地図もSiriも、iTunes 11も、この人が。
アップルのインターネット関連ソフトウェア・サービス担当上級副社長、エディー・キュー(Eddy Cue)氏は、逆境も地道に乗り越える必殺仕事人と言われています。最近では、フェラーリの社外取締役にも就任しています。
iOS開発責任者だったスコット・フォーストール(Scott Forstall)氏のアップル退社とそれに伴う組織改編で、キュー氏はアップルのインターネット上のサービス全体の責任者となりました。そこには、アップルの2大問題児とも言える地図サービスやSiriも含まれています。「アップルが成長を求めるなら、そこで最も重要になるサービスのすべてを率いているのが彼だ」とも言われるほど、その責任は重いものです。
キュー氏はこれまで、MobileMeの終了とそれに代わるiCloudの開発や、iTunes立ち上げまでのメディア企業との交渉を手がけ、そこでの粘り強さが高く評価されています。また、ティム・クック(Tim Cook)CEOや他の役員に対して7インチタブレット開発の重要性を当初から訴えてもいました。
彼はスティーブ・ジョブズのようなプレゼン上手ではなく、本人もステージは苦手だと言っていますが、好人物ではあるようです。ウォール・ストリート・ジャーナルにはこう書かれています。
アップルの従業員はキュー氏について「アップルの幹部には珍しく、軽いおしゃべりやスポーツの話が好き」だと語る。キュー氏はデューク大学のバスケットボール・チームの大ファンで、オフィスにはそんな写真をいっぱいに飾っている。
彼を知る人物によれば、キュー氏は失敗を「やっちまった(We really f*cked up)」といった言い方で正直に認めるし、部下たちはそれをありがたく感じているという。
でも、ただ人当たりの良い役員というだけでなく、地図サービスを直接担当していたディレクターの解雇を決めたのもキュー氏と言われています。仕事人らしく、切るべきところはバッサリということでしょうか。
そんなキュー氏の新体制から、29日にはiTunes 11が公開されました。どう評価されるか、試金石のひとつになりそうです。
[WSJ]
miho(Casey Chan 米版)