特性がわかった上で使うと凄くいい端末なんだけどなぁ...BlackBerryが日本だけでなく世界で苦戦している現状について

    特性がわかった上で使うと凄くいい端末なんだけどなぁ...BlackBerryが日本だけでなく世界で苦戦している現状について

    皆さんもご存知、BlackBerry。周りに使っている人は何人程いらっしゃるでしょうか?

    僕は、日本でBlackBerryがなかった(法人用はありましたっけ)6年程前にカナダを放浪したんですが、街の至るところで見かける、映画でしか見たことのなかったBlackBerryのかっこよさに惹かれて以来、すっかりBlackBerryユーザーです。かといってアンチAppleというわけではなくて、むしろApple製品は大好きです。iPhoneも大好きです。でもスマホのファーストチョイスBlackBerryなんです。

    ギズではiPhoneやAndroid(たまにBlackBerry)など、スマホに関する記事に力をいれていますが、読者のみなさんのほとんどがiPhoneやAndroidユーザーであることは事実です。というのも、iPhoneやAndroidに関する記事に対するレスポンスの方が圧倒的にいいし、多いですからね。先日も皆さんにアンケートをとらせて貰いましたが、ほとんどの読者の方がiPhoneやAndroid端末を使用されていて、BlackBerryユーザーはごく少数でした。

    この構図は世界に目を向けるともっと顕著に現れていて、BlackBerryがiPhoneや新興勢力のAndroidに押されているというのも事実です。

    では、何でBlackBerryは現在苦戦を強いられているのでしょうか?

    RIMの過去の栄光

    BlackBerryを開発・販売しているのはカナダの会社であるRIM(Research In Motion)です。プッシュ型のEメールサービスによるテキストベースのコミュニケーションを実現したポケベルにより、世に名を知らしめました。その際の主力端末であった「RIM 950 Wireless Handheld」が後のBlackBerryブランドとなっていったんです。

    2003年に「BlackBerry 6210/6220/6230」が登場し、今まで法人顧客に向けて販売されていたのが、一般のコンシューマにも販売が開始されました。その後も幅広く端末を開発し、多くのユーザーを獲得していきました。そして世界的に大きなシェアを獲得するまでに至ったのです。

    BlackBerryの現状

    20120509share_of_smartphone_sales.jpg

    市場調査会社のGartnerによると、スマートフォンの世界全体での売り上げ高OS別シェアは以下のようになっています。

    Android:50.9%

    iOS:23.8%

    Symbian:11.7%

    Reserch In Motion(BlackBerry):8.8%

    Microsoft:1.9%


    一時は一番売れていたスマホであるBlackBerryは8.8%まで落ち込んでいるんです。では、なんでこうも売れなくなっているんでしょう?

    なんで売れない?

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    RIMの現CEO - トルステン・ヘインズ(Thorsten Heins)

    ● BlackBerryは今時のスマホじゃない?

    BlackBerryが苦戦を強いられている「一般的な」見解として、

    ・他のスマホでできることができない

    ・アプリが充実していない

    等が挙げられると思います。iPhoneやAndroidの登場以来、ユーザーがプライオリティを置く機能は常々変化していますよね。それでは現在のユーザーが一番求めているスマホの機能ってなんなんでしょう。

    ・SNSへの繋がりやすさ

    ・大容量のゲームのプレイが可能

    ・写真編集などをはじめ、多岐のジャンルにわたるアプリの充実

    BlackBerryユーザーの人たちからは、BlackBerryはゲームをガンガンプレイするような端末じゃない! と言われるかもしれませんが、世の中の一般的なスマホの一般的なイメージはそんなところじゃないでしょうか。

    Instagramで写真編集したい、Lineでなめこのスタンプを使いたい、Angry Birdsで悪ブタをやっつけたい


    え、BlackBerryじゃできないの?


    それじゃiPhoneやAndroidの方がいいね。


    あくまで一般論ですが。

    そういった、他のスマホでできてBlackBerryでできないことが多い、というのが現在の不振に繋がっているのではないでしょうか。

    ● 日本での実情

    一方、日本国内に視点を移してみましょう。国内でBlackBerryを販売しているのはドコモのみです。BIS(BlackBerry Internet Service)を契約しないと、webメールを含めた、メールのプッシュ配信など、BlackBerryをフル活用できず、それを提供しているのがドコモだけなんです。SIMフリーのBlackBerryを入手して、ドコモ以外のキャリアで運用することもできますが、BISを利用できない他のキャリアは考えないことにしましょう。

    そんなドコモですが、僕はBlackBerryの初期の料金設定に疑問を感じました。今でこそ月額490円になったBISですが、当初は1575円という他のプラットフォームでは考えにくい料金設定でした。基本使用料やらパケホーダイやらなんやらの上に、この1575円でしたし。いくらBlackBerryが国内でコンシューマ向けに販売されるというニュースに引きがあっても、手を出しにくい感があったのは否めませんでした。

    またBISだけでなくパケット通信の料金体系にも、日本でBlackBerryが売れない理由があるんじゃないかなと思います。国内最大のBlackBerry情報サイトであるBlackBerry Fan Siteにはこのように書かれています。

    パケットの消費量もAndroidに比べBlackBerryは独自に圧縮を行っている関係で、1/4~1/2程度に収まっています(ソースはBlackBerryDayでのCEOマイク・ラザリディス講演)。

