爆発の痕跡は一切なし。
シベリア北西のヤマル(世界の果ての意)に突如開いた謎の巨大な穴、内部の映像が入ってきました。
先週ヘリがたまたま通りかかって発見されて以来、あまりのデカさに宇宙人、隕石衝突、ミサイル、地球温暖化に伴う地下爆発など、いろんな原因説が飛び交ってます。
早速ロシアの科学班が実地調査してみたところ、穴の深さは70mで、底には凍った湖があり、氷土の壁を水が伝って落ち、浸食が進んでいることがわかりました。
当初、航空写真をもとにした推定では幅50 - 100mでしたけど、ロシア北極南極科学研究所の上級研究員Andrey Plekhanov博士は、「そこまでの幅はない」と話しています。「真ん丸ではなく楕円に近いので、直径は正確には求められないが、幅は推定約30m、胸壁まで含めたら60mといったところだ」
人が降りると壁がぼろぼろに崩れるので、中の様子はカメラをロープで垂らして撮りました。原因説をもう一度整理してみましょう。
原因としてありえないもの
隕石衝突「隕石ではない。それは断言できる」とロシア非常事態省地方局報道官はシベリア・タイムズに言ってます。信じられない人は実際に隕石でできたクレーターの写真をご覧ください。もっと大きくて起伏もゆるやかですよね? こんなボッコリ円筒の穴じゃないことがわかります。これだけ大きな隕石が落ちたら地震計も触れるはずなので、ヘリが見つけるまで誰も気付かなかったというのも不自然です。
陥没穴ふつう陥没穴は地下水脈で土壌や溶解性の岩がさらわれて起こる現象です。フロリダとかグアテマラとかでよく見られますが、シベリアではあんまり見られません。米National Cave and Karst Research InstituteのGeorge Veni所長に取材してみたんですが、やはりこの地域では溶解性の岩で洞窟や陥没穴ができたという報告はひとつもないと話していました。穴の周辺は土が盛り上がってますが、これも陥没穴では見られない特徴です。
宇宙人もしくは地底人。アメリカでは「地獄がプーチンを手招きしてる穴」とかも言われてますが。
原因としてありえるもの
グーグルマップの衛星写真で見ると、ヤマルは大小さまざまな穴が開いてる地形であることがわかります。
ヤマルは世界有数の天然ガス田です。地球温暖化で永久凍土が解け、地面に異変が起きているのかもしれません。
ガス漏れ氷が解け、密閉されていたガスが漏れた、という説。シャンペンのコルクの栓を抜いた時みたいに。
ピンゴ崩壊地底の氷、ピンゴ。これが解けてできた穴、という説。ここにガスがなんらかの形で絡んだ可能性も。
最も有望な説
一番ありえるのは、やはり初報でお伝えした極地学者Chris Fogwill博士が唱えている「ピンゴの穴」という説みたいですね。
実地調査したPlekhanov博士によると、クレイターの80%は氷でてきていて、爆発した痕跡は一切なかったようなので、隕石衝突説はまずナシ。ガス爆発もナシっぽいです。
Plekhanov博士は、「この一帯の温度変化で地下に過剰圧力が蓄積された結果できた穴という可能性が一番高い」とも補足しています。「2012年と2013年の夏は比較的暑かったので、それも影響あるのかも」と話しており、地球温暖化と関連があるかどうかは「引き続き調査してみないとなんとも言えない」と断言を避けました。
永久凍土とピンゴの丘が広がるヤマルで今なにが? 気になりますね。
related: 消えゆく永久凍土
source: Siberian Times via DailyMail
Sarah Zhang - Gizmodo US[原文]
(satomi)