コネティカット小学校乱射事件を受けてオバマ大統領がやっと本気を出して戦闘用武器販売に制限を加えるプランを発表したら、なんと規制対象となる銃器がウォルマートで飛ぶように売れ、ものの数時間で売り切れになりました。ガッド・ブレス・アメリカ。
ブルームバーグによると、売り切れたのはペンシルバニア、カンザス、アラバマなど計5州です。
ウォルマート側は「スポーツ用ライフル」(なるべく速く、なるべく大量に殺せるようゼロから開発した軍用兵器のことを銃業界ではこう呼ぶ)の販売を停止する予定はないと話しています。
銃取扱店の中には今回ニュータウンで児童大量殺戮に使用された軍用M16ライフルの民間版・ブッシュマスターAR-15を含む自動ライフルの販売を自主規制したところもあって、ディックス・スポーティンググッズも「犠牲者・遺族の心情に配慮し」全米511店舗の棚から取り下げているわけですが...「共産主義者」なんですかね(銃推進派は「反対派=共産主義者」というレッテル貼りをよくする)。
一番まずい武器が、「オバマ(とか共産主義者)が規制する前に買っとかなくちゃ」と全米で一番売れている、という...。「精神的に不安定な奴に買われる前に自分たちで全部買ってしまおうぜ」ということなのかな。そんなに一生懸命買っても売り切れたらメーカーはまた造るだけだから意味ないのにね。
リテール世界最大手のウォルマートからして、こうなんだから...。
ウォルマートが運転期間を置いて店頭で銃の取扱いを再開したのは2011年4月のことですが、「同じ年の10月には2年以上赤字続きだったウォルマートの米国内既存店の売上げが初めて黒字転換しているが、銃販売再開もこれを後押しした一因かもしれない」と、ブルームバーグは指摘してますよ。良かったね、ウォルマート。
今年ブラックフライデーのセールでウォルマートから50ドル安く「シグ・ザウエルM400」を買うチャンスを逃したみなさんはご愁傷様です。あんな美しい殺戮マシン、867ドルで買えるチャンスは滅多にないですよ。やっぱり企業の経営努力をとやかく言う方が間違ってるよね。
銃バカ売れで相場は高騰。誰が誰に何を売ろうがほぼ無規制のeBayでは自動拳銃グロックの弾倉の相場が小学校乱射が起こる前の倍の値段に跳ね上がり、AR-15(ほぼ完売)も4000ドルの高値で取引されています。両方とも今回の乱射で使われた武器ですね。
以上、世界の終わりのように銃が売れまくるアメリカからの報告でした。
[Bloomberg(キャッシュ)]
satomi(Jesus Diaz 原文)