本物チーズを偽物と見分ける最新技術、それは「バクテリア」のDNAフィンガープリント

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    本物チーズを偽物と見分ける最新技術、それは「バクテリア」のDNAフィンガープリント

    こんなにもミクロなレヴェルで判定してたんですね。

    ヨーロッパでは伝統的に、素晴らしい味と香りを持つチーズを特産品として扱い、世界中に届けてくれています。しかし、これらの地域ではたびたび本来とは違った方法で作られた偽物チーズが横行しているので、作り手は研究室まるまる1つをエメンタールチーズやグリュイエールチーズの偽物を発見するために当てられているのでした。その中でもスイスは特に力を入れていて、なんとこの度、本物のチーズかどうかを見分けるトレーサーとして、「生きたバクテリアの混合物」なるものを作り出しました。

    チーズは、詰まる所ミルクとバクテリアにたくさんの時間を与えてできた副産物です。しかし、この混合物に用いられているバクテリアは、チーズを作るためのバクテリアとは違うので、出来上がった製品のにおいや味に影響を与える事はありません。このバクテリアの混合物に与えられた指令はただ1つ、本物のエメンタールチーズかどうかを判定する事。つまりこのバクテリアのDNAが入っていれば、本物の証拠になるのです。

    この極秘の判定用バクテリアは、牛に与える餌やチーズの熟成時間など厳密に制定されたルールを遵守するように定められた、厳選されたエメンタールチーズ製造業者のみに送られます。また、スーパーに並ぶチーズは、本物と偽物を見分けるために、バクテリアのDNAがフィンガープリントとして使われているそうです。

    スイスの科学者たちは、このエメンタール真偽判定システムを2011年に作り上げましたブルームバーグによると、ベルンにある冷凍室には現在10,000株ものバクテリアトレーサーが保管されているそうです。またこのバクテリアの製造主は3社あり、それぞれが違ったDNA情報を保有しているので、もしどれかのサンプルが盗まれたとしても、出所がすぐさま特定できるようになっています。テート・ド・モアンヌという種のチーズのためのバクテリアトレーサーは昨年、グリュイエールとスブリンツチーズへのトレーサーはもうすぐ完成予定との事です。

    ではなぜバクテリアを使うのでしょうか? 実はスイスでは、本物のチーズとして認可されるためにいかなる添加物も許されてはいないため、人工的に合成されたトレーサーは使えないのです。なので、バクテリア混合物なるものが、最大にして最強のトレーサー、ってわけなんですね。

    Top image: Emmental being judged at a cheese competition. KEYSTONE/Photopress/Yoshiko Kusano

    source: Bloomberg

    Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

    (Tomo)