この12人の中には、PR代理店の人もいれば、テック企業のPR部門の人もいます。PRする企業の規模もさまざまです。でもいずれにしても、この12人がメッセージをコントロールする力を持っているんです。
そんな12人とは、実際どんな人たちなんでしょうか?
1.ブルック・ハマーリング(Brew Media Relations)ブルックは自分でPR代理店を経営していて、「Bリスト」(Aより下のクラス)の企業のPRを請け負っています(※この点、追記あり)。彼女にはすごく影響力があるので、彼女が大規模展示会のCESで毎年恒例のディナーを開けば、大物ITコラムニストのウォルト・モスバーグ氏が参加したりするんです。そんな風にテック・ジャーナリズムの大物を集められるだけでもすごいことですが、さらにすごいのは、そんな大物に自腹で参加させているってことです。
(※この記事公開後、ブルック本人からメールで「うちのクライアントにはGroupMe、General Assembly、Zong、NetSuiteとLarry Ellison、One Kings Lane、Bluefin Labs、GetGlue、とかとかがいるので、Bリストじゃありません」とお叱りを受けました。こういう人だから、最強PR担当リストの先頭にブルックがいるのです。)
2.ケイティ・コットン(Apple)ケイティはスティーブ・ジョブズの用心棒です。ジョブズと話をしたいときは、ケイティを通す必要があります。一番力のある媒体がネタをつかんでいても、彼女が一本電話をすれば掲載を止めることができます。
3.ジル・ヘーゼルベーカー(Google)Googleは、検索やOSビジネスやソフトウェア開発や、いろんなことを同じ会社で並行してやっています。なのでときどき規制当局への対応が問題になりますが、そんなときはジル(写真左)が頼りになります。彼女はGoogleのコミュニケーション部門のボスになる前は、2008年の大統領選挙で共和党のマケイン候補のコミュニケーションを担当しており、さらにニューヨーク市長選挙でのマイケル・ブルームバーグ市長再選にもメディア戦略担当として貢献しました。政治に強いのです。
Photo credit Charles Dharapak,AP
4.フランク・ショー(Microsoft)フランクは新鮮な存在です。PRの人といえば、「感じが良くて腰が低過ぎてむしろ落ち着かない」みたいな人が多い中、彼は強烈なパンチを繰り出してくれます。たとえばこのツイートでは、検索のライバルであるGoogleに一発浴びせています。そのアグレッシブさのおかげで、世界中のテック関連媒体には彼(を通じたMicrosoft)からのメッセージがちゃんと掲載されるのです。
5.マジョリー・コステロ(Consumer Electronics Association)肩書き的には、マジョリーはPRの専門家ではありません。彼女は家電関連のニュースレターConsumer Electronics Online Newsの発行者・編集者です。でも、CESでは彼女がショーを仕切っていて、誰がどこまでアクセスできるかをコントロールしているのです。ショーで著名な経営者にインタビューしたければ、「CESの女王」に頼んでみましょう。
6.ランディ・ザッカーバーグ(Facebook)Facebookのスポークスパーソン兼マーケティング・ディレクターは、マークのお姉さんのランディです。彼女が西海岸からニューヨークに飛んで来るなら、お友達も一緒に、ビーチパーティでも! Facebookの悪口なんか、言えません。
7.ビル・ウォール(HP)ビルは今年、SAPからHPに転職しました。より正確に言えば、元SAPのレオ・アポテカー氏がHPのCEOになったので、後を追ったのです。ビルはHPの新たな戦略・ビジョンに新しい顔を与える役割に加えて、かつてのスパイ事件や売れない製品やCEO交代のゴタゴタといったネタから発生する悪評を取り除く仕事も担わなくてはなりません。そして、彼はその仕事をきっちりやっているのです。
8.ナタリー・ケリス(Apple)AppleのPRのすごさは、このリストに2人もPR関係者が入ってしまうことにも表れています。上述のケイティがジョブズの番人なら、ナタリーは新製品への早期アクセスをかなえてくれる見えざる手(だから写真もないくらい!)です。とはいえ、Gizmodoはなかなか新製品に触れないんですが...。
9.スティーブ・スウェイジー(Netflix)スティーブは、謝罪のブログポストで「やっちゃいました(We blew it)」とか書いてしまうようなキャラクターです。先日Netflixの値上げ発表が総スカンだった際には、火消し役となって「以前との価格差はラテ1、2杯分」と発言し、それはニューヨークタイムズの紙面にも掲載されました。
10.パトリック・セイボールド(ソニー)今年、プレイステーションネットワークのハック事件は大問題となり、ソニー上層部の対応も後手に回りました。でもパトリックは事件の顔をうまく見せることで、ソニーの評判がフリーフォール状態になるのはなんとか回避した、と評価されています。
11.ワーナー・メイ(Fleishman Hillard)ワーナーはPR代理店に属していますが、事実上もうAT&Tの人です。AT&TのPRも大変な仕事ですが、それでもなんとかワーナーは彼の思いを記者に伝えています。
12.アリソン・ボニー(Spotify)PRパーソンの力は、その人個人から由来するだけでなく、製品から発してくる場合も多くあります。アリソンは、今地球で(少なくとも米国で)一番ホットなサービスSpotifyへのキーを持っていて、どのジャーナリストが早期アクセスできるかを決める力を持っています。2011年の今、僕を含むみんなが彼女と友達になりたがってます。
Mat Honan(原文/miho)