つめたっ!
この装置が挟んでいる立方体は、硬くて冷たい物体です。キンキンに冷えています。この「冷たさ(温度)」や「硬さ(触覚)」を遠隔地に伝えるという研究を行っているのが慶應義塾大学 理工学部の桂研究室です。
普段私たちが感じる熱感覚は「温度」と「熱流(温まっていく、冷えていくという熱の流れ)」で構成されています。この熱感覚を制御するペルチェ素子と呼ばれる熱電デバイスを搭載させた装置を体験させていただきました。ペルチェ素子は赤い部分に仕込まれており、電流によって熱移動をコントロールできるという仕組み。
ちなみにこの写真で掴んでいるのは柔らかいスポンジ。トップ画の時は「冷たくて」「硬かった」のに対して今回は「柔らかい」。
ここで感知した温度や力加減を数値化したのがこのコンピューター。計測された数値を離れた場所に伝えることができるのです。
この研究で新しい点は双方向に熱伝導がなされるところです。聴覚情報はは一方向の伝達で可能ですが熱感覚情報はは双方向の伝達が必要でした。双方向の温度の伝達ができるということは、たとえば、上の装置で氷を挟むと、もう1つの方では氷の冷たさや硬さを感知することができます。氷の方には人間が触れた肌のぬくもりや温かさが伝わり、氷が溶かすことができる、ということです。
この研究の応用はまさに人のぬくもり情報の遠隔地伝送です。いま現在、私たちは世界中の人とSkypeなどでコミュニケーションをとることができますが、もっとシームレスなコミュニケーションがとれるようになる、というのが本研究の目指すところだそうです。
今回体験させてもらったのは、コードで接続された装置だったため、距離の制限はあるものの熱感覚情報をすぐにキャッチすることができました。物体に触っていなくても、温度や硬さをすぐに感知できるというように。今後はインターネットを介して距離の制限を超えた熱感覚情報の伝達を目指していくそうです。
会いたくて会いたくて震える日がなくなるかもしれませんね!
(嘉島唯)