現行犯を空から見張る。「Google Earthライヴ版」を米警察が試験運用

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現行犯を空から見張る。「Google Earthライヴ版」を米警察が試験運用

赤信号で止まるな…とまで言われるLA南の危険地域コンプトンで、あらゆる車、あらゆる人間の動きをリアルタイムで空から監視する未来型システムを試験運用していたことがわかりました。

バークレーの報道機関「The Center for Investigative Reporting」が、今の捜査のテクノロジーはここまできてる、という最新特集で紹介してるんですが、すごいですよ。暴行も、バッグのひったくりも、車のスピード違反も、全部空から録画されるんです。

郡保安官事務局が監視を委託したのはオハイオ州の「Persistent Surveillance Systems(PSS)」社。米空軍を2007年に定年退職したRoss McNutt博士(動画の9:13)が創業した会社で、軍で博士が開発した広域ライヴ監視システム「Project Angel Fire」を一般の捜査に応用しています。

博士曰く、PSSは「Google Earthのライヴ版に、TiVoのような機能をつけたもの」なのだとか。あまりにも漠然としてて、デンゼル・ワシントン主演B級映画「デジャヴ」をうっかり連想してしまいますが、具体的には超高解像度カメラを飛行機(動画の8:33)に取り付けて飛ばし、下界の25平方マイル(64平方km)の区画を最長6時間監視できるシステムです。

「衛星でできるじゃん」と思っちゃいますけど、違うんです。PSSは動画を巻き戻して、ズームインし、その区画を動き回る人や車を追跡するところまでできちゃう。遠すぎて顔までは特定できませんが、それは信号や沿道の監視カメラが撮ってるので、空から時間と場所が特定できれば地上の映像と照合して、逃走犯の身元も特定できる、というわけですねーはい。

このPSSを試験運用中の市はボルチモア‎、デイトンで、コンプトンではネックレスひったくり犯の足取りも追うことができました。上のGIF画像は、泥棒が女性に近寄って、宝石ひったくって、待機している車まで走って逃げ去った場面。監視区域から外に出てしまったので逮捕には至りませんでしたが、「逃走に車が関わったのは重要な手がかり」だと保安官は話しています。

プライバシーの問題もありますが、警察とPSS開発元は、顔や家の中までは覗けないので「他の監視システムほどではない」と言ってますよ。どこの警察も購入までは踏み切っていませんけどね。

特集ではこのほか、サンディエゴ警察が導入した顔認識システムも紹介されてます(尋問しなくてもタブレットで顔を撮るだけで犯罪歴が全部出てくる)。現場から警官が指紋を送ると、FBIのデータセンターにある1億3700万人の指紋・顔写真・犯罪歴のデータベース(動画の3:03)と照合して一発で特定できる「次世代ID技術(NGI)」は今夏スタート。未来は着々とやってきますね…。

source: Center for Investigative Reporting

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(satomi)