ドローンくん、できる子。
先日も米アマゾンがドローン宅配サービス計画を発表したばかりですが、技術の進歩と大幅な低価格化に伴い、ドローン(無人飛行機)の活躍場所は広がる一方。実にさまざまな活用方法が日々考案されていて、その可能性は無限大です。専門家によると、無人飛行機産業は今後3年間だけで、100億ドル市場になると見込まれているそう。使用範囲が増えれば増えるほど、性能もさらに向上することが予想されています。
すでにさまざまなシーンで活躍しているドローンくん。その一部をご紹介します。
農業を支援する
人が生きていくのになくてはならない農業ですが、なかなか大変なお仕事ですよね。特に農場が広大な場合、一通り見回るだけでも膨大な時間がかかってしまいます。そこでドローンの出番です。空中から作物の調査をして農業をサポートしています。灌漑がうまく機能しているか、作物がきちんと育っているか、さらには赤外線技術を使って、病気になっている作物はないかなどをチェックできるんだそう。ドローンの移動性と機動性をうまく生かした利用方法ですね。
建物を建設する
農業だけではありません。建設業にも貢献しています。動画に映っているのはチューリッヒ工科大学の研究室がプログラムした引張構造を作るドローンたち。この実験では作られているのは比較的シンプルな引張構造ですが、空中建築作業員として働くドローンくんたちは、未来ぽくってなかなか格好いいですね!
不動産を売買する
不動産業でもドローンが活躍しています。アメリカの不動産業界では、売りたい不動産の紹介にドローンで撮影したドローンツアーを使うのが人気だそう。これは、まあ土地が広いアメリカならではの使用法かも知れません。空中からじゃないと全景が見えない家とか…すごい。
パパラッチする
パパラッチの間でも、カメラを搭載したドローンが使われています。今夏、ティナ・ターナーさんとアーウィン・バッハさんと結婚式の写真が、ドローン・パパラッチに撮影されたのは記憶に新しいところ。飛行音が静かなので撮影対象者や警備にも気付かれにくいのだそうで。(このドローンを操作していたフォトグラファーは逮捕されましたけどね。)セレブもラクじゃないですね…。
スポーツを撮る
スポーツの場でも大活躍。試合やイベントを空中から観ると、いつもと違った視点で、さらに迫力があったり面白かったりしますよね。また観客が楽しむためだけでなく、コーチ達が選手の動きを把握するのにも利用されています。俯瞰視点で選手達をみることで的確な指示が出せるんですね。五輪の会場パトロールにも使用されていました。
犯罪と闘う
警察でも使われています。今やアメリカ中の警察が偵察用や監視用にドローンが購入しています。FBIも使っているんですね。アメリカ合衆国憲法修正第4条(不当な捜索などを禁止するもの)の観点からいろいろ懸念もあり、人権擁護活動家から問題点があげられたりしていますが、今のところ警察は自由に使っちゃってます。徐々に法整備されていくのかな。
国境を警備する
警察より早くドローンを使い始めていたのが国境警備隊。過去3年間、アメリカ―メキシコ間の国境はすべてドローンでパトロールされています。そして、今度はドローンを武装することが検討されている模様。ちょっと怖いな。
地球を守る
科学の分野でも大活躍。多くの科学者達が環境変化のトラッキングにドローンを活用しています。アメリカでは政府が環境違反を見つけるのに使ったり、環境保護庁が空気の品質をチェックしたり。NASAもオゾンの調査にドローンを使用しています。イタリアではもう何年もゴミの不法投棄の監視に使用されているそう。環境変化のモニタリングにドローンを使用することについてはすでに多くの論文も出されていて、今後ますます使われていくものと思われます。
消火活動をする
環境と言えば、消防隊もドローンを活用しています。特に消火不可能かと思えるような山火事などにドローンが活躍しているんです。山火事の検知に使用されているだけでなく、火事の動きを計測したり、実際に消火活動も行っています。消防隊員が身の危険を冒さなくてすむのはありがたいですね。連邦航空局(FAA)の認可に関してクリアしなければならないハードルがあるのですが、今後期待できる利用法です。
ハンティングする
う…これはちょっと悲しい。以前は非常に高価だったドローンですが、今は何百ドルかで買えるようになったので、ハンターたちにも使用されています。一部のハンターたちはドローンに熱センサーカメラを搭載して野生動物を見つけているのだとか。次のステップはドローンに武器を搭載して、遠隔ハンティングできるようにすること。どこかで聞いたことのあるような話ですね・・・。
野生動物を見守る
ドローンは野生動物を殺すためだけに利用されているわけではありません! 野生動物、とくに絶滅の危機にある動物の数をモニタリングするのにも使われています。例えば、インドネシアの科学者たちは、絶滅の危機にあるスマトラオラウータンの数をトラッキングするのにドローンを使用しています。木々の上を飛行して、オラウータン達がどんなふうに森林破壊に対応しているか観察しているそう。他の絶滅危機種のサポートにも使えそうですね。
ピザを配達する
今春、ドミノピザが、ドミコプターでピザを宅配する動画を投稿しましたが、このアイデアは実現されるのでしょうか? ピザやビールを乗せたドローンが何百台も夜空を飛行している…なんて日が来るのでしょうか。ピザはピザ屋さんに宅配してほしいなあ、なんとなく。
他にもいろいろ配達する
で、最初の話に戻って米アマゾンです。購入された商品をドローンで宅配するというこの計画、「うまくいくと思うし、実現するよ。楽しいことになると思う」とは米アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏の言。本当に実現するのかあ?と思っている人も少なくないようですが、大手配送業者のUPSもドローンによる宅配システムに取り組んでいるそうなので、将来的にありえる話なのかも。中国ではすでに試験的に始まってますしね。
ジャーナリズムする
何が起こっているのか伝えるのに映像や画像は雄弁ですよね。そこでジャーナリストたちにもドローンが使われ始めています。将来的にドローンがツイートできるようになったりしたら最強かも。
油井を調査する
沖合での油田の管理は非常に難しく、メキシコ湾原油流出事故などにみられるように危険が伴うもの。そこで人の手が届きにくいところではドローンが使われています。また広範囲に渡る油田やパイプラインの監視にも使われています。
薬を運ぶ
ドローン運ぶのは何もピザやビールばかりでありません。Matternetという会社は、ドローンによるデリバリーネットワークを構築し、遠隔地へ薬を運んでいます。NPOやボランティア団体がせっかく必要な物資や薬品を集めても、必要な時に必要なところへ迅速に配達できないという長年のジレンマを解決する糸口になりそうです。
命を救う
オーストリアの大学院生ステファン・リーグワーさんが、除細動器を心臓発作の患者にドローンで届けるシステムを考案しました。まだコンセプトの段階ですが、救急車では時間がかかってしまうような場合にドローンを活用するというのは良いアイデアですね。
人を楽しませる
ドローンくんの活躍場所、いろいろ見てきましたが、忘れちゃいけないのが、ドローンを飛ばして遊ぶ楽しさ! 昔の世代がラジコン飛行機で遊んだように、新しい世代はドローンを飛ばして壮大な写真を撮影したり、ハロウィンでいたずらしたり、果てはプロポーズまでしています。
本当にいろんな形で活躍していますね、ドローンくん。
ADAM CLARK ESTES(米版/mana yamaguchi)