FacebookのOculus買収でクラウドファンディング出資者カンカン

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FacebookのOculus買収でクラウドファンディング出資者カンカン

「ザックはナッツ(頭おかしい)!」

「おらの金返せ!」

フェイスブックが仮想現実ゴーグルRiftの開発元Oculus VR社を20億ドル(2046億円)で買収すると発表した件で、これまで強力にプッシュしてきたクラウドファンディングの超小口投資家たちがか~なり怒ってます。

Oculus Riftは2012年8月、クラウドファンドのサイトKickstarterで約9500人から244万ドルの出資を集めてテイクオフしたVRゴーグルなわけですが、このKickstarterのページは失望のコメントで大荒れ。(補:公式ブログも大荒れ)

自身も300ドル投じたジョエル・ジョンソン記者はValleywagにこう書いてますよ。

「Oculusがハード売ってソフト出して、他社と戦略提携結んで、10億ドル企業に成長したんなら、Kickstarterで金出したことを後で悔いたりしない。

Oculusはそうじゃないだろ。Kickstarter出資者は単にベンチャーキャピタリスト(VC)呼びこむ餌に使われた。VCが2900万ドル、8500万ドルとラウンド投資して、それが呼び水になって最後にはフェイスブックが20億ドルで買収した。1億ドルもあれば商用化は余裕だけど、まともな頭のVCが20倍のリターン蹴るわけもないしね」

これがシード投資ならエンジェル投資家は今頃ウハウハ…ですが、Kickstarterの9500人にリターンがあるわけもなく…自分たちはVCのボランティアかいな、と言ってるんでございますよ。

一方、MinecraftをOculusに対応させる気満々だったゲームデベロッパーのマルクス・ペルソン(Markus Persson)も「あの話はなしな」とツイート。「フェイスブックきもい」って書いてます。

まあ、「Oculusも独立した会社として運営させる。プラットフォームとして成功させるのが一番のゴールだ」とザッカーバーグCEOは電話記者会見で強調してましたけどね。Instagram、WhatsAppを買収したとき同様、今回も買って潰すのではなく、Facebookに代わる「次代のプラットフォーム」(電話でザックが繰り返してた言葉)に育ちそうなものに賭けている、そこは信じてよいのでは…。

そのプラットフォームはゲームの枠を超え、チャット、教育など、人と人の交流に関わるものすべてを飲み込むものらしいですよ? なんか大風呂敷広げてるだけって気もしますが、10年前にはAndroidもiOSもなかったこと考えると、そんな夢物語でもなさそうですね。

フェイスブックの後ろ盾がなければ、Oculusもどうせソニーのプロジェクトモーフィアス(Project Morpheus)がくるまでの繋ぎで終わっちゃいますし。

ただ、ゲームデベロッパーとしてはフェイスブック傘下に入ればエクスペリエンスも今まで通りとはいかないのではないか、というところが心配ですよね。「抜ーけた」となる人は他にも出そうです。短期的なもので、Oculusが買収後も変わらなければそういう反発も徐々に収まっていくとは思いますが。

むしろ問題なのは長期的にフェイスブックがOculus Riftをどうマネタイズするかでしょう。ザッカーバーグは「ハードウェアで儲ける気はない」(よし!)としながらも、「広告は出すかも」(あじゃー!)と言ってますし、当然のことながらリテールにも進出を考えていそう。自宅に居ながらにしてバーチャルショップで買い物できるなら、もう店なんか行かなくていいんじゃ…。

FacebookとRiftが合体する先にあるのは、どんなバーチャルリアリティーの未来なんでしょうね? 遠くの友だちも近くに感じられる反面、今ここにある世界とは断絶してしまう…気軽にゲームが楽しめて、講義も、親戚の集まりも、ドローン操縦も、みんなこのコンピュゴーグルひとつでできる。考えてみると、ちょっと怖いな…。

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これは社会全体の問題か…まずは強力なバックがついてオキュラス創業者@21歳はこの世の春ですね。キックスターターでなけなしの小遣いはたいて応援したみなさまにはご愁傷様でした…そりゃ頭にくるよね…うん。

UPDATE:フェイスブックのオキュラス買収に対するヒトラーのリアクション。

Brian Barrett、Joel Johnson(原文12/satomi)