昨日出たiOS対応iPhotoでジャーナルとスライドショーの地図がGoogle Mapsじゃなく、OpenStreetMapになってるって気づきました!? デザインは違うんですけどね。実物はココでご覧になれます。
iOSはまだGoogle Mapsのデータを使ってますけど、これが終わりの始まりだとしたら影響大ですね。これが脱Google Mapsの兆候だと思う理由を少し書いておきます。
水面下で地図の会社を続々買収
ここ数年、アップルはせっせと地図の会社を買収してきました。昨年10月には超リアルな3Dマッピングが売りの「C3 Technologies」、その前は地図のカスタマイズ・情報オーバーレイが専門の「Placebace」、Google Earthそっくりな「Poly9」。
まだ製品として形にはなってないし、どこもGoogle Mapsの規模には敵わないので、相変わらずバックボーンにはGoogle Maps使ってますけどね。これまではハイパワーな地図アプリを駆動するだけのエンジンとなるとGoogle Mapsの独壇場でしたけど、それもこれで終わるんでしょうか...。
敵の敵は味方
iPhotoの地図を見て真っ先に思ったのはBing Mapです。Bingは検索よし、地図はもっとよし、Google Mapsより上なところも多いし、Mapsアプリには「Bing」という文字も出なかったりしますからね。
アップルがグーグルにブチ切れた2年前にはアップルとマイクロソフトの間でBingをiPhoneにデフォ採用する話し合いも持たれていました。
ただ、ある種の状況ではGoogleの方が圧倒的に強いので、そういうムラがあるとアップルも手を伸ばしづらいところ...。また、Bing Mapsは今徐々に「Nokia Maps」にリブランド中ということもあるし、そもそもアップルがiPhoneにハードの競合のスポンサーを入れるとも思えません。
そこでオープンソース
今回iPhotoに組み入れられたOpenStreetMap(以下OSM)はオープンソースのマップ開発プロジェクトです。ポータブルのGPS端末からの情報を収集し、そこに各地域の情報、航空写真、公けの情報ソース(政府・企業が無料で提供する情報)を補強しています。
The Next Webと512 Pixelsでは「少なくともグラフィックスはOSMじゃない」と最初断定してたんですが、OSM Foundationの方から「カスタマイズしてOSMのデータを間違いなく使ってますね」との発表がありました。
と言っても、事前にアップルからOSMの方には使わせてくれとも何とも音沙汰なかったらしく、OSMも開けてビックリ。OSMのコントリビュータに対するクレジットも明記されてなかったようです。しかも何故か、アップルが使ってるデータは2010年4月はじめのかなり古いもの。妙なことだらけ! なんですけどね。
Googleでなければなんでもいい
アップルとGoogle Mapsの関係はずっと円満でした。でもクパティーノとしては、iOSの最も中心的なアプリと機能のバックボーンをグーグルに任せ続けるのは我慢がならないんでしょう...。自社製品の歯車握ってる会社が相手じゃ熱核戦争もやりづらいだろうし。いやまあ、iプロダクツの部品サプライヤのサムスンとは、そんなの構わずガンガン法廷でやり合ってるわけですけど、できればそんなの避けたいですもんね。
脱Google Mapsがどう進むかわかりませんが、来るべくして来る変化な気がしますよ。戦争状態ですからねえ...。パンチ。反撃のパンチ。同じ業界の巨人同士これからもやり取りはあるでしょうけど、アップルは壁で囲われた庭広げるためならなんだってやるし、敵には息つく間も与えませんからね。
今はまだPlacesの位置情報もGoogleだし、iOSのデフォルトの地図もGoogle Mapsです。でも、この休戦はいつ終わってもおかしくないですよね...。Appleは着々と社内にデジタル地図作成集団を抱え込んでるし、それはもちろん働いてもらうため。それが初めて表に現れたかたちかと。
KYLE WAGNER(原文/satomi)