ランニングシューズも来るところまで来て、アディダスが発表した新モデル「Energy BOOST」では「技術はどこまで許されるのか?」が議論を呼びそうな気配ですよ。
ランニングシューズは「クッション最小限にしてフォームをきれいにする」という考えの人もいれば、競技に勝つこと優先の人もいますが、Energy BOOSTはずばり後者。良過ぎるぐらい良くできているんです。
Energy Runningでアディダスは2つの新技術を装備しました。ひとつ目は「Spring Blade」というもの(脚を蹴り上げて伸ばすとバネが元に戻る。ガゼルの走りをベースに開発)。ふたつ目は「Boost」という素材で、これは1年前から業界のスタンダートとなっているEVAミッドソールに代わるものです。
EVAは今市場に出回るランニングシューズの「90~95%に入ってる」(アディダス)んですけど、Boostは「反発力(energy return)が強くて快適」。反発力と快適性という相容れない2つの要素を融合させた初のシューズであり、大きなブレークスルーだ、とアディダスは話しています。
要するにびょんびょんよく飛ぶシューズ、兎みたいに楽勝で走れるシューズってことですね。
NYの新作発表イベントではパチンコ球みたいな玉をコンクリート、EVA、Boostに落としてデモしてる映像を流したのですが(以下の動画の0:23)...
...ご覧のようにEVAとの差は歴然。すごいですね...。
しかもBoostの威力は最高で500km走りこんでも一分の衰えもないので、他より耐久性もいいんだそうですよ。まあ、PCのバッテリーもちじゃないけどシューズも宣伝の距離未満で衰えてしまってるのが多い中、こればかりは走りこんでみるまでなんとも言えないけど...500kmは結構いいな~。
大会規則に違反しないのか?
となると心配なのは「合法なの!?」ってことでして、発表会でもその点について早速質問が出てました。「反発力」というとオスカー・ピストリウス(殺人容疑で捕まってしまうなんて...;;)のランニングブレードを想像してしまうし、数年前に世界記録続出で五輪着用を巡って大激論になったSpeedoのLZRとか、NBA初の使用禁止シューズとなったConcept 1に連想がいきますよね。
年々シューズも軽量化が進んで、走るフォームを整えるデザインに変わってきているわけですが、そういうのと違ってこれはバネ入れるってことなので...微妙。
え? 「テニスだって高弾性グラファイトのラケットあるし、ゴルフだって宇宙ロケット素材のドライバーで飛びまくりだし、あれとどこが違うのよ」って? う~ん、それもそっか...。
あと、「本当にアディダスの言う通りスゴイの?」という部分も大きな「if」でございますわね。
スポーツ用品はPRカッコいいけど実態伴わないものも数多ありますもんね。あの2008年から2010年に売れまくって170%売上増のコンプレッション機能搭載アンダーギアも本当に効くのかって声もありますし(うちの家族は愛用してますが...)。
確かにEnergy Boost Running履いた途端「なにこれ軽くてシックリくる! 弾む! どこまでも走れる!」って思うかもしれないけど、それはどんなシューズ買っても思うことだろうし。普通そうそう何足も買わないんで判別難しいよね。スプリング系は膝にくるので、長く履いてどうかも気になるところ(あの膝傷めてるデリック・ローズもアディダス)。
まあ、なんだかんだ言いつつ趣味で走ってる分には競技規則関係ないし、ちょっと楽しみではありますね、びょんびょんシューズ。
Kyle Wagner(原文/satomi)