計画的じゃない方が、実は賢い?
何か買おう! と決めたとき、まず考えるのが予算というパターンになりがちです。商品があまりに多いので価格で便宜的に範囲を狭めてしまいたい気持ちもあるし、予算を決めた方が合理的に買い物できるような気がします。でも、これは実は大きな間違いかもしれません。というのは、予算を先に決めることで、余計な出費が増える可能性が高まってしまうからです。
ブリガムヤング大学の研究チームが、こんな実験を行いました。実験参加者をふたつのグループに分け、片方には事前に予算枠を設けさせ、片方には予算枠なしで、それぞれペンやテレビなどいくつかのカテゴリのものを買わせたのです。
その結果面白いことに、予算枠ありグループの方が一貫して予算枠なしグループよりも多くのお金を使う傾向が見られました。
たとえば、ある実験では参加者たちはペンを買うように言われました。その結果、99セント(約80円)以上のペンを買った人の割合は、予算枠ありのグループでは60パーセント近くだったのに対し、予算枠なしのグループでは38パーセントしかいませんでした。同様の結果は、テレビなど他の製品においても見られました。この研究結果はJournal of Marketing Researchに掲載されています。
でも、どうしてこんなことになるんでしょう? 研究では、予算を設定して買い物をすると、その価格に近い限られた範囲の商品ばかりを比較検討することで小さな違いが大きく見えてきて、ついつい細かいメリットを追い求めてしまうのではないかと示唆しています。それで結果的に、より高い物を買ってしまうことになると考えられます。
一方、予算枠を固定せずに買い物をする場合、より広範囲の商品を比較検討するようになるため、価格についても妥当な判断がしやすくなります。それで出費が相対的に抑えられる、ということがしばしば起こるのです。
そんなわけで、今度大きな買い物をしたくなったときはどうすればよいでしょうか? たとえば、新しいノートパソコンがほしい場合です。
まず、価格以外の視点から検討範囲を絞っていきましょう。たとえばスクリーンサイズは13インチ、といった感じです。次に、13インチのノートパソコンをなるべくたくさん見て、スクリーンサイズ以外にどんなポイントが自分にとって大事かを見きわめましょう。そして全体を見ながら、どんな機能にはお金を払えて、どんなポイントには払いたくないかを考えてみましょう。ちょっと時間はかかるでしょうが、どんな製品があるかをちゃんと把握することで、無駄な出費を抑えられるかもしれません。試してみてください。
[Journal of Marketing Research via Live Science] Image: Artist In Doing Nothing
Jamie Condliffe(原文/miho)