2011年にスティーブ・ジョブズが発表した宇宙船型のアップル本社新社屋が6月の着工開始を前に若干ダウングレードするようです。
Bloomberg Businessweekが複数の情報筋に聞いた話によると、2011年当初は30億ドル(2915億円)で建造を予定してたんですが、アレヨアレヨという間に費用が嵩み気づけばなんと50億ドル(4858億円)に膨らんでたんだそうな。
50億ドルっていうと、あのアメリカが国家の威信をかけて建造中の新ワールドトレードセンターより余裕で10億ドル(972億円)高い額に相当します。何を建てればそんなにお金がかかるんねん!
ティム・クックCEOもさすがにこれはおかしいなと思ったのか、2月の全員参加の総会で引越し予定を2015年から2016年に遅らせることに決めたんですが、竣工を先延ばしにしたのはたぶん、建築事務所フォスター+パートナーズ(Foster + Partners)に施工費を10億ドル(972億円)カットするよう命じた影響ではないかと言われてるんでございますよ。
豪華新社屋は敷地面積15エーカー(ペンタゴンより若干小ぶり)で、UFO型ビルの中と周辺には樹木6000本を植え、屋上には70万平方フィートのソーラーパネルを設置、暑くなると自動的に窓が開く室温制御システム、ビル全体に自然光が行き渡るSolartubesを採用します。窓には6平方kmの曲面ガラスを特注で嵌める...とまあ、どれも削ると完成度にキズがついてしまいそうなものばかり。
でも幸いジョブズのこだわりには、削っても無問題っぽい部分も沢山あるみたい...。BusinessWeekはこう書いてます。
ジョブズはセメントの床より石を混ぜたテラゾのようなものがいいと言っていた。が、磨いて光沢を出すあの手の床は通常、美術館や豪邸が採用するものだ。
ジョブズはまた、アメリカの大体の工事は壁と面の隙間が8分の1インチもある、あれは32分の1インチ未満に抑えなきゃダメだと言って譲らなかった。
ジョブズはさらに、天井も軽量な吸音タイルなんかじゃなく磨いたコンクリートにするよう求めていた。
こういう無理難題はバッサリきそうですね、金に糸目はつけないと言ってくれるジョブズももういないし...。
そんなわけでダウングレードと言っても、コンクリートの天井が普通の天井になる的な話であって、大枠では当初の路線維持ですね。100%ジョブズの希望は叶わなくても、どんな夢の社屋より素晴らしい社屋になります。なんとも羨ましい限り。
Eric Limer(原文/satomi)