読者寄稿:で、結局のところiTunes Uってなんなの?

  • 112,040

    • X
    • Facebook
    • LINE
    • はてな
    • クリップボードにコピー
    • ×
    • …
    読者寄稿:で、結局のところiTunes Uってなんなの?

    この記事は読者からの寄稿記事です。寄稿についてはこちらをご覧下さい。

    「iTunesはよく知ってるけど、ところでiTunes Uってなに?」という読者も多いはず。意外と知られていないAppleのサービスであるiTunes Uをおさらいしてみよう。

    iTunes Uとは何?

    ここでiTunes Uを、簡潔に3ポイントで紹介したいと思います。

    ・iTunes UのUは、University(大学)の意味。ずばり教育版のiTunes。

    ・日本を含む世界26カ国の大学の講義・講義資料を閲覧できる。

    しかも、その国の言語で。

    ・そしてなにより、すべてが無料です。

    それから意外に思えるかもしれませんが、iTunes Uの歴史はうんと長いのです。遡ること6年前の2007年にPodcastのカテゴリのひとつとして、iTunes Uはひっそりとはじまりました。転換期となったのは2012年1月で、iTunes内のPodcastから独立し、専用アプリや電子書籍制作用の無料アプリ(iBooks Author)と合わせてリリースされました。2013年の3月にはiTunes Uだけで10億ダウンロードを達成したという発表もあったほど、利用が拡大しました。

    iTunesからの派生サービスのため、サービスその物はiTunesに非常に近いのですが、これを教育版として独立させたと考えると、わかりやすいかなと思います。

    20130603iTunesU_iTunes_comparative.jpg

    iTunesは、音楽、映画、書籍、アプリと言った娯楽コンテンツを有料または無料でダウンロードできます。iTunesのコンテンツを作るのはレコード会社や出版社、映画会社、そしてアプリ開発会社になります。対してiTunes Uは、大学から(なんと)幼稚園までの教育用コンテンツ(動画やPDFが多い)を無料でダウンロードすることができます。iTunes Uのコンテンツを作るのは、世界各地の教育機関に携わる人達で、また大学だけでなく博物館や美術館の人もいて実に幅広いレベルから参加しています。日本では、東京大学や慶応義塾大学など、著名大学が講義を公開しています。

    ここまで読んでも「だからなんなの?」と思う人もいるかもしれませんよね。ですが考えてみて下さい。iPhoneやiPodとインターネット回線さえあれば、電車の通勤途中でも、自宅の布団のなかでも、誰でも平等に高等教育を受けるチャンスが現実のものになったのです。iTunes Uが、世界の教育市場に与えたインパクトは大きいと言えるんじゃないでしょうか?

    iTunes Uの使い方

    さて、ここからは簡単に使い方や用語を簡単に説明して行きたいと思います。最初にiTunes U(iOS版)をダウンロードして起動すると、空の本棚のようなインターフェイスが表示されます。この画面はライブラリと呼ばれる場所で、iTunes Uから自分で選んでダウンロードしたコンテンツが並ぶ場所。インターフェースはiBooksのライブラリと同じですね。

    20130603iTunesU_Catalogue.jpg

    コンテンツをダウンロードするには、ライブラリの左上にあるカタログを選びます。iTunes Uがストアと呼ばずカタログと呼ぶのはすべて無料だからで、カタログから選ぶように講義を選んでいきます。

    公開されている講義は固定カメラで撮影したものなどが多く、淡々としたものが多いです。ですが、本来ならその学校に行かなければ受講できないような特殊な内容の講義や、楽器の実演を収録したライブラリなど、教育番組を見ているような独特の面白さがあります。ここでいくつか、おすすめのiTunes Uチャンネルを紹介したいと思います。

    ビジネス英語Before→After

    関西大学が公開している実践的なビジネス英語講座。

    伝統音楽デジタルライブラリー -三味線-

    洗足学園音楽大学がライブラリーとして公開している動画で、三味線、鼓、琵琶と言った伝統楽器の演奏を聞くことができる。

    Vintage Mac Video

    古いMacintoshや、Mac OSに現代の技術やアイディアがあったらどうなるのか。という「もしも」をリアルに再現して紹介してしまうクレイジーな番組。英語だが、その奇抜な発想は一見の価値あり。

    伝記『スティーブ・ジョブズ』のなかで、生前のスティーブ・ジョブズとビル・ゲイツが、コンピュータが教育に与えた影響について話しあったシーンがある。詳しい会話の内容は本を読んでもらうとして、ジョブズが教育市場に特別な想いを込めていたのは確かなようだ。教育なんてもうこりごり!なんて敬遠せずに、1度は試してみてほしい。

    映像の品質など、娯楽作品と比較すると劣るものも多いが、なかには有名人の登場している講義内容もある。iTunesの世界の教育チャンネルだと思って、たまに覗いてみるのもいいだろう。

    2013tanakahiroshi.jpg
    寄稿者のプロフィール:(タナカヒロシ、@syaguji

    プロフィール:アップルとメガドライブが大好きな新しもの好きのギーク。家族からはグリークと呼ばれていますが、れっきとした日本人です。Illustratorでがさつなイラストを描くのが好きです。