アップルもユーザーも、Apertureがなくても大丈夫だから。
先日、アップルがApertureの開発中止を発表しました。アップルの写真編集用プロソフトがなくなるとは、一体どういうことなのでしょう。いや、これは涙することではありません。開発中止は後ろ向きな理由からではなく、実に納得のいくポジティヴな選択だからです。Apertureがなくなってもユーザーは困らないところまできた、そう今こそ世代交替の時なのです。
新ソフト「Photos」の存在
Apertureは長年プロ仕様の素晴らしいソフトウェアではあったものの、多くのiPhoneユーザーにとっては必要とされない存在でした。そこで、その存在意義を問い、答えを出したのが、新OS X Yosemiteの写真アプリ「Photos」の発表でした。Photosは、より機能が充実し消費者のニーズにあったアップルの答えなのです。同時にiPhotoの開発中止が発表されたのも、Photosとの世代交替が理由でしょう。
Photosは、Apertureの最大の魅力であったさまざまな調整オプションはもちろん、アップルが得意とするシンプルさと豊富な自動機能もついています。加えて、現代になくてはならないシームレスなiCloud連携も大きな魅力となります。
つまりPhotosがあれば、アマチュア写真家にとっては、Apertureが消えたことすら気づかないような状況にあるということです。プロ写真家だってこのスムーズな統合・世代交替に違和感を感じることはないでしょう。それだけPhotosは優れているのです。
Apertureの引き際
プロ写真家、コアな写真趣味の人々にとって、Apertureは決して不十分なソフトなんかではなく、Adobeが持つLightroomの良きライバルでもありました。ApertureもLightroomもどちらのソフトウェアにもそれぞれの強みがあり、その選択は個人の好みだと言われていました。
しかし、アップルがより大きな市場を持つ端末とソフトウェアに重きをシフトさせていく中、Final Cut ProやApertureのようなプロ向けソフトは、だんだんとお荷物な存在へとなっていったのです。バグ修正などのマイナーアップデートはあったものの、直近でApertureに大きなアップデートがあったのは2010年ということからも察しがつくでしょう。Final Cut Proは、革命的かつカリスマとも言える絶対的な存在感で確固たる地位を築きました。Final Cut Pro Xとして再開発されたのが、何よりの証です。一方、Apertureはそこまでの熱狂的ファンを獲得することはできなかったと言えます。
ApertureのライバルAdobeのLightroomは、積極的にアップデートし磨きをかけてきました。また、同じくAdobe商品であり、王者とも言えるPhotoshopとの連携を考えれば、ApertureがLightroomと競い続けるのは難しいことこの上なしです。
今、Apertureは去るのみ。しかし、決して後ろ向きな姿勢ではなく、次世代のPhotosへとその血を受け継いでの引退と考えるべきでしょう。引き際も実に美しいソフトウェアであった、つまりはそういうことなのです。
Michael Hession - Gizmodo REFRAME[原文]
(そうこ)