数あるアプリの実績を踏まえて。
良アプリ、人気アプリのデザインに、目を引く印象的なものが多いのは、たまたまじゃありません。アプリアイコンは一見ただのカラフルなタイルみたいですが、そのデザインはアプリ全体にとってすごく重要で、ユーザーがそのアプリをどう思うか、使いたいかといったことに大きな影響を与えているんです。
そんなアプリのアイコンがどんなデザインであるべきか、アップルが直々にまとめてくれました。先週、アップルは今年のWWDCのデベロッパーセッションを元にした動画群を公開していました(訳注:現在は削除されている模様)。そこにまとめられたものの多くは、普通の人にはほとんど興味が持たないようなデベロッパー的な深過ぎる知見だったんですが、その中にiOSにおけるデザインのベストプラクティスがまとめられていたんです。それは、もしこれまでに「なんかわかんないけどこのアプリ、カッコいいんだよね~」って経験があれば、それを説明してくれるような内容でした。
その動画ではアップルのデザインエバンジェリスト、マイク・スターン氏が、アプリアイコンデザインの技法に深く切り込んでいました。そこでスターン氏は、アプリアイコンはユーザーに「買う気」を起こさせたり、そのアプリを使い続けさせたりといった役割を持っているとその重要性を説明していました。端末を見る度にアイコンが目に飛び込んでくるようなデザインなら、インストールしてからほったらかしにせず、使い続ける可能性もより高くなるというわけです。
じゃあ、そんなアイコンってどんなアイコンなんでしょうか? アップル公式のアプリアイコンデザインの心得、そしてそれを体現している実例を以下にご紹介します。
ユニークで印象的な「形」を使う
アプリアイコンにおいてデザインの中心となるべきものは、一瞬で見分けが付いて目を引くような「形」です。例えば、上のVycloneやClear、Flipboardのアイコンで使っているような形です。
カラーパレットは控えめに
一般的に、色数は少なめにしておいた方がいいものです。いろんな色を盛り込むのは簡単ですが、引き算はむしろ難しいものです。例えば、ロイターやDuolingo、Dark Skyのアイコンではそれがうまくできています。
文字は極力避ける
これは、アプリ以外にもいろんな顔を持つ企業にとってはちょっと難しいところです。たいていの企業には、企業名で作ったロゴがあるからです。でもそんなとき、ロゴ全体ではなく、そこからシンプルなグラフィック要素を取り出してアイコンにしてしまう方法があります。Pocketはその好例です。
アプリ内の「素材」を美しく描き出す
スターン氏は、これはiOS 7で徹底排除されたSkeuomorphismっぽく聞こえるかもしれないが、と指摘しています。ここに紹介しているアプリアイコンにも、Skeuomorphismみたいにアナログ要素が使われているんですが、その意義がちょっと違います。たとえばSquare Walletのホログラムのデザインは、クレジットカードの裏にあるホログラムと似ていて、それがお財布アプリであることを想起させます。またPaperのアイコンの水彩画っぽい模様は、それがアートアプリだってことを示しています。つまりこれらのアイコンでは、アプリの中身を想起させるという機能を実現するためにグラフィック要素があるのであって、Skeuomorphismみたいにリアルの事物に似せた装飾をすることが目的ではないってところが重要な違いです。、
まとめ:シンプルにしましょう
全体的に、シンプル・イズ・ベストってことでしょうか。多くのグッドデザインに関するアドバイスと同様、言葉にしちゃうと簡単ですが、誰もが実現できているわけじゃありません。そんなシンプルさはつねに、アップル製品に共通するものでもありましたね。
Mario Aguilar(原文/miho)