アップルが好んで使う3大フォントと言えばミリアド(Myriad)、ルシーダ・グランデ(Lucida Grande)、ヘルベティカ・ノイア(Helvetica Neue)...ですが、最近これに新たな仲間が加わりました。
一番下にあるのがその「アヴェニール(Avenir)」―OS X Mountain LionとiOS 6に同時に現れた書体なので、次のiPhoneでもきっとコレお見かけしますよ!
以上のサンセリフ書体には共通項もありますが、書体ごとに見た目も違えば役割りもかなり違うんですよ。これは知ってるようで意外と知らないかも。
ミリアド(Myriad)
2002年アップルがコーポレートフォントに採用したのが「ミリアド(Myriad)」。
それまではセリフ書体ギャラモンのアップル版「アップル・ギャラモン(Apple Garamond)」でしたよね。eMacより前に出たMacintosh、PowerBookなんかのコンピュータは1台1台全部ロゴから何からアップル・ギャラモン。アップル製品と言えばアップル・ギャラモンだったので、廃止になった時は古くからのAppleユーザーから抗議の声が上がりました。
それに代わって採用されたミリアドはロバート・スリムバック(Robert Slimbach)とキャロル・トゥオンブリ(Carol Twombly)が開発したアドビのオリジナル書体です。アップル製品の箱、広告、拡販グッズ、ロゴの書体まで今はみ~んなミリアド。ブランディングイメージはこれで統一されています(日本語はType ProjectのAXISですかね)。
ミリアド書体はOS Xのフォント群には一部入ってますが、iOSのフォントには入っていません。
ルシーダ・グランデ(Lucida Grande)
ミリアドがアップルの企業イメージを代表する書体なら、デスクトップOSのUI書体は「ルシーダ・グランデ(Lucida Grande)」で、サンセリフ書体がOS Xのシステムフォントになってます。
元々はMacアイコンの母スーザン・カーレ(Susan Kare)が初代Macintosh OS向けにデザインした「シカゴ(Chicago)」書体だったのですが、Mac OS 8とMac OS 9でサンセリフ書体「チャコール(Charcoal)」となり、さらにそれに代わるものとしてチャールズ・ビグロー(Charles Bigelow )とクリス・ホームズ(Kris Holmes)が開発したのがルシーダ・グランデ、という流れになります。
ミリアドもそうですが、ルシーダ・グランデもiOSには入っていません。
ヘルベチカ・ノイエ(Helvetica Neue)
じゃあ何がiOSのフォントなのか?...というと、答えは「ヘルベチカ・ノイエ(Helvetica Neue)」。iOS 4でヘルベチカに代わって採用された書体ですね。
ヘルベチカ(ヘルベティカ)が初めて登場したアップル製品はiPhone 3GとiPod touch。その前は「ポディウム・サンス(Podium Sans)」が初代iPhoneと大半のiPodに標準の書体として入っていました。但し初代iPodはポディウム・サンスは入ってなくて、昔ながらのシカゴ書体。
このヘルベチカとヘルベチカ・ノイエはOS Xにも入ってます。iPhotoの最新アップデートでもヘルベチカ・ノイエが使われています。
アベニール(Avenir)
で、最後が「アベニール(Avenir)」。独ライノタイプ社の書体で、アップルの新しいお気に入りです。
ドイツのヤコブ・エアバー(Jakob Erbar)教授の「エアバー(Erbar)」と、バウハウス非常勤講師パウル・レナー(Paul Renner)の「フツーラ(Futura )」―1920~30年代生まれのオールドスクールな2つの書体にヒントを得ながら、1988年にアドリアン・フルティガー(Adrian Frutiger)が開発したのが、このアベニールです。
アベニールはiOSフォント群でもかなり重要な役割りを担っています。iOS 6でアップルが社運を賭ける自製MapsとSiri新スクリーンの両方に採用されたんですね。レストランのおすすめのページとかでも大々的に使われてます。
アベニールはOS Xにも入ってます。ウェイト別に3つの書体ファミリー(Avenir、Avenir Next、Avenir Next Condensed)すべて。ただアップルはOS Xのアプリケーションにはどれも使ってないみたい(僕が探してみた限りでは)。
iOSで特別な位置にあるアベニール。OS Xでも特別な役割りを担うんですかね? かもしれませんね。いつかアップルがiOSとOS XをひとつのOSに統合する日がきたら、その日のうちに全部アヴェニールになっていたりして...。僕はヘルベティカ・ノイエ(ノエ)の方がずっと綺麗だし可読性も高いので、そうならなきゃいいなって思ってますけどね。最新のMountain LionのアップデートではiPhotoでヘルベティカ・ノイエが使われちゃってるので、あーこれで将来OS XとiOSのシステム書体になる可能性も終わったなーと思ってみたり...悩ましい...。
「たかがフォントじゃん!」い~やいや、油断はできませんよ、この広い宇宙にはコミックサンズってもんがありますからね。
Jesus Diaz(原文/satomi)