NBCニュースが入手したエドワード・スノーデンさんの暴露文書から、英諜報機関GCHQがハッカー集団「アノニマス」と「ラルズセック」にDDoS攻撃を仕掛けていたことが分かりました。
2012年のNSA会議用プレゼンテーション資料によると、GCHQの合同脅威研究情報班(Joint Threat Research Intelligence Group/略称:JTRIG)は、アノニマスが使用していたインターネットのチャットルームに対してDDoS攻撃を実施。その目的は、ハッカー同士のコミュニケーション妨害だったとのことです。
同攻撃は、アノニマスが2011年にPayPalに対して仕掛けたDDoS攻撃への報復として、コードネーム「Rolling Thunder」任務の一環で行われました。JTRIG諜報員は同チャットルームに潜入するためにアノニマスのメンバーを装い、ハッカーを特定したと報じられています。
ちなみに、JTRIGの存在は今回の文書によって初めて明らかに。NBCはこの組織について、次のように説明しています。
この組織のミッションには、コンピューター・ネットワーク攻撃、妨害、インターネットにおける積極的な隠密作戦、技術面における隠密作戦が含まれている。この文書で列挙されている手法としては、電話やコンピューター、電子メールなどの通信妨害、敵に偽装する「False Flag」作戦などが挙げられる。なお、GCHQは敵を攻撃する際にサイバー・ツールを使うよう強調していたと同文書では報告されている。
Rolling Thunder作戦では、ツイッターやフェイスブックを使ってハッカーたちが実施したDDoS攻撃が違法であると警告し、IRCのチャットルームから1ヶ月足らずで80%もの活動家を締め出すことに成功。またそれに続き、攻撃を続けるメンバーの特定を行い、PayPalで800万アカウントを盗んだハッカーの摘発まで行いました。
しかし同時に、JTRIGによるDDoS攻撃は、アノニマスとは無関係なWebサイトもシャットダウンし、違法なハッキングに関与しない反体制派のWebコミュニケーションも妨害してしまいます。NBCが指摘するように、これは反対派を潰すために過剰反応した恐ろしい事例とも言われ、こうした措置が正当なのかについては議論の余地が残ります。さて、みなさんはどう思いますか?
JAMIE CONDLIFFE(Rumi /米版)