人間以外の動物にも、人間の描いた絵画の美しさはわかるのでしょうか?
慶應義塾大学グローバルCOEの研究によって、ブンチョウにも絵画の好みがあることがわかりました。ブンチョウは印象派よりもキュビズムが好きらしいとのこと。鳥は視覚認知に優れているため、これまでにもハトを訓練すればモネの描いた絵とピカソの描いた絵、上手な絵と下手な絵などを見分けることが出来ることは知られていたそうです。漫画のキャラクター(チャーリーブラウンとサザエさんなど)も判別出来るというから面白いですよね。しかし、これら従来実験では訓練すれば絵の区別がつく、ということがわかっていただけで、絵に好き嫌いがあるかどうかまでは分かりませんでした。
今回の実験では、7秒毎に別の絵を映し出すスクリーンの前に止まり木を置き、その絵の前の止まり木にどのくらい滞在したかを比較して好みを推定。全3箇所のスクリーンのうち、2箇所では日本画、印象派、キュビズムの絵を見ることができ、残り1カ所では無彩色のパターンが見られるようになっています。どのような絵の前にブンチョウが長く滞在するのかを調べたところ、7羽中5羽が印象派の絵よりキュビズムの絵の前に長くいることが分かったそうです。
ちなみにキュビズムの絵とはこんな感じ。ピカソが有名です。
一方、印象派はこんな感じ。モネやルノワールなどですね。日本画からの影響を受けているとも言われています。
また、日本画とキュビズムでは3羽が日本画を、他の3羽はキュビズムの絵を好んだそうです。そして日本画と、日本画の影響を受けたといわれる印象派の間では好みが個体により半々だったとのこと。
今回の実験は「人間の描いた絵に人間以外の動物でも好き嫌いを示す」という初めての報告。これまでにもサルやカラスは規則的な図形を好むけれど魚にはそういった好みがないことがドイツで示されていたり、サルがディズニーの漫画を見るために梃を押すといった実験は報告されていたそうです。しかし本格的な絵画の好みを調べる実験はこれが世界初とのこと。
ところでブンチョウは音楽もわかるそうですよ。これまでの研究で、チンパンジーなどを含め、多くの動物が音楽を聞き分けることは出来ても、好んで聞くわけではない事がわかっています。でもブンチョウには絵画同様音楽の好みも明瞭にあるそうです。面白いですね。鳴禽類であることが関係しているのでは、と考えられているそうです。
もちろん鳥類の脳と人間の脳は構造的に違いますが、人間以外の動物を調べることで、人間は何故「美」を感じるのか、ということがわかるかもしれませんね。
それにしてもブンチョウはキュビズムのどこら辺を気に入ったのでしょうか?
ブンチョウは印象派よりキュビズムが好き 人間以外の動物でも、人間が作った絵画に好き嫌いを示すことを初めて証明[慶應義塾]
Claude Monet, Impression, soleil levant, 1872.jpg[Wikipedia]
JuanGris.Portrait of Picasso.jpg[Wikipedia]
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(鉄太郎)