なんと重みのある静けさでしょう。
フランスの写真家、自称「Urban Explorer(都市探検家)」であるThomas Jorionさんが、ヨーロッパの忘れさられた建物、廃屋を写真に収めています。37歳のJorionさんは、法律を学んでいましたが、数年前に写真家1本で行きて行くために仕事をやめました。それ以来、ラージフォーマットカメラを抱えて、主に産業跡地等で廃屋の写真を撮り続けています。
著書「Timeless Islands」の中で、彼はこう語っています。「イタリア北部にあった巨大な織物工場は、完全に消えてしまった。そこにあった高価な住宅も忘れさられている。再統一から約20年、ドイツでも同じような状況が見られる。工場はグローバル経済についていけず、その土地からは人々が去り、寂れてしまったのだ。」
写真にある廃墟は、例えばドイツの薬品工場やイタリアの製紙工場、またそれらの経営者がかつて住んでいたリッチなマンション等。モニュメント等の国が建てた建造物も写真に収められています。長年忘れ去られ、半分凍り付いたホールもあります。長い歴史があるヨーロッパだからこそ、この厳かな景色が撮影できるのでしょう。
そうこ(KELSEY CAMPBELL-DOLLAGHAN 米版)