    BlackBerryユーザーが節約した帯域を、Androidユーザーがどんどん消費している状態で、データ通信量の上限がAndroidと同じというのもおかしな話です。これら様々な未対応や不公平な提供状況のサービスがあり、ストリーミング系のサービスも利用できないBlackBerryにAndroidと同様の課金が行われるのは非常に不公平感を感じています。

    本来スマートフォンと銘打って一律の料金を課金するのであれば、提供されるサービスもほぼ同様のものでなければならないと思います。docomo側の事情で(BlackBerryがRIMの端末であるためdocomoで調整が出来ないという事情も、docomoにのみお金を払っている我々一般ユーザーからすれば「docomo側の事情」です)それが難しいのであれば、提供されるサービス別にきちんとそれに見合った課金をするべきです。

    ※ マイク・ラザリディス:RIMの前CEO

    何度も言ってることですが、BlackBerryが日本で売れない理由のひとつは、docomoがBlackBerryをdocomoのスマートフォンというカテゴリに無理矢理押し込めて売っているからです。Androidとは使い道が違い、パケットの消費量も違い、出来ることも違う。本来それは良い悪いの話ではなく用途の違いや個性の話のはずなのに、docomoが同じカテゴリに入れて同じようにお金とって販売することで、端末の多様性を完全に殺してしまっているのが現状。

    3G回線でYoutubeの視聴ができないように制限がかけられているなど、公平ではないですよね。Androidなどと同じくくりにするのではなく、BlackBerryという端末の特性とできることを踏まえた上で、料金設定をした方が今より売れると思うんですけどね...。

    それに加えて、他の国以上に「BlackBerry=ビジネスユース」というコンセプトでプロモーションが行われていることも大きいかと思います。セキュリティの高さから、企業や個人ビジネスマンユーザーが多いのはわかりますが、海外では日本程「BlackBerry=ビジネスユース」と考えられていません。現に、イギリスでは若者からの支持も厚いですし。

    先ほどスマートフォンの定義のところでも言いましたが、世界的に見ても「スマートフォン=色んなアプリで色んなことができる」という構図になっていると感じます。実際、iTunes StoreGoogle Playもアプリ数はすごく充実していますよね。それに比べてBlackBerry App World、お世辞にもたくさんのアプリを揃えているとは言い難いところです。

    過去は良かったかもしれませんが、その辺りが現在のスマホ市場においての業績不振に繋がっているのかもしれません。

    これからどうなる?

    BlackBerryにはBlackBerryの良さがあり、それを引き継いでいって欲しいものです。でも企業として現在のユーザーのニーズを汲み取るのは非常に大切なことですよね。伝統や端末の個性を大事にすることも大切ですが、その時々のニーズをしっかりと端末に反映させないと、本当に生き残っていけませんし。

    つい先日、デベロッパ用のプロトモデルとして「BlackBerry 10 Dev Alpha」が発表されました。全面フルタッチスクリーンのアイツです。BlackBerryの特長でもあったフィジカルキーボードが無くなり、ユーザーの多くが残念に思ったかもしれません。僕もそのうちの一人です。(※ 先日今後のロードマップがリークされ、フィジカルキーボード搭載のBlackBerry 10端末も出ると噂されていますが、あくまでメインで推していくのはフルタッチスクリーンモデルでしょうね)

    ただ、現在のスマートフォンのトレンドやニーズを考えると必然的にその形にならざるを得なかったんじゃないか、とも思えてきます。例えば、ラップトップなどにも同じことが言えて、WindowsやMacなどOSの違いはありますが、ハード面ではほとんど同じ造りになっていますよね。

    「フィジカルキーボードこそBlackBerryだったのに」「これじゃiPhoneやAndroidと同じ」等の意見も聞こえてきましたが、もし今まで通り、伝統を保った端末で今まで通りの戦略を続けたらどうなっていくでしょうか? 一部ユーザーは満足かもしれませんが、企業としては状況が悪くなっていくだけでしょうね。現在ですらユーザー離れが進んでいるというのに。

    ポジティブなニュースもあって、BlackBerry 10 Dev Alphaが発表されたBlackBerry Worldにおいて、モバイル端末向けにゲームを開発している会社は、今回のプロトモデルの発表に凄く興奮したそうですよ。大手のGameloftはもうすでに11本ものタイトルを開発すると発表しました。

    また週刊アスキーPLUSによると、スマホ向けゲームを開発しているFishlabs Entertainment社はこう述べているそうです。

    デベロッパーツールズやOSや高いクオリティーのハードウェアのおかげで、最初のバージョンを移植するのに1日しかかかりませんでした。BlackBerryは非常に短時間で、われわれ(ゲーム会社)にとって(iOS機器に次いで)2番目に大事なプラットフォームになるでしょう。

    開発者は、BlackBerryがAndroidとは違い、ハードウェアソフトウェアが同じ会社によって開発されていることを再認識し、今回の発表を非常に前向きに評価しているようですよ。

    RIMは死んだ、とか言われてきましたが、僕にはそう思えないんです。今回の発表を受けて、まだまだRIMの可能性があるような気がしてなりませんし、今まで感じることができなかったRIMの「今の状況を抜け出す」意欲や冒険している感が、今なら伝わってきます。もうここまで来たら潔く前に進み続けていって欲しいですね。

    (河原田長臣)

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