に直してもらいたいです。iPhone 4使いたいので。
(一番上の画像はAnandtechのテストで得た数値をベースにRichard Gaywoodさんが、iPhone 4アンテナ分析の記事のアップデートとして作成したものです。iPhone 4で問題ある方はバンパー無料配布を求める署名運動も動いてます)
(アップルは集団訴訟で槍玉に上がった返却手数料を全廃し、30日以内の返却には全額還付する異例の措置を取ってます)
UPDATE: AppleCareからも確認が取れました。
Jesus Diaz(原文/satomi)