フェイスブックSlingshotハンズオン:Snapchatの使いにくい版

  • author 福田ミホ
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フェイスブックSlingshotハンズオン:Snapchatの使いにくい版

いろいろとめんどくさい仕様。

フェイスブックが新たなスタンドアロンアプリ、Slingshotを発表しました。米Gizmodo編集部のアダム・クラーク・エスティス記者がさっそくハンズオンしていますが、どんなものなんでしょうか?

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SlingshotアプリはSnapchatに似てますが、違うのは使いにくいってことです。言いたくないですが、悪名高いPokeアプリのほうがまだ楽しかったです。

誤解しないでほしいんですが、Slingshotはたしかによくできたアプリで、独自のひねりもあります。Snapchatみたいに、友だちに写真や動画を(落書きを入れたりして)送れて、友だちがそれを開いたら、自動的に消える仕組みです。ただSnapchatと違うのは、友だちが送ってきた写真や動画を見るには、自分もまず写真なり動画を送らなきゃいけないってことです。友だちからのメッセージ内容を見る前に、自分から何か送らなきゃいけないんです。

全体的に、Slingshotは仕様とか使い方がわかりにくいんです。アプリを最初に立ち上げるとチュートリアルがあって楽しさとか面白さを強調してるんですが、それを一生懸命それを見てもなんだか腑に落ちないんです。友だちとのつながり方から、友だちのメッセージの開き方まで、アプリのすべてが非直感的なんです。

まず、自分から友だちに写真を送るだけならそんなに問題ありません。かわいい音とかキッチュなアニメーション満載じゃないにしても、ルック&フィールはわりときれいです。

でも友だちと双方向でやりとりしようとした瞬間、Slingshotの謎が始まります。友だちに写真とか動画を送ったら、まず相手がどう反応するか聞きたいものですよね。でも残念ながら、1回目の写真への反応が送られてきても中身はすぐ見られないんです。それを見るには、先に2回目の写真を送らなきゃいけません。2回目の反応を読むにも、先に3回目の写真を送らなきゃいけません。3回目の反応を読むにも…と、何回やりとりしていてもその状況は変わりません。

さらに厄介なのは、Slingshotが極端に「写真を撮って、それを友だちに送る」っていうアクションにフォーカスしてることです。あまりにフォーカスしすぎてて、自分のプロフィールとか設定をどこで入力するのかも2、3分探さないとわかりませんでした。

友だちの追加を始めると、Facebook的大ざっぱなデータ収集が始まります。Slingshotはスマートフォンの連絡先と自動で同期できるんですが、選択肢は連絡先全体と同期するか、まったくしないかのどちらかだけです。Facebookの友だちとも、全同期かまったくしないかの二択です。ひとりずつ追加するにはSMSで招待するか、Slingshotのユーザー名で検索するかしかありません。

Slingshotは自動消滅メッセージアプリのわりに、プライヴァシーもあまり気にしてないように見えます。Snapchatでは自分が送った写真のスクリーンショットを相手が撮ったら通知が来るんですが、Slingshotではそれがありません。この種のデータ利用ポリシーみたいなものはどこかに明記されてると思うんですが、設定画面で「Data Use Policy」を開いても中身は空っぽです。さすがにこれはバグっぽいのでそのうち修正が入ると思いますが、ますますどうなのかって感じがします。

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で、不便でわかりにくいってこと以外に何かSnapchatと違いがあるんでしょうか? 実はあんまりありません。Slingshotにしかない機能も多少あって、たとえば友だち全員に同報できたりはありますが、それくらいでしょうか。逆に、Snapchatみたいな柔軟性、たとえば自分にメッセージを送れる人とか、自分のストーリーを見られる人を指定する機能はありません。

なので自動消滅メッセージアプリとしては、Snapchatを使ったほうが快適です。一応好意的な評価も紹介すると、The Vergeでは「メッセージを受信しても自分からメッセージを送らない限り受信内容を見られないので、相互のやりとりが活性化する。さらに友だち全員に同報できるので、ちょっと手の込んだ近況アップデートみたいなものだ」というような評価をしています。でも個人的には、ただ面倒なだけじゃないかと思います。すでにSnapchatっていう、もっと楽に同じことができるアプリがありますしね。

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以上エスティス記者によるハンズオンでした。たしかに、先に何かしら送らないと受信メッセージの内容を見られないっていうのはなかなか興味深い仕様ですね。

たとえば友だちからメッセージが来たとき、その中身が「飲み会!」なのか「残業中…」なのか「犬もふもふ」なのかわからないまま、何でもいいからメッセージ送らなきゃいけないってことですよね。で、「おつかれー」とか無難に送ったメッセージを相手が見るにも、相手はまた当てずっぽうのメッセージを送らなきゃいけないという、なんだかシュールなコミュニケーションになりそうな気がします。

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(miho)