CESで発表されたキヤノンのコンデジ「Powershot N」。その正方形に近いボディフォルム、レンズ周りにあるシャッターボタン。とても斬新で、注目を集めていました。そのPowershot Nの試作機をお借りすることができましたので、さっそくレビューをしてみたいと思います。ワクワク!
ボディをじっくり見てみよう
持った感じは「小さい!」。片手で手軽に持てるサイズです。しかし、軽すぎるということはなく、カメラとして適度な重量感があります。外装はちょっとプラスチックな質感ですけど、個人的には悪くないなと思いました。なんせ小さいですからね。
背面液晶は上方向に開くことができます。ローアングルでの撮影や、上方向の撮影時に活躍します。ボディ周りには電源ボタンや再生ボタン、Wi-Fiボタンなどがあります。どれも小さいので、間違って押してしまうということはありませんが、押しやすいかというとちょっと押しづらいかなーという感じです。
底面にはカードスロットとバッテリー収納部があります。バッテリーは最近ではあまり見かけない、小さなかまぼこ型です。充電はUSBケーブルで行います。パソコンのUSBポートからも充電できます。
メディアはmicroSDカードを採用。このカードスロットを開ける際には、液晶画面を開く必要があります。これがちょっと面倒だなと感じましたが、まあ、それほど頻繁にカードスロットを開閉することはないと思いますので、徐々に気にならなくなると思います。
背面液晶は2.8インチのタッチスクリーンとなっています。とても発色がよく見やすい液晶です。タッチシャッターにも対応しています。各種設定変更は画面をタッチして行うタイプ。普段、デジタル一眼カメラを使うことが多い僕としては、ちょっとこの操作性に戸惑いましたけど、慣れてしまえばこれはこれで快適ですね。
このカメラの特徴は、なんといってもシャッターとズームです。シャッターボタンはレンズ周りにあります。ボディに近いほうがシャッター、ズームリングはその外側です。ズームをしようと思って何度もシャッターを押してしまいましたが、慣れてくると片手でテキパキ操作ができるようになりました。
どうやって持つ?
さて、このカメラ、どうやって持つのが正しいのでしょうか。最初、普通のコンデジのように、両手で構えてみたんですが、シャッターボタンがレンズ上にあるので、なんかしっくりこないんです。
そこで片手で持つようにしてみました。人差し指をシャッターボタンにかけるようにし、親指で底面を支えるようにしました。これがとてもしっくりするんです。つまり、PowerShot Nは片手で持つカメラなんですね。
右手で持つと、人差し指でシャッターもズームリングも操作可能。ちょっとズーム動作に癖がありましたが、「被写体を見つける→カメラを構える→ズームをする→構図を決める→シャッターを押す」という一連の動作を、すべて片手で行えるのです。
普通のコンデジでも同じように片手でできることはできますが、指の移動が結構必要です。でもPowerShot Nは、動かすのは人差し指だけ。しかも移動距離はズームリングとシャッターボタンの間だけというのは、結構ラクチンでした。
もちろん、細かい設定を行うには背面液晶をタッチして操作をする必要はあります。しかし、カメラの性質上、お手軽に撮影するスタイルが向いています。気の向くままに片手でパシャパシャ。そんなスタイルがPowerShot Nには適しているでしょう。
液晶を上部に開いた場合は、ちょっと持ち方を変える必要があります。シャッターを親指で押すように持つと安定します。特にローアングルでの撮影は、この持ち方にするとあまりしゃがむ必要がなく楽でした。
気になる撮影画像
さて、いくらカメラが小型で持ちやすいといっても、画質がひどかったら使う気になりませんね。ということで、実写画像を見てみましょう。なお、今回お借りしたのは試作機ですので、製品版とは異なる可能性がありますことをご了承ください。
画質はキヤノンらしく、発色がよくすっきりしています。画質に関しては安心していいと思います。最初はあまり期待していませんでしたが、撮影画像を見て思わず「おお」とつぶやいてしまいましたよ。
発色がいいといっても、色がどきづい、という感じではなく、全体的にバランスがとれています。1200万画素のCMOSを搭載していますが、解像感が高く、細部にわたって鮮明に描写されています。
うーん、いい画質だなー。個人的にこういうすっとした色味、好きなんですよねー。
ギャラリーを載せておきますので、じっくりご覧ください。
PowerShot Nにはエフェクトがいくつか搭載されています。そのうち、魚眼風、トイカメラで撮影したものは以下になります。また、撮影画像の縦横比率も変更可能。1:1の正方形で撮影した写真も参考までにどうぞ。
ちょっと写真が用意できなかったんですが、PowerShot NにはInstagramっぽく撮れる「クリエィティブショット」という機能が搭載されています。クリエィティブショットは、カメラが自動で色と光を自動調整し、構図を切り出して6枚の写真を作ってくれる機能。キヤノンのノウハウが詰め込まれた機能の1つです。
シャッターを切れば、Instagramでいうフィルターがかかった状態の写真を、自動でカメラで用意してくれるんですね。これはとてもおもしろい機能なんですが...写真忘れた! 1月31日からのCP で触れれば機能紹介しますね!
高感度のノイズは?
最近のデジカメ全般で力が入っている機能が、高感度ノイズの軽減です。個人的に、これに関してはデジタル一眼のほうが優位だと思っています。コンデジは撮像素子のサイズが小さいので、どうしても高感度になるとノイズが目立ってしまいます。
ということで、PowerShot Nで高感度撮影をしてみました。例としてISO1600で撮影しました。
一見、高感度とはわからない感じですね。ノイズ処理が優秀なのでしょうか。一部を拡大してみましょう。
おお! ISO1600とは思えない画質です。ザラつき感もあまり感じられず、かといって解像感が損なわれている感じも受けません。これはいいんじゃないでしょうか。安心して暗い場所でもISO感度を上げて撮影できると思います。
動画も撮影しました
PowerShot Nには動画撮影機能があります。もちろんフルHD動画の撮影に対応。そこで、動画を撮影してみました。
手ぶれ補正機能があるので、このようなシチュエーションでは手ぶれはあまり気になりませんね。ちょっとAFの動作が遅いなと思うときもありますが、概ね満足できるレベルです。
動画関連の機能としては、スローモーション撮影ができる機能があります。スーパースロー動画を撮りたいときに役立ちますね。
この小さなボディ1台で、静止画もフルHD動画も撮れるというのは、重宝しますよ。
PowerShot Nは買い?
はっきりいって、予想以上によいカメラでした。シャッターとズームの操作に多少慣れが必要ですが、それをクリアしてしまえば、あとはそれほど不満点はありません。今回は試せませんでしたが、Wi-Fiにも対応。FacebookなどのSNSに画像投稿をする機能や、iPhoneやスマートフォンへ画像を転送する機能があり、撮った写真の活用方法が広がります。
その独特のフォルムに目が行きがちですが、画質もなかなかのもの。本格的な撮影には向いてませんが、毎日持ち歩くお手軽散歩カメラとしてならば、確実に「買い」だと思います。
国内での発売は4月下旬からキヤノンオンラインショップ限定販売です(予約開始は3月中旬予定)。価格は2万9980円。発売されたらけっこう人気になるんじゃないでしょうか。正直、1台欲しい。これほど画質と小型ボディが両立しているとは思っていませんでしたから。
キヤノンさん、ほんとおもしろくていいカメラを出してくれてありがとうございます。カメラがますます楽しくなりました!
(三浦一紀)