まさに現代のアンリ・ベクレル。
ワシントン州立大学博士課程の学生マリアンナ・ターラン(Marianne Tarun)さんが、実験中たまたま試料を台に置き忘れて光を浴びせたところ、結晶の電気伝導率が400倍になり、あまりの発見に教授もびっくり仰天! 論文にまとめて発表しました。
ターランさんがカウンターに置き忘れたのはチタン酸ストロンチウムのサンプルです。あーあったあったーと回収して結晶の電気伝導率を調べたら異様に高い伝導率が確認されたのですね。チームでは、光子がぶつかって電子が解き放たれ、結果として素材の導電性が高まったのではないかと見ています。
フォローアップの実験では、光に10分当てるだけで効果が現れ、その状態が数日間持続することも確認されました。
これは「永続光伝導」と呼ばれるもので、その電気処理量は超電導マテリアルが達成できるレベルには遠く及ぶべくもないのですが、超電導体が絶対零度の1度上でしか機能しないのに対し、永続光伝導は室温でも機能するのがポイント。実用面ではかなり期待が持てそうです。
同大物理学部長で論文共著者のマシュー・マックラスキー(Matthew McCluskey)教授はプレス資料の中でこう語っています。
「室温で効果が確認されたこのたびの発見は、実用化に新たな可能性を開くものだ」
「コンピュータのメモリーでは、コンピュータのチップの面やハードドライブに情報は保存される。だが、永続光伝導を採用した端末では、クリスタルの体積全体に情報を保存することができる」
ゆくゆくはデータ容量をぐんと押し上げる大発見になるやもしれませんね。
ANDREW TARANTOLA(原文/satomi)