ほんとに何があったんでしょうか...。
この10年で、ソニーは最強のテクノロジー企業のひとつから4年連続赤字会社へと急降下してきました。今やソニーはコンシューマーエレクトロニクス分野で持っていた優位性のほぼすべてを失ってしまった...とは言い過ぎかもしれませんが、一体どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?
その答えについて、週末のニューヨークタイムズで良くまとめられた記事がありましたので、抜粋してご紹介します。
何が間違っていたかといえば、さまざまな機会の逸失、悲惨なほどの内部対立、という話になります。また、誇り高きソニーという企業が、グローバル市場の現実に適応する意志も、能力もなかったという話でもあります。
手厳しいですね...。
ソニーの最大の誤りは、この10年間起こってきたイノベーションの大きな波に乗れなかったことです。その波とは、デジタル化、ハードからソフトへのシフト、そしてインターネットです。
ハードウェアからソフトウェア、コミュニケーション、コンテンツまで、ソニーが事業を行なってきた全領域は、それぞれの分野の破壊的新技術、そして新興の競合他社によってめちゃめちゃにされてしまいました。そしてそうした変化は、ソニーにおいては内部対立・分裂を強めただけでした。
わかりやすい事例は、MP3プレイヤーでしょう。ソニーは技術的にもコンテンツホルダーとしての立場的にも、iPodのようなデジタル音楽プレイヤーをアップル以前に発売できたはずでした。ソニーの共同創業者・盛田昭夫氏は、1980年代にコンテンツとデジタル技術の融合を予見していました。にもかかわらずソニーはその先陣を切ることはできませんでした。音楽や映画などのコンテンツを持つグループ企業からの猛反発に合い、彼らを納得させる形態を模索しながら開発せざるをえなかったのです。しかもその結果できたものはMP3フォーマットと互換性がなく、ユーザーにとって使い勝手の悪いものでした。
そんなソニーの誤りを、ニューヨークタイムズでは3つにまとめています。ひとつめは、革新的なハードウェアを開発することにこだわりすぎ、製品をタイミングよくリリースできず、ソフトウェアもなおざりにされていたこと。ふたつめに、製品数が膨大で、機能が重複するなどユーザーにとってわかりにくくなっていること。3つめに、音楽や映画、ゲームなどのコンテンツを別々のプラットフォームで提供し続けるなどオンライン戦略に一貫性がなかったこと、です。
ハードもソフトもコンテンツも押さえていることが強みかと思いきや、お互いが足を引っ張り合ってしまったんですね...。現在ソニーは、新CEOの平井一夫氏の下で立て直しを図っています。彼はソニーの戦線をスリム化し、スマートフォンやタブレット端末、カメラやゲーム機まで含めたモバイルデバイスに集中させようとしています。大変な仕事ですが、「ソニーの新製品」と聞いただけで何かすごそうだったあのワクワク感を取り戻せるよう、がんばってほしいです。
Image by Steve.M~ under Creative Commons license
Jamie Condliffe(原文/miho